
「パパス(Papas)」が、2025年に松浦弥太郎をクリエイティブオフィサーに任命した。これまで主に編集者やエッセイストとして活動してきた松浦が、本格的にファッションブランドに関わるのは今回が初めてのこととなる。松浦が初めて手掛けるコレクションとなった2026年秋冬の展示会で、創業40周年を迎えたブランドの今後の戦略や、ものづくりに対するこだわりなどを聞いた。
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パパスは、デザイナー 荒牧太郎が1964年に設立したウィメンズブランド「マドモアゼルノンノン(Mademoiselle NONNON)」の派生ブランドして1986年に誕生。パパスというブランド名は、「老人と海」や「誰がために鐘は鳴る」などの著作で知られるアメリカの小説家 アーネスト・ヘミングウェイ(Ernest Hemingway)の愛称「パパ・ヘミングウェイ」に由来しており、「ヘミングウェイが着たら似合いそうな服」をコンセプトに、大人の男性に向けてカジュアルウェアを提案してきた。
松浦は1965年東京生まれ。2002年に「マウンテンリサーチ(MOUNTAIN RESEARCH)」などを手掛けるデザイナー 小林節正と、東京・中目黒にブックストア「カウ ブックス(COW BOOKS)」をオープン。2006年から15年まで「暮しの手帖」で編集長を務め、2015年から17年までクックパッドのウェブメディア「くらしのきほん」を手掛けたのちに、2017年から19年まで「ユニクロ(UNIQLO)」との共同プロジェクト「LifeWear Story 100」の連載を担当した。現在は「ディーン&デルーカ マガジン(DEAN & DELUCA MAGAZINE)」の編集長を務めている。
クリエイティブオフィサー就任以前からパパスのアイテムを愛用していたという松浦に、パパスの一番の魅力について尋ねると、「人間味が感じられる服」という答えが返ってきた。パパスは全商品を日本製とし、各地の縫製工場や職人と深く連携しながらものづくりを行っているが、そこから生まれるプロダクトについて「それぞれのアイテムのデザインはスタンダードだが、ディティールなどの細かい部分に人間味が隠されている」と表現する。




松浦は、パパスにおける自身の役割について「何かを変えるというよりも、パパスが元々持っている魅力を言語化する」ことだと説明する。40周年を機にブランドの世界観を改めて言語化し、「人生を楽しむための服」というテーマを掲げた。それは、「おしゃれをするための服というよりも、日々を心地よく楽しく過ごすための服」という考え方を凝縮したものだ。

2026年秋冬では、2つのシーズンコンセプトを設定している。1つ目の「カラーズ(COLORS)」は、原色ではなくグレイッシュなカラフルさを特徴とする大人向けの色使いを軸に据えたもので、このコンセプトのもと先行発売しているカラフルなトートバッグ(各1万3200円)は既に一部店舗で品切れし、追加生産するほどの人気商品となっている。

2つ目の「フォーグッドサンデー(FOR GOOD SUNDAY)」は、休日を存分に楽しむための服だ。ブランドの主要顧客層である50〜60代のシニア層に対し、松浦は「これまでずっと仕事に一生懸命で、普段何を着たらいいか分からない人たち対して、肩の力を抜いてどこにでも出かけられる服を作っていきたい」という方向性を示す。

カジュアルウェアとともにゴルフウェアも揃える

松浦ならではの新しい取り組みとして、商品に松浦によるミニエッセイを記載した下げ札「パパス ヴォイス(PAPAS VOICES)」を付属する。商品説明にとどまらず、ブランドの思想や背景にあるストーリーを消費者に届けようとする試みだ。


今回のコレクションから、メンズブランド「モヒート(MOJITO)」のデザイナーである山下裕文がプロダクトディレクターに就任している。山下はパパスの全コレクションの監修に加え、一部アイテムのデザインも担当する。モヒートは、パパスと同じくアーネスト・ヘミングウェイをブランドアイコンに据えているが、山下はヘミングウェイの魅力について「ワイルドで知的なタフガイ。旅、ハンティング、酒、グルメ、恋愛、そしてノーベル文学賞受賞と、“男の夢”を全て叶えたような存在」だと語り、「ヘミングウェイから着想を得たブランドはこれまで数多くあったが、ビジネス的に大きく成功したのはパパスだけ」と、評価する。




山下裕文が手掛けたアイテム
パパスの販売チャネルは全国66店舗で、ほぼすべてが直営店だ。顧客との距離の近さを生かし、「デザインやトレンドを優先するのではなく、お客様とどれだけ深く関われるかを今後も重視したい」と、松浦は語る。パパスの服は親、子、孫と3代にわたって受け継がれて着用されているケースも多いといい、「時代を超越して着られる品質とデザインへのこだわり」を保ち続けていくことで、ブランドの持続性を支えていきたいと、今後の展望を述べた。

松浦弥太郎
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