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美容商社からファッション業界へ 「エランク」ディレクターが10分で完売するブランドを築くまで

HIROKI:新卒で美容系の商社に入社。退職後、SNSで築いたファンとのつながりを強みに、ECファッションプラットフォーム「nugu(ヌグ)」でセレクトを開始。2025年には、自身のブランド「Élanque(エランク)」を始動し、ZOZOTOWNで販売している。

HIROKI:新卒で美容系の商社に入社。退職後、SNSで築いたファンとのつながりを強みに、ECファッションプラットフォーム「nugu(ヌグ)」でセレクトを開始。2025年には、自身のブランド「Élanque(エランク)」を始動し、ZOZOTOWNで販売している。

HIROKI:新卒で美容系の商社に入社。退職後、SNSで築いたファンとのつながりを強みに、ECファッションプラットフォーム「nugu(ヌグ)」でセレクトを開始。2025年には、自身のブランド「Élanque(エランク)」を始動し、ZOZOTOWNで販売している。

ファッションを若者で加速させる
READY TO FASHION

美容系の商社からキャリアをスタートし、ECファッションプラットフォーム「nugu」でのセレクトを経て、自身のブランド「Élanque」を立ち上げたHIROKIさん。ブランドは立ち上げ当初から反響を呼び、販売開始から10分ほどで完売する商品も生まれています。

異業種からファッション業界へ転身した理由や、ブランド立ち上げまでの経緯、そして「nugu」と自身のブランド、それぞれのもの作りの違いについて話を伺いました。

「誰かに影響を与える存在」を目指した原点

──美容系商社の社員から、インフルエンサーとして「nugu」でのセレクトへ。経緯を教えてください。

新卒で美容系の商社に入社し、美容室向けのルート営業を担当していました。仕事自体は充実していたのですが、一方で学生時代の経験がずっと頭に残っていたんです。学生時代はアーティストのバックダンサーとして活動していて、ステージに立つアーティストと、それを熱狂的に応援するファンの姿を間近で見てきた経験があります。その時から、「自分も誰かに影響を与えられる存在になりたい」と思うようになり、それがSNSで発信を始めるきっかけになりました。

そして社会人1年目の冬から本格的にSNSでの発信に取り組んだところ、約1年でフォロワーが1万人ほどまで増え、そのタイミングでnuguからセレクトのお声がけをいただきました。それを機に会社を退職してnuguでの活動に専念し、さらに別の企業からブランド立ち上げのお話をいただいたことをきっかけに、昨年9月から自身のブランドをZOZOTOWNで展開しています。現在はブランド運営とnuguでの活動を並行して行っています。

──なぜ新卒で美容系の商社へ?

美容系の専門学校に通っていたわけではありませんでしたが、もともと美容業界には興味がありましたし、美容が好きな人たちと近い距離で働ける環境に魅力を感じていました。

入社したのは、美容室にカラー剤やパーマ剤、シャンプー、トリートメントなどを卸す商社でした。担当する美容室は100店舗以上あり、商品の提案だけでなく、ハサミのメンテナンス管理や、新しいシャンプー台の導入をメーカーと調整、カラー剤のレシピを美容師さんと一緒に考えたりと、美容室の運営全体を支えるような仕事をしていました。

──まさに何でも屋さんですね。

そうですね(笑)。営業としての忙しさや体力的な大変さはありましたが、それほど苦には感じませんでした。というのも、中学ではソフトテニス部、高校では吹奏楽部に所属していたのですが、どちらも関東大会や全国大会で優勝を目指すような環境だったんですよ。結果を出すために努力を積み重ねることが当たり前だったので、仕事でも目の前の課題に粘り強く見き合う癖がついていたんだと思います。

──nuguでは、メンズカテゴリーを立ち上げるタイミングでの参入。ご自身が選ばれた理由はどこにあったと思いますか?

