

2026年秋冬ウィメンズシーズンでは、各ブランドが新たなヴィジョンを着実に定着させていくなかで、ワードローブに“ひねり”や“ずれ”、“違和感”といったエッセンスを加える着こなしが目立った。ジャケットの袖からシャツのカフをのぞかせたり、アシンメトリーに片襟を出したり、ウエストや肩のラインを変化させたり——。過度な装飾やわかりやすい強さではなく、日常に寄り添う服の中で個性を出そうとするのが今のムードだ。肌触りの良い素材や身体を包み込むフォルムには、個を主張するためというよりも、自身を守り、いたわるための強さがにじんでいた。変化の大きい時代だからこそ、わかりやすい強さを打ち出すのではなく、さりげない工夫や違和感によって自分らしさを表現する方向へ向かっているのかもしれない。ミラノ・パリファッションウィークのトレンドを、<アイテム / スタイリング / 柄 / シルエット>からなる12のテーマでピックアップした。
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目次
アイテム
パファージャケット









DRIES VAN NOTEN
Image by: ©Launchmetrics Spotlight
今シーズンのパファージャケットは、スポーティーな防寒着というより、身を守るように包み込むやわらかなボリュームが特徴。布団のような心地よさを思わせる丸みで安心感を与えたのは、「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」や「イザベル マラン(ISABEL MARANT)」のジャケット。実際に栓から空気を入れて膨らませることができるインフレータブルアイテムを多数発表した「ロエベ(LOEWE)」のコートは、レザー素材である点も驚き。ストールなど小物にまでふくらみのあるデザインが広がり、今季はこの“パファー感”がやさしさや親密さを添えるキーワードになっていた。
ロングカフ














PRADA
Image by: ©Launchmetrics Spotlight
手元の印象を変えるアイテムとして、ロングカフをアウターやセーターからのぞかせるスタイリングが多くのブランドで見られた。カフを見せることでルックの輪郭が引き締まり、いつもの着こなしに洗練さがプラス。今シーズンはテーラリングといった端正なウェアが多かっただけに、"抜け感"が際立った。ドリス ヴァン ノッテンの刺繍が施されたカフ部分は取り外しができ、実用性も兼ね備えた一着。差し色としてカラーシャツをセーターからのぞかせたのは「プラダ(PRADA)」。長めの袖は汚れやすいが、プラダは経年を感じさせる汚れもデザインの一部としていたのがユニーク。ひだやレースを施したデザイン性の高いアイテムも登場した。
サイハイブーツ









Chloe
Image by: ©Launchmetrics Spotlight
足元から存在感を放っていたのがサイハイブーツ。強さを出すだけでなく、全身のバランスを整え、マイクロミニ丈のスカートやパンツと合わせるのはもちろん、タイトなパンツをブーツインするスタイリングも見られた。着こなしを引き締める存在として、今季らしさを感じさせる一足だった。
マスキュリンテーラリング







TOD'S
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ジャケットやスラックスを軸にしたマスキュリンなテーラリングは、今シーズンを語るうえで欠かせない流れだった。しっかりとした肩のラインや少しゆとりのあるシルエットには、頼もしさがある一方で、ウエストマークやダーツで緩急をつけたデザインも登場。太めのパンツと合わせたハンサムなルックが多く見られた。
フルイドアクセント






CELINE
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全体として実用的な提案が多かった中で、まさに"ずれ"や"違和感"として効いていたのがフルイド(流動的)なアクセントだ。重くなりがちな秋冬ルックに、流れるようにオーガニックなラインを描く造形のピースが軽やかさを添えていた。「セリーヌ(CELINE)」やロエベが提案した顔が埋まるほどインパクトのあるネックウェアから、「ジバンシィ(GIVENCHY)」では風になびいたようなボウモチーフまで表現はさまざま。着こなしに余韻を残す要素として目を引いた。
スタイリング
ソックス in ヒール










PRADA
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ヒールやパンプスにソックスを合わせたスタイリングは今シーズン多くのブランドで見られたスタイリング。華奢なヒールに少しルーズなソックスを足すことで、ブーツとはひと味違う抜け感が生まれるテクニックだ。シューズは、ソックスと相性の良いアンクルストラップやバックストラップのデザインが豊富に登場。この"ちょっとした外し"が、今シーズンのリアルなスタイリングを象徴していた。プラダの刺繍入りソックスのように、デザイン性の高いソックスが多く店頭に並ぶことにも期待。
片襟見せ






BOTTEGA VENETA
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シャツやブラウスの襟を片側だけ外に出す"片襟見せ"も、メンズコレクションに続いて今シーズンを象徴するスタイリングのひとつだった。シンプルなルックでも、ほんの少し"ずれ"を加えるだけで、抜け感や動きが生まれた。アシンメトリーの遊び心のあるスタイリングはシャツの襟だけでなく、ジャケットの着こなしにも。「ニナ リッチ(NINA RICCI)」や「ヴィクトリア ベッカム(Victoria Beckham)」では、片襟の裏側を見せるアレンジも見られた。
柄
カラフルチェック
















Chole
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秋冬の定番柄であるチェックは、色の組み合わせや見せ方で例年以上に新鮮に映った。トラディショナルなチェックをはじめ、カラフルな配色も多く登場。ベーシックなウェアが多いシーズンだからこそ、柄の力がより際立っていた。定番でありながら、今季の気分を分かりやすく映す柄のひとつ。
レオパード








CELINE
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今季あらためて存在感を増したレオパード柄。コートやジャケットではグラマラスに、スカートやシャツでは着こなしのほのかなスパイスとして使われ、見え方もさまざまだった。シアリングやプリントなど表現方法によっても印象が変わり、ベーシックな装いにアクセントを添える柄として注目。
シルエット
ペプラム








GIVENCHY
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ペプラムは、着こなしのバランスを変えるシルエットとして、甘さや華やかさを添える役割を果たした。ウエストに立体感が出ることで、ジャケットやトップスの印象に新鮮さが加わるのがポイント。「ディオール(Dior)」ではメゾンのコードとして登場し、スカートやジャケットに先シーズンから引き続き多数登場したほか、ジバンシィでは構築的なジャケットとしてスマートな印象に仕上げていた。
ローウエスト









SAINT LAURENT
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今シーズンのローウエストは単なるY2Kの再来ではなく、1920年代のドロップウエストを思わせる、重心を下げたバランスで登場。ベルト使いもポイントで、アウターの上から腰位置を下げてマークしたり、通常丈のボトムに低めの重心をつくったりと、ここでも“ずれ”が効いていた。「シャネル(CHANEL)」でも先シーズンに続き、ドロップウエストのスタイルを打ち出していた。
ラウンドショルダー









BALENCIAGA
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肩のラインで目立ったのは、角ばった強いショルダーではなく、丸みを帯びたラウンドショルダーだった。パッドや仕立てによって肩まわりにふくらみを持たせ、コクーンシルエットへとつなげる提案も見られた。誇張のための強さではなく、身体を包み込むようなやわらかな構築性が今季らしく、彫刻的でモダンな印象を生んでいた。
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