スーパーマーケット全米2位のアルバートソンズが売上高減、低所得層がウォルマートやアマゾンに流出

全米2位のアルバートソンズ。約2,200店を20近い看板で展開する巨艦だが、第1四半期は既存店売上が約1%減と失速。低所得の客がウォルマートやアルディ、アマゾンへと流れ、その台所では安いタンパク質へのシフトが進んでいる。

全米2位のアルバートソンズ。約2,200店を20近い看板で展開する巨艦だが、第1四半期は既存店売上が約1%減と失速。低所得の客がウォルマートやアルディ、アマゾンへと流れ、その台所では安いタンパク質へのシフトが進んでいる。

全米2位のアルバートソンズ。約2,200店を20近い看板で展開する巨艦だが、第1四半期は既存店売上が約1%減と失速。低所得の客がウォルマートやアルディ、アマゾンへと流れ、その台所では安いタンパク質へのシフトが進んでいる。

スーパーマーケット全米2位のアルバートソンズが、第1四半期決算で厳しい現実を突きつけられた。
既存店売上高は前年から約1%減。スーザン・モリスCEOは投資家向け電話会議で、客がどこへ逃げているのかを隠さなかった。
「最大の流出先は大手だ。ウォルマート、アマゾン、そしてある程度はアルディへ」。
約2,200店を20近い看板(セーフウェイ、ボンズ、ジュエル・オスコ〈Jewel-Osco〉など)で展開し、年商は約800億ドル(12兆8,000億円)に達する巨艦が、価格を武器にする競合へと客を吸い取られている。
売上マイナスの主犯は低所得層だった
既存店マイナスの最大の要因は、低所得の買い物客だった。
シャロン・マッコーラム社長兼CFOによれば、この層は購入点数(ユニット数)でも、1回あたりの買い物カゴの大きさでも明確に弱含んだ。
来店はしても、買う量が減っているのである。一方で高所得の客は相対的に底堅く、支出を維持した。
つまり売上の目減りは全体的な失速ではなく、家計が最も苦しい層のカートから商品が消えたことによって引き起こされている。
安いタンパク質へ逃げる食卓
象徴的なのが肉である。マッコーラム氏は、低所得の客がより安いタンパク質へと切り替えていると語った。
ステーキや上位カットを避け、価格の安い部位や代替のタンパク源に手を伸ばす。
全米の食品データでも消費者が肉の購入量そのものを減らす傾向が確認されており、アルバートソンズの店頭はその縮図となっている。
食卓の質を落としてでも支出を抑える——それが今の米国の台所の現実だ。
「量が減る米国スーパー」の最新証言
この連載で追ってきた「量が減る米国スーパー」の物語に、当事者からの生々しい証言が加わったことになる。
米国では直近も食品の販売数量が前年を割り込み、値上げによる金額の底上げが数量減を覆い隠す構図が続いているのだ。
数字の上で語られてきたこの現象を、全米2位の経営陣が「うちの客が逃げている」と自ら認めた意味は重い。
数量減の痛みを負っているのは、無名の地方スーパーだけではないのである。
値下げは「外科手術のように」選択的に
反撃の手は値下げだが、そのやり方は慎重だ。モリスは価格の引き下げを「外科手術のように、選択的に」行うと繰り返した。全店・全品を一律に下げる安売り合戦ではない。
「これは広範な値引きではない。客が購入を決める価格帯に、市場ごとに狙いを定めた投資だ」。
焦点は価格の“見え方”、生鮮、個客化、そして利便性の4点。原資は生産性の改善で捻出し、利益を削らずに価格を演出する構えである。
狙いは「純粋な価格勝負」からの引き留め
最優先は、逃げていく低所得客の引き留めである。会員データを使い、この層に狙いを絞った価格ロックや個別クーポンを打ち込む。
モリスCEOは、こうした施策で「純粋な価格勝負の相手へ、これ以上激しく流出しないよう食い止めたい」と述べた。
ウォルマートやアルディのように“安さそのもの”を看板に掲げる相手と正面から殴り合うのではなく、データで狙い撃ちして踏みとどまらせる作戦だ。
通期見通しは下方修正、既存店はマイナスへ
痛手は目先の四半期にとどまらない。会社はこの低所得客の失速を理由に、2026年度の通期見通しを引き下げた。
従来は既存店売上を横ばいかプラスと見ていたが、今はマイナスに転じると見込む。
全米2位が自ら弱気の数字を出さざるを得ないほど、客離れの圧力は重くのしかかっている。
サプライヤーにコストを飲ませる交渉
下期にはさらにサプライヤーからの値上げ要請が控える。モリス氏の構えは強硬だ。
「取引先には自らコストを吸収するよう強く迫っていく。我々は価値提案の適正化という目標を明確に示している。彼らには踏ん張ってもらう」。
客に価格を転嫁すればさらなる流出を招く。ならばメーカー側にコスト増を飲ませる——価格競争のしわ寄せを川上へ押し返す狙いである。
社長退任と組織再編で「身軽」に
不振の四半期は経営の刷新も伴った。2021年半ばから社長兼財務トップを務めたマッコーラム氏が退任する。
会社はより身軽で、価格を下げられる体質を目指し、店舗を少数のグループに集約し、店舗中央部(センターストア)の商品政策を本部へ一元化する新たな運営モデルへ移行する。
傘下ジュエル・オスコの社長も退くなど、幹部の入れ替えも相次いだ。
流出を止められるかが全て
一連の施策の核心は、結局のところ客の流出をどう止めるかの一点に集約される。
市場では「アルバートソンズは買収の標的として熟したのではないか」との観測まで飛び交い始めた。
全米2位という規模も、逃げる客を前にしては安全網にはならない。
安いタンパク質へ、安い店へと移っていく低所得層のカートを、外科手術のような値下げとデータの狙い撃ちで引き戻せるのか。その一点が、この巨艦の行方を決めるのである。
本日のレート1ドル=160円
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です!
この「量が減る米国スーパー」の話、ここで一度おさらいしておきましょう。
ベイン&カンパニーとニールセンIQの分析によれば、今年6月、米国の食品の販売数量(ユニット数)は前年比1.8%減。
値上げのおかげで売上金額こそ膨らんでいるのに、カゴの中身は着実にやせ細っているのです。
消費者の80%が支出を切り詰め、28%はわざわざ肉の購入を減らし、支出を減らす人の56%は安いブランドやウォルマートのプライベートブランドへと乗り換えました。
棚に並ぶ商品は前と同じでも、レジを通り抜ける量だけが静かに目減りしていく——中身をこっそり減らされた福袋のような状態です。
そして今回、全米2位のアルバートソンズまでもが「客が安いタンパク質へ逃げている」と白状しました。
数量減の痛みは、もはや地方の小さな店だけの話ではなくなってきたわけですね。
それにしても、財布のためとはいえ国民総出でカゴを軽くしている米国。ジムの会費を上げるより先に、スーパーが国民のダイエットを成功させてしまうかもしれません。
最終更新日:
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