当時は、メンズファッションを発信するインフルエンサー自体がまだ多くありませんでした。発信を始めていた方の多くはすでに自身のブランドを運営していたので、ブランドを持たずにファッションを発信している人は限られていたんです。そうしたタイミングも重なって、自分を見つけていただけたのではないかと思っています。

──活動する中で、大変だったことは?

商品の着用撮影ですね。多い時は、1ヶ月で60着以上を撮影していました。基本的にスタジオではなく屋外で撮影していたので、大量の洋服を持ち運びながらロケーションを回る必要があり、体力的にもかなりハードでした。

天候によっては、予定通り撮影できないこともあり、スケジュール管理にも苦労しましたね。当時は朝から日が暮れるまで撮影を続け、その後に写真のセレクトやデータ整理を行う毎日でした。

──SNSの発信では、どんなことを意識していたのでしょうか。

まず意識していたのは、「この服を自分が着たらどう見えるか」を想像してもらうこと。撮影箇所を毎回変えたり、日常の延長線上で着用シーンがイメージできる見せ方を意識していました。

ただ、既存のフォロワーに向けて発信するだけでは売り上げが伸びないのも事実です。当時は、nuguで最も売上が高い方に追いつきたいという目標もあったので、新しい人に投稿を届けることを常に考えながらSNSを運用していました。

そんな中で取り入れたのが、投稿画像にブランド名やアイテム名を載せるクレジット画像でした。今では一般的な見せ方ですが、当時は洋服の写真だけを投稿し、「どこの服ですか?」というコメントに返信する形が主流でした。でも、それでは購入までの導線が長いと感じたんです。最初から商品情報を載せた方が、見た人もすぐに購入できるのではないかと考えて投稿したところ、その日のうちに投稿経由で売上が大きく伸びました。

結果的に、それまでの3倍以上の売上につながり、購入者も一気に増えました。自分でも驚きましたが、変に格好よく見せることよりも、「分かりやすく伝えること」の方が、当時はユーザーに響いたのだと思います。

── 一気に伸びがあったんですね。

本当に怖いくらい伸びました(笑)。ただ、一度結果が出ると、「ここが自分のピークかもしれない」と考えてしまうタイプなんです。だからこそ、その先も結果を出し続けるには何を変えるべきか、何を積み重ねるべきかを常に考えています。

その感覚は、高校時代の経験が影響しているのかもしれません。高校1年生の時に全国大会で優勝した一方で、最後の大会では全国3位という結果でした。一度成功を経験しているからこそ、それを維持し続けることの難しさを早い段階で知りました。その経験が、今も「現状に満足せず改善を続けよう」という考え方につながっているのだと思います。

「選ぶ」から「作る」へ

──ブランド「Élanque」を立ち上げた経緯を教えてください。

nuguでのセレクトの活動は今も楽しいですし、自分がいいと思ったアイテムを提案できる魅力があります。ただ、セレクトを手がける人が増えていく中で、自分らしさをもっと表現するには、オリジナルブランドを持つ必要があるのではないかと考えるようになりました。

自分のブランドを立ち上げるのも最初は自信がなかったんですが、ある企業の方から「一緒に商品を作ってみないか」と声をかけていただき、ニットポロシャツを制作してZOZOTOWNで販売することになりました。日本で最も認知度の高いファッションECで、自分のブランドがどこまで通用するのかを試してみたかったのもあります。

──実際にブランドを運営してみて、どうでしたか?

販売開始から10分も経たずに完売して、「自分はオリジナルの商品作りにも挑戦できるかもしれない」と感じられ、自信にもつながりました。

ただ、それと同時に、服を売ることの難しさも実感しています。nuguでは多くの商品を扱うため、ヒット商品が生まれる確率も比較的高くなります。一方で、ブランドは限られた型数でシーズンの売上を作らなければなりません。さらに、生産数もブランドの規模に応じて決まるため、売上を大きく伸ばすには、一つひとつの商品を売るだけでなくブランドそのものを成長させていく必要があります。そうした責任の重さも含めて、ブランド運営の面白さであり、難しさだと感じています。

──nuguでのセレクトと自身のブランドでは、意識していることも違いますか?

