ボルトスレッズCEOのダン・ウィドマイヤー(Dan Widmaier)氏
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Fashionインタビュー・対談

キノコの菌糸体からレザーを開発するボルトスレッズ CEOが語る「サステナ素材と日本企業の親和性」

 土屋鞄製造所が、キノコの菌糸体から生まれたレザー代替素材「マイロ(Mylo)」を使用したアイテムを発表した。開発したのはランドセルや鞄など計6型。マイロを使った商品開発は国内でも初の取り組みとなる。タッグを組んだのは、アメリカ・カリフォルニア州のバイオテック企業「ボルトスレッズ(Bolt Threads)」。「ステラ・マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」をはじめ、「ルルレモン(lululemon)」や「アディダス(adidas)」、ケリング(Kering)とも協業するなど世界から注目されている同社はなぜコラボレーションの相手に土屋鞄製造所を選んだのか? ダン・ウィドマイヤー(Dan Widmaier)CEOが語る、サステナブル素材と日本ブランドの親和性。

土屋鞄製造所

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ボルトスレッズCEOのダン・ウィドマイヤー(Dan Widmaier)氏 Image by FASHIONSNAP
ボルトスレッズCEOのダン・ウィドマイヤー(Dan Widmaier)氏
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まず、マイロとはどんなものなのでしょうか。

 マイロは、キノコの菌糸体から生まれたレザー代替の新素材です。菌糸体の繊維はすごく微細なので、加工を施すことで、柔らかな手触りと上質感を実現しています。また、柔軟性もあるので、様々な製品に利用できる汎用性も魅力です。マイロに使用するキノコの菌糸体は、100%再生可能なエネルギーで稼働する最先端の垂直農法施設で生育されています。生育に必要なものは、水と空気と菌糸体の表面を覆うものマルチング材のみ。2週間弱という短い周期で生育できるため、安定した供給も見込まれています。

マイロの開発にはどのくらいの期間がかかったのでしょうか?

 約2年間です。その中でサンプルは20個製作しました。1ヶ月に1サンプルくらいのペースなのでかなりの頻度ですね。これだけの短期間で変化を遂げる素材と、革や綿など従来の素材では商品開発の方法に大きな違いがあります。その差に対応できる企業はまだ多くないと思うし、そこは今後の課題のひとつだと思っています。

マイロの最初のサンプル(右)と現在のサンプル(中、左) Image by FASHIONSNAP
マイロの最初のサンプル(右)と現在のサンプル(中、左) Image by FASHIONSNAP

ボルトスレッズは2009年に設立。当時からサステナブル素材の開発に注力していた?

 会社設立当時、世間ではどこかサステナビリティについて触れないようにしているような空気がありました。環境に配慮しているかということや持続可能性よりも、素材としての質の高さが求められていましたから、どれだけ高品質な素材を開発できるかということにほとんどの企業が力を入れていたと思います。でも私は近い将来、環境に配慮した素材の開発が必要になると確信していたので、当時からサステナブルかつ高品質な素材の開発を行ってきました。

初の日本企業との提携に土屋鞄製造所を選んだ理由は?

 マイロはまだ新しい素材なので、マイロを使ったプロダクトを世界中の消費者に浸透させたいという思いがありました。その中で日本の企業との提携はずっと検討していて、約2000以上の候補がありましたが、クラフトマンシップと高い技術力を有する職人を抱え、自社での素材開発の経験が豊富な土屋鞄製造所との提携を決めました。

ー日本企業と提携することの狙いとは?

 日本企業はサステナブルな新素材を使用した商品開発との親和性がとても高いと私は考えています。その理由が、クラフトマンシップと高い技術力です。マイロのような新素材を用いた商品開発には、長い時間とたくさんのトライ&エラーが必要不可欠です。新しい試みなので失敗は当たり前。その失敗を踏まえて試行錯誤を繰り返すことで、より良い商品が生まれます。新素材は常に研究を続けアップデートさせているので、2ヶ月程度の短い期間で素材そのものが大きく変化するなんてことも。ですから商品開発も、その進化に素早く柔軟に対応しながら進めていく必要があるんです。新しいことに挑戦する意欲があり、高い技術力を持つ職人がいる日本企業は、まさにサステナブル素材を使った商品開発との相性が良く、サステナ素材の可能性を広げてくれる。今回の土屋鞄製造所との協業でそれを改めて実感しました。

土屋鞄製造所とボルトスレッズが共同開発したアイテムとダン・ウィドマイヤー氏 Image by FASHIONSNAP
土屋鞄製造所とボルトスレッズが共同開発したアイテムとダン・ウィドマイヤー氏 Image by FASHIONSNAP

日本のアパレル産業でも近年はサステナブルな取り組みが広まっています。

 アプローチの仕方はそれぞれ違いますが、今は世界中がサステナビリティに関心を持っている。根本としてみんなサステナビリティに向けて何かしら影響を及ぼしたいという気持ちは共通して持っていると思います。これは日本に限らず世界のアパレル企業に言えることですが、サステナビリティに対してより包括的に取り組んでいく必要があると感じています。

最後に、今後の展望について教えてください。

 サステナブル素材の開発というのは、たくさんあるサステナビリティへの取り組みのごく一部でしかありません。しかし今回の協業のように、サステナブル素材を使用した新しいプロダクトを提携企業と試行錯誤しながら開発することは、より多くの人にサステナビリティについて考えてもらうきっかけになると考えています。これを機に、日本でよりサステナブル素材について興味を持つ人が増えてほしいですね。開発したプロダクトを通して、我々が掲げるミッション「より良い素材、より良い世界を創造すること」に賛同してもらい、そして共により良い未来を作っていけたらと思っています。

(聞き手:志摩将人)

■ボルトスレッズ:公式サイト

■土屋鞄製造所:公式サイト

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