Image by: FASHIONSNAP(Tomohiro Inazawa)

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FASHIONSNAPによる業界の職業図鑑。ビューティ業界にはどんな職業があるのか。名前は聞いたことがあっても、実際にはどんな仕事をしているのか。そんな疑問を解消すべく立ち上がった連載企画です。業界の最前線で活躍する人に、リアルな職務内容や必要なスキルをファイリングしていきます。ビューティ業界への理解を深めるとともに、将来この分野を志す人にとって、進路や就職活動を考える際の手がかりとなることも目指しています。
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第8弾は薬事職編。日本ロレアルの薬事成長戦略チームに所属し、シニアスペシャリストとして活躍する奥住絵里氏の協力を得て、この職業の魅力を探ります。
目次
薬事職ってどんな仕事?
化粧品の薬事職は、製品が薬機法に適合しているかを確認し、承認申請や届出、表示・広告のチェックなどを行う専門職。開発から販売までの各段階でリスクを管理しつつ、行政との橋渡し役を担い、適正な流通を支える役割を果たしている。

まずは開発初期の処方を検討する段階で、法律に基づいて使用禁止成分や配合上限の確認を行います。その後、製品を販売するための行政への届出や、申請業務を経て上市への準備を進めていきます。さらに、パッケージや広告表現における製品訴求についても適法性をチェックし、マーケティング担当者と連携しながら表現を調整していきます。
奥住さんはなぜ薬事職を目指したのでしょうか?
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理系のバックグラウンドを活かせる仕事を探す中で、自然と化粧品業界に興味を持ちました。ただ、私は理工学部の物理学出身だったので、化学の専門的な知見が求められる開発職は難しいと感じていたんです。

薬事職は、製品の流通に至るまで多様なタッチポイントがあり、より幅広い経験やスキルが活かせるんです。コスメ好きであったことも後押しとなり、この仕事を志すようになりました。

薬事職になるには?
薬事職になるには、薬学を専門的に学んだ上で就職するのが王道。ただ、例外も多くあるため必須の経歴ではない。

業務の性質上、薬学を専門的に学んだメンバーが多いことは事実です。ただ、物理学を学んだ私でも問題なく適応できましたし、文系学部の出身者が活躍した例もあります。
必要な資格や勉強すべきことはありますか?


化学や薬機法についての知識はもちろん必要です。ただ、入社以前に専門的に学んだ経験が必須の条件なわけではなく、むしろ業務を通じて知識を積極的に吸収する力の方が重要であると感じています。海外に輸出する製品を現地の法令などを踏まえてチェックするチームなどもあり、その度に新たな知見が求められるからです。
奥住さんも海外でのご経験が?


私も、中国の研究所で現地の化粧品規制(CSAR)について学んだ時期がありました。規制に関する知識はもちろん、同国の市場の特徴についても理解が進む貴重な経験でした。ユーザーに刺さる訴求の仕方は、国によってかなり違いがあります。

薬事職のある1日のスケジュール

やりがいは?

「全ての製品は自分たちの薬事チェックを経て世に出る」という責任感がやりがいにつながっています。特に自分が担当した製品訴求が売上に貢献できたときや、店頭でその訴求を目にしたときなどに、頑張ってよかったな!という実感が湧きますね。

大変だなと感じる時は?

私たちの仕事は、担当ブランドのタイムラインやスケジュールの影響を直に受けます。製品数が多かったり流れの早いブランドだと、短期間で多くの薬事チェックを行わなければならないため、業務上どうしても負荷がかかる瞬間があります。
法律との板挟みなど、関係部署との折衝も骨が折れそうですよね。


規制上のリスクを正しく伝えることが仕事ですが、ブランド側はリスクのある攻めた訴求を希望する場合が往々にしてあります。ビジネスサイズとのバランスを考慮した難しい判断も多く、大変です......。

薬事職の収入はいくら?
会社や等級、業務内容などによる。
薬事職からの発展性、転職などは?

薬事職は化粧品メーカーであればほぼ必ずある仕事で、高い専門性が身につくため、同じ業界であればどこでも即戦力として重宝されると思います。また、処方開発から製品が流通するまでの一連の流れに幅広く携わるので、転職やキャリアアップにおける可能性も広がるでしょう。

薬事職に向いている人や大切なこと

薬機法に違反すれば製品回収などのリスクがあり、緻密で正確な仕事ができなければ務まりません。多くの製品に並行して携わるため、マルチタスクへの適正やスケジュール管理の能力も求められます。
厳格さが求められる職種ということですね。

FASHIONSNAP

そうですね。ただ一方で、特に製品訴求のチェックについてですが、クリエイティブな発想力も重要です。単に規制上使えない表現だと突っぱねるだけではなく代替案を提案するなど、マーケティング部門と二人三脚できる制作者の視点が求められます。
薬事職を志す人に向けて

薬事は、専門性の高い部署という印象を持たれがちですが、実際には処方開発から製品がお客様の手に届くまで、多くの部署と関わりながら横断的に業務を進めることができる仕事です。薬事の専門知識が身に付くだけでなく、製品作りからその訴求に至るまで幅広い知見を積めるため、業界全体を視野に入れたキャリアの広がりが期待できる職種だと思います。化粧品業界は変化も競争も激しい世界ですが、美しさを届けるという普遍的な価値に共感できればやりがいがあるはず。ぜひチャレンジしてみてください!

薬事職の年間スケジュールの一例


薬事職は、法律を扱うというイメージから厳格さばかりを想像していましたが、特に製品訴求においては表現力やアイデアも求められるという点が意外でした。薬学部出身者が多い印象だったので、他の理系学部はもちろん、文系出身者でも活躍のチャンスがあるというギャップは魅力的ですね。

photography: Tomohiro Inazawa
最終更新日:
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