8月11日に劇場公開される映画「バービー(Barbie)」。“リアルバービー“と評される主演のマーゴット・ロビー(Margot Robbie)のバービー人形の再現性や、ピンク色に溢れたバービーランドの世界観など、ヴィジュアルや予告の解禁時から注目を集めています。メガホンを取るのは、「レディーバード」や「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」といった数々のヒット作を手掛けるグレタ・ガーウィグ(Greta Gerwig)。60年以上にわたって世界中で愛されてきたバービー人形をモチーフに描かれた作品の魅力を解説します。
■「バービー」あらすじ
毎日が晴天で毎日が夏。ピンクに彩られ、すべてが完璧な夢のような世界「バービーランド」。沢山のバービーとケンが暮らすバービーランドでは、毎晩ダンスパーティーが開かれ、住人みんなが最高の日々を楽しんでいた。そんな中、人気者のバービー(マーゴット・ロビー)の身体に、ある日突然異変が起きる。元に戻るためには、人間世界に行く必要があると知ったバービーは、ボーイフレンド(?)のケン(ライアン・ゴズリング)とともに人間世界へと旅立つ。しかし、たどり着いたロサンゼルスの街で、奇抜な格好の2人は好奇の目にさらされ、トラブルを起こしてばかり。完璧なバービーランドとのギャップに衝撃を受けたバービーは、完璧とは程遠い困難だらけの人間世界で、大切なこととは何なのかを見つけていく。
目次
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「バービー」を楽しむための4つのポイント
衣装はシャネルだらけ!シーンごとに移り変わるファッション
本作では、マテル社がこれまでに展開してきたバービー人形を限りなく忠実に再現。さまざまな人種や職業に合わせたバービー人形が販売されていることから、主演のマーゴット・ロビーの他に、ケイト・マッキノン(Kate Mckinnon)やイッサ・レイ(Issa Rae)、エマ・マッキー(Emma Mackey)などがバービー役として作品を彩るほか、バービーのボーイフレンド(?)であるケンも、主演のライアン・ゴズリング(Ryan Gosling)をはじめ、シム・リウ(Simu Liu)、ンクーティ・ガトワ(Ncuti Gatwa)、スコット・エバンス(Scott Evans)といった複数キャストが務めます。
マーゴット・ロビーが演じるのは最も典型的なバービー。ブロンドヘアに足元は常にハイヒールで、キャミソールワンピースやコットンブラウス、大胆なチェック柄のセットアップ、リゾートワンピースなど、バービーを思い浮かべた時のファッションのイメージをそのまま表現した“完璧な”バービースタイルを常に身に纏っています。マーゴットが纏うバービースタイルの中には、彼女自身がアンバサダーを務める「シャネル(CHANEL)」のアイテムも多数登場。シーンによって移り変わるバリエーション豊かなコーディネートからは、目が離せません。ちなみに、マーゴット・ロビーは予告映像の2分39秒の中だけでも、15種類の衣装を着用しているんだとか。
「ミーン・ガールズ」の影響も?徹底されたピンク色の世界
本作の一番の見どころと言えば、ピンク一色で統一されたバービーランドの世界。制作中には、ピンク色のペンキが世界中から消えたという逸話もあるほど、とにかくピンクにこだわったセットが特徴です。監督のグレタ・ガーウィグは、サラ・グリーンウッド(Sarah Greenwood)が率いる美術チームとミーティングを重ねて、鮮やかなショッキングピンクや薄いパステルピンクなど、さまざまな種類のピンクの組み合わせを考えながらセットを組み立てたのだとか。ちなみに、バービーランドのセットには、黒や白などのモノクロ一色で彩られたものは一つもないそう。
ピンクへのこだわりは、作中だけではなく制作の裏側にも及び、バービーの製作陣は、映画「ミーン・ガールズ」に登場する3人組“プラスチックス”が毎週水曜日を「ピンク色を身につける日」としていたことからインスピレーションを受けて、毎週水曜日のドレスコードをピンクにしていたんだそう。スタッフ全員がそのドレスコードを心から楽しんでいたというエピソードからは、現場の和気藹々とした雰囲気が伺えます。