nuguは、「真似したい」「取り入れてみたい」と思ってもらえるような、親しみやすい存在であることを意識していました。一方でブランドでは「憧れる存在」であることを大切にしています。そのため、自分自身の見せ方だけでなく、ブランド全体の世界観作りにも注力しています。

例えば、ディレクター本人が着用して発信するブランドもありますが、それではnuguでの活動と差別化ができません。だからこそ、モデルを起用したり、スタジオ撮影を取り入れたりしながら、ブランドとしての世界観を表現することを意識しています。目指しているのは自分が発信しなくても売れるブランド。私個人ではなく、ブランドそのものにファンがつく状態を作りたいと思っています。

──インフルエンサーの中には、自身を前面に打ち出してブランドを展開する方もいます。あえて一歩引いた立場でブランドを育てようと考えたのはなぜですか?

先ほどもお話したように、「今が自分のピークかもしれない」という感覚がどこかにあるからだと思います。5年後、10年後も今と同じように発信できるとは限りません。だからこそ、自分の影響力に依存するのではなく、ブランドそのものに価値を感じてもらえる状態を目指したいと思っています。もちろん、自分がPRを全くしないわけではありません。ブランドを知るきっかけは僕でも、その先はブランド自体のファンになっていただきたい。その考えは一貫しています。

実は、ブランドを立ち上げた当初は、自分が発信しないと認知されない状況でした。そこで、自分ではなくブランドを目的に見てくださる方を増やすことを意識して発信を続けた結果、ブランドのInstagramも少しずつ成長し、商品によっては販売開始から10分ほどで完売するようになりました。ブランドにファンをつけることの大切さを実感しています。

──日々、高い基準で自分自身と向き合っている印象を受けます。モチベーションやメンタルを保つためにしている意識していることはありますか?

落ち込んだ時ほど、自分の気持ちを言葉にするようにしています。包み隠さずに発信するスタイルなので、ネガティブな気持ちも「note」に書いて整理することが多いです。

もともと動画で話すことが多かったんですが、短い尺では伝えきれないこともあります。文章にして書き出していくと、自分の考えも整理されますし、それを読んだ方から共感や応援のメッセージをいただけることもあって、また頑張ろうと前向きな気持ちになれます。

──やりがいを感じる瞬間はどんな時ですか?

やはりブランドの服に対して、お客様からいい反応をいただけた時ですね。SNSでは、自分の動画が伸びて喜ぶのは基本的に自分だけ。でもブランドは、商品が売れると会社の方も一緒に喜んでくださいます。その喜びを共有できることが、今の一番のやりがいです。

以前、ファンの方を招いたオフラインイベントを開催した際に、看護師の方が「夜勤の仮眠前に動画を見て元気をもらっています」と声をかけていただいたことがありました。自分の発信が誰かの日常の支えになっていることを実感できた瞬間で、純粋にうれしかったですね。

──今後のキャリアビジョンや目標を教えてください。

まずは、街中で自分のブランドを着ている方を自然に見かけるようなブランドに育てたいと思っています。nuguでは、自分のセレクトした服を着てくださっている方を見かける機会がありました。次は、自分たちが一から作ったブランドでも同じ景色を見られるように、一つひとつのシーズンを大切に積み重ねていきたいですね。

また、ファンイベントを通じて、ファンの方同士がつながっていく様子を見るのも好きなんです。人と話すことや、お酒の席で自然と交流が生まれる空間も好きなので、将来的にはアパレルに加えて居酒屋のような、人と人がつながれる場所も作ってみたいと思っています。

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三谷温紀(READY TO FASHION MAG 編集部)

2000年、埼玉県生まれ。青山学院大学文学部卒業後、インターンとして活動していた「READY TO FASHION」に新卒で入社。記事執筆やインタビュー取材などを行っている。ジェンダーやメンタルヘルスなどの社会問題にも興味関心があり、他媒体でも執筆活動中。韓国カルチャーをこよなく愛している。

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