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コロナ経てファッション合同展の需要に変化? 若手ブランド中心に必要の声広がる

CENTER会場内の様子

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Image by: FASHIONSNAP

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コロナ経てファッション合同展の需要に変化? 若手ブランド中心に必要の声広がる

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 デザイナーズブランドを中心とした「合同展」が減少傾向にある。主にバイヤーやプレス向けに開催され、かつては若手ブランドにとってビジネスチャンス創出の場として重宝されてきたが、コロナを機に企業主催の大型からブランド有志で行われる小規模なものまで、合同展の数は減少。近年の若手ブランドの間では「バイヤーと接点を持つ方法がわからない」などの声もあるという。

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 このほど開催された新たなファッション合同展「センター(CENTER)」は、こうしたブランドからの声を受けスタート。主催者のひとりで、長年若手ブランドの展示会を巡り、自身も若手ブランドを中心としたセレクトショップ「アールフォーディー(R for D)」を運営する近藤弘一氏や、かつてデザイナー主催の合同展を手掛けた「ストフ(STOF)」の谷田浩氏らへの取材から、課題とファッション合同展の可能性を探る。

複数ブランドが集まる合同展はバイヤー・デザイナー双方にメリット

 コロナ以前は、アッシュ・ペー・フランス(H.P.FRANCE)による「ルームス(rooms)」を筆頭に、「ソレイユトーキョー(SOLEIL TOKYO)」や複数ブランドが有志で行うさまざまな合同展が存在した。特にルームスは最盛期には500ブランドが参加し、開催期間累計で2万5000人を動員するほどまで拡大し、ファッション業界の一大イベントになっていた。

 膨大なブランドが一堂に会することで、バイヤーやプレスは個別の展示会を回るよりも、まとめてブランド情報を仕入れることができる。若手ブランドにとっては、単独で展示会を行うよりも、各社のバイヤーへの連絡や会場設備の手間などを省けるほか、認知拡大および商談の機会を得られるといったメリットがあった。

デジタル化・“資料の充実”でリアル開催の意義が希薄に

 盛り上がりを見せていた合同展だったが、コロナの到来でファッション業界でもリアルイベントの自粛が広まり、バイヤーを集客しやすい大型の合同展が減少。前述のルームス(2023年)やソレイユトーキョー(2021年)は終了し、ファッションPRのワンオーが手掛け、日本のデザイナーブランドが集積されていた「PR01.TRADESHOW」も2021年以降、リアルで開催されていない。

 同時にデジタルリリースおよびコレクションルックの配信へと急速にシフト。シルエットや生地感を体験できないという窮地を補うべく、国内外のブランドを問わず、コレクションリリースの情報が充実されていった。3Dの着用画像の公開、テキスタイルに力をいれるブランドはスワッチ(生地見本)を送付するなどの工夫が見られた。

 谷田氏はこうした「充実した資料」への慣れも合同展のニーズ減少につながったのではないかと分析する。「大規模な合同展が減るとともに、手厚いブランド資料で事足りるようになったことで、(展示会に)行かなくても回るサイクルができてしまった」(谷田氏)。加えて近藤氏は著名な合同展は出展ハードルが高くなっていったことも要因の一つと考える。「合同展自体の知名度の高さはブランドにとってメリットではあるが、出展料の高騰にもつながった。若手クリエイターから出展を迷う声も聞いていた」(近藤氏)。

“空白期間”経て、ブランドからのニーズがじわり復活

 ブランド・企業ともに徐々にデジタル化に慣れていった一方で、コロナを挟んだ“空白期間”にデビューした若手を中心に、合同展を希望する声が上がるようになっていると、近藤氏はいう。「最近ではブランドのSNSも活発で、発信の工夫は目を見張るものがあるが、業界コネクションが希薄だとバイヤーと接点を持つのは難しい。自力でブランドのファンを拡大するには限界があり、卸の存在は大きい」(近藤氏)。

 こうした若手からの声を受けて、今年5月に本格的に開催に向けて始動。「自分のお店ではポップアップや合同展を継続的に行っているが、立地などの関係もあり制限がある。大型の合同展のノウハウは谷田氏など賛同してくれたブランドや運営の方々からの多大な協力を得た」と近藤氏。

“ブランドを主役”に新たなプラットフォーム目指す

 センターでは「ファッションの中心はパリだけじゃない。」をテーマに掲げ、ブランドを主役としたプラットフォームを目指す。近藤氏は「自分はあくまでも裏方」とし、参加者たちとフレキシブルに意見交流と行ったという。集客性を鑑みて、駅直結の渋谷ストリームを選定。これまでの合同展で課題に感じた出展料やブランドラインナップについては、関係者からの意見を取り入れながら試行錯誤した。

 ブランドセレクションは若手の支援を主題とながらも、ストフや「ボディソング(BODYSONG.)」、「ルルムウ(rurumu:)」、「イェーライト(YEAH RIGHT!!)」といった中堅ブランドの参加協力も得て、全36ブランドの接点創出のフックとなるようなラインナップへと調整。共催している上海ファッションウィーク公式イベント「MODE PLUS・TOKYO」が厳選した13ブランドも招致し、グローバルでユニークなブランドに出会える場を目指した。

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CENTER会場

 また、大阪・船場の生地卸が連携した独自ブランド「船場テキスタイル(SEMBA TEXTILE)」のブースも設置。to B要素の強いブースだが、常に産地や素材を探しているデザイナーと、ジャパンメイドの発信に力を入れる生地メーカーのマッチングは需要が高いという。関西ファッション連合理事で織物卸売 北高の高山茂也社長は「我々のような団体が、ブランドを中心とした合同展に出展するのは珍しい。日本から世界へと才能を輝かせるブランドの皆さんと繋がりができるのは、我々としても貴重だ」と参加の意義を語った。

船場テキスタイルのブース

 加えて、レセプションパーティーや一般入場が可能なマーケットデーを設け、ZINEやドリンク、フードの販売といったイベントとしての機能を備えることで、to C向けにも開かれた場とし、「新たなファンとの接点創出」も狙った。

 実際のバイヤー集客の成果は「まだ満足できるレベルではないが、次回開催への期待は持てた」と近藤氏。今後も継続開催の意向を示し、「2日間を終え、既にさまざまな意見が届いているが、それだけ参加者からの期待も感じる。まずは今回のフィードバックをもらい、ブランドの皆さんと共に改善していく。時代の変化と共に合同展の目指すべきところも変わっているので、良い形を模索したいきたい」と意気込む。日本の若手ブランドの新たなプラットフォームとなれるか、関心が寄せられる。

最終更新日:

■CENTER:公式サイト

FASHIONSNAP 編集記者

平原麻菜実

Manami Hirahara

埼玉県出身。横浜国立大学教育人間科学部人間文化課程卒業後、レコオーランドに入社。国内若手ブランド、国内メーカー、百貨店などの担当を経て、2020年にビューティチームの立ち上げに携わる。ポッドキャストやシューティング、海外コスメレビュー、フレグランス、トップ取材など幅広い観点でファッションとビューティの親和性を探る企画を進行。2025年9月より再びファッションチームに所属。映画、お笑い、ドラマ、K-POP......エンタメ中毒で万年寝不足気味。ラジオはANN派。

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