華やかなだけじゃない!バービーランドとの対比で知る社会問題
本作では、華やかなファッションや世界観だけではなく、現代の社会問題を表現したストーリーにも注目。劇中では、マーゴット・ロビー演じるバービーが、ライアン・ゴズリング演じるケンとともにバービーランドを飛び出して人間世界を旅しますが、そんな2人を待ち受けているのは、バービーランドとは真逆の世界。
バービーランドでは、医者や学者、弁護士、大統領に至るまで、リーダーシップを取るのは常にバービーたち。自立した女性像を体現することで、人間世界の女の子にも勇気を与えていると信じて疑わなかったバービーですが、彼女が人間世界のロサンゼルスで目にするのは、バービーランドとは全く異なる社会でした。現実に触れ、新たなことに気づきを得たバービーが2つの世界で巻き起こす奮闘劇は泥臭さ満載で、現代社会で生きる全ての人々に勇気を与えてくれます。
リゾやデュア・リパなど豪華アーティストが楽曲提供
本作には、リゾ(Lizzo)やデュア・リパ(Dua Lipa)、ニッキー・ミナージュ(Nicki Minaj)、韓国発のアイドルグループ FIFTY FIFTYなど、多くの注目アーティストが楽曲を提供していて、鑑賞しながら思わず体が揺れてしまうような名曲揃い。鑑賞後には、作品の余韻に浸りながらサウンドトラックを楽しむのもおすすめです。劇中に登場するケン役のライアン・ゴズリングの歌唱シーンも必見ですよ。
コスチュームデザイナーに聞く制作背景
劇中では、60年以上にわたるバービーのファッションの変遷を年代順で表現しているのだそう。ストーリーとともに移り変わるバービーのファッションのテイストも見どころの一つとのことで、コスチュームデザイナーのジャクリーヌ・デュランにインタビュー。同じくグレタ・ガーウィグ監督作品「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」では、第92回アカデミー賞衣装デザイン賞を受賞した彼女に、映画「バービー」の制作背景について聞きました。
─どのようなアイデアから衣装制作をスタートさせましたか?
世界中で知られている人形を題材にした作品なので、まずは発売当時の1959年から現在に至るまで、バービーが何を象徴してきたのかを意識して衣装を決めていきました。制作開始当初は、バービーの衣装をハイファッションで固めてしまう案も浮かんだけど、バービーはあくまでも人形で、そのセンスには少しズレたところがあるのも事実なので、彼女ならではの着こなしの特徴をできる限り再現しようと決めました。
─制作する上で大変だったことは?
ストーリーラインに合わせて、衣装の順序を考えなければならなかったこと。正直、この作品を手掛けるまではバービーについて深く考えたことがなかったんです。ただ、制作していくうちに、バービーは、それまでは赤ちゃん人形でしか遊んでいなかった少女たちが、主体性を持った女性を象った人形で遊ぶようになるという変遷を描いているということに気がつきました。そのコンセプトをもとに、1959年から現在までのバービーを網羅して、フルに表現した衣装にしたいと思ったんです。バービーが誕生したのは1959年で、予告編に登場するのもボーダー柄の水着を着た1959年の元祖バービー。映画の前半では、その当時のノスタルジックさをイメージして、後半では、女性についてまわるステレオタイプをひっくり返したような、自立した女性を象徴する「何でもできるバービー」というポジティブなメッセージを表現することを意識しましたね。
─衣装の見どころは?
劇中に登場する衣装のほとんどは、バービー人形にインスパイアされたものか、バービー人形を模したレプリカになっています。バービー人形といえば、パッケージで販売されている完璧なコーディネート。目的に合わせて洋服を着替えるのが特徴なので、映画でも、バービーのキャラクターではなく、行事やその時々の目的をベースにした衣装になっているところに注目してほしいですね。
■「バービー(Barbie)」
2023年8月11日(金)全国ロードショー
公式サイト
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