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【連載:美を伝える人】キッカやアンミックスでカリスマ的人気の吉川康雄氏(8) キッカ終了の時、「自分らしさを手に入れるのがメイク」を続けていく決意

【連載:美を伝える人】キッカやアンミックスでカリスマ的人気の吉川康雄氏(8) キッカ終了の時、「自分らしさを手に入れるのがメイク」を続けていく決意

(7)から続く。

 60歳以上をターゲットにした「キッカ(CHICCA)」をスタートさせた吉川氏。60代以上の女性の肌が思った以上にキレイでありながら、必要のないお粉を多くはたいてしまうなどの問題も浮き彫りに。また、もともと綺麗な肌であるはずの日本人が、疲れ切った肌に見えたことに驚愕する。そんな日本人の女性に向け、新しい“ツヤ肌”を提唱。理解されるのに時間を要したが、地道な“布教活動”を続けたことで、じわじわとファンが増えていった。そんな中、年齢に区切るブランドコンセプトに疑問を感じ、何度もの話し合いの末、会社を説得。60代以上というターゲット年齢を取っ払うことができた。連載「美を伝える人」ビューティクリエイター吉川康雄氏(8)

ー年齢から“解放”された後に発表されたアイテムは、さらにメイクの概念を変えていったと思います。たとえば、それまではいかに発色させるか、つまり5/5の発色が当たり前の中で、「2/5発色」という考え方はとても印象的でした。

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 肌を覆い隠すのではなく、肌を透けさせることを意識しました。生まれ持った素肌と、メイクの効果がちょうど良く混ざり合う処方の表現が2/5発色だったんです。生まれ持った顔立ちや肌の特徴を生かしつつメイクが相乗効果を与える。自分らしさがありながらも、いろんなムードを楽しめるお化粧を目指しました。

ーメイクが苦手な人ややり過ぎないメイクを求めていた人に、自分らしさを取り入れられるメイクアップとして、「2/5発色」は、とても高い支持を得たのではないでしょうか。振り返って、キッカではどのようなメッセージを伝えたのでしょうか?

 そもそも、メイクは何のためにするんだろう?ということを長く考えました。変身したいから?もしくは自分の嫌なところを消したいからなのか?人間は、つい自分にはないものを求めがちです。でも生きていく中で、自分の持っているものの尊さに気づくことはもっと大切だと思うのです。僕はメイクを通じて、それを感じてもらえるのではと思いました。メイクで理想の自分を作り込むことで、一瞬満足できても、いつかそのギャップで生きづらくなる。僕が伝えたかったのは、メイクは自分らしさを見つけたり、それを楽しむことができるということ。そう上で、たまに変身メイクも楽しいですけどね。

Imaged by カネボウ化粧品

ー「メイクは自分らしさを見つけるもの」。とても深いですね。

 年齢についても、今までの化粧品ビジネスは、歳を取ることを悪として、取らないためのメッセージを発信してきたと思うんです。でも人は時間と共に変化し続けることは当たり前なんです。だからその時々の自分を最高の状態に見せれるものの研究とともに、死ぬまで寄り添っていける美の価値観が必要だと思っています。

ー「死ぬまで寄り添っていける美の価値観」…。これも深いですね。

 人には取扱説明書は付いていませんから、自分でケアする方法を見つけていかないといけませんよね。だからと言って、例えば“メイクして誰かに褒めてもらうと元気になる”と思うなら、自分が何が好きか?よりその人が何が好きかを考えてしまいます。でもその人の好きなメイクが自分らしいとは限りません。他人に元気をもらうことは時々あったとしても、それだけに頼るとどんどん自分が見えなくなると思うのです。だからこそ、自分に一番身近な自分こそが、絶対的な混じり気のない愛情と寛容さで、どんな時も自分でも、元気つけなくてはいけないと思うのです。その元気づけの裏付けとして、自分に寄り添ってくれる柔軟な美の価値観があるといいですよね。

 例えば、自分の生まれ持った姿を考えるときに、小さい唇がコンプレックスだったとしても、ちょっと考え方を変えると小さな唇の良さが見えてくるはず。体型もそう。太っている人、痩せている人がいるのは当たり前で、それぞれに魅力があるわけです。でも今までのビューティスタンダードでは、誰かが形に優劣をつけているので、不必要なコンプレックスを作っていると思うのです。僕は人それぞれの存在をきちんと肯定してくれる新たな美容の価値観が、これからは必要だと感じました。

キッカ時代の吉川氏。「人それぞれの個性を肯定してくれる価値観を美容で作らないとと思っていた」

ーそんな思いで10年にわたり女性の美の考え方を変えてきた吉川さんですが、2019年にキッカのブランド終了が発表されました。とても驚きました。

 僕には会社の事情はわかりません。それは、あえて僕が聞く立場にもいないとも思います。ブランドが終了する理由を聞かなかったですし、聞く意味もないと感じました。会社には化粧品で世の中の女性を幸せにしたいという思いがある一方で、いろんな他の事情もあると思うから、あえて何かを言うということはしませんでした。それでもカネボウ化粧品は本当に許容が広かったと思います。会社の方針と一致しないことでも、キッカに反映させてくれたことも何度もありましたし。だけど自分が発信したいことと、大手化粧品会社としてビジネスを進めることに無理があったのかもしれませんね。

ー退任された時は、SNSでも相当な反響がありましたよね。惜しむ声があふれていました。

 ありがたいことに、僕が作るものに共感して下さった方が多くいたことを知りました。それまで地道に発信してきたメッセージが、ここまで多くの方に理解されるようになったとは。たくさんの温かい言葉から、こんなにも多くの人に支持されていることに気づかされ、本当に感動しましたね。

ーそして自身のブランド、「アンミックス(UNMIX)」を立ち上げました。構想はいつごろからでしょうか?

 キッカが終了すると決まったころには構想していました。基本はキッカと同じですね。キッカはカネボウが作ったコンセプトから始まりましたが、年齢を取り払ったこと、「メイクは自分らしさを手に入れるモノ」「死ぬまで寄り添っていける美の価値観」などは、キッカの10年間、さらにはその前から関わってきたメイクアップを続けた中で気づいたこと、自分の考えの変化などが、今、アンミックスに反映されています。

ー(9)に続く。

(文 エディター・ライター北坂映梨、聞き手 福崎明子)

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