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【連載ふくびと】第4話 N.ハリウッドと尾花大輔――「なに勘違いしてんだ!」

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第3話からつづく――

 商標問題にぶち当たった尾花大輔。ブランドとして展開していくには、店名の「ミスターハリウッド(MISTER HOLLYWOOD)」とは別の名が必要だった。仲間との冗談半分の会話をきっかけに付けられたのが、現在のブランド名「N.ハリウッド(N.HOOLYWOOD)」。デビューコレクションは2002年2月、深夜のクラブイベントで発表することになった。――N.ハリ創業デザイナー尾花の半生を振り返る、連載「ふくびと」N.ハリウッドと尾花大輔・第4話

 

・冗談半分、FOOLな名前

 新しいブランド名を何にするか。外国人の知人に相談した時に「大輔はハリウッドで部屋を借りているのに住んでいないよね。なんとなく騙しているというか、ふざけてるような」と会話したのがきっかけで、「N.HOOLYWOOD」という名前ができました。古着の買い付けなどで米国に滞在するための家をノースハリウッドに借りていて名刺にも記していたんですが、実際はほとんど使っていなかったんです。なので、地名の「NORTH HOLLYWOOD」と、「騙す」とか「ふざけた」という意味のある「FOOL」を組み合わせてみよう、と考えて。「HOLLYWOOD」のスペルの「L」一文字を「O」に変えて「HOOLYWOOD」に。それで「N.HOOLYWOOD」。当時は「これでいいかもね(笑)」と冗談半分だったんですが、結局そのまま新しいブランド名になりました。

 「MISTER HOLLYWOOD」の屋号は、今も社名や店名として使っています。古着のリメイクを製作するミスターハリウッドからブランドが始まって、その作り方を続けながらフルオリジナルのN.ハリウッドが生まれたので、「Produce by」という意味をロゴの「1/2」に込めています。

現在のブランドロゴ

 フルオリジナルを増やしていく時、最初に作りたかったものの一つがジャケットです。古着のTシャツと細身のジーンズにジャケットを羽織るという、当時のミュージシャンのようなスタイル。それでポール・スミスの企画生産を担当していた人に入ってもらったり、OEMという仕組みを知ったり、経験者に教えてもらうことも多くありました。

 

・「なに勘違いしてんだ!」

 当時からお世話になっているスタイリストの二村毅さんに誘われて、クラブイベントで服を見せる機会をもらったのがN.ハリとしての最初のコレクションです。「再生」をテーマに、オリジナルと古着のリメイクを混ぜました。僕はそのインスタレーションの様子を、何もわからず客のいるフロアから見ていたんですが、自分の作った服がステージで披露される、その初めての光景は鮮明に覚えています。反響は思った以上。ものすごく大きかったので、終わった後は波に乗ってどんどんやるぞと意気込んでいました。

 でも正直、少し浮かれていました。それから半年後「今回はちゃんと場所を借りてランウェイをやろうと思っているんです!」と得意げに二村さんに伝えたら、「あの時そんなつもりで誘ったんじゃねえぞ!なに勘違いしてんだ!」とめちゃくちゃ叱られて。今思えば確かに勘違いしていたし、デザイナーとしての志も無かったんだと思います。

 調子に乗っていた若造の自分に喝を入れてくれて、二村さんには感謝しています。それがあったからこそ真剣にちゃんと続けてこれて、今があるのかもしれませんから。二村さんにはそれから2019年まで、17年にわたってショーのスタイリングを手掛けてもらいました。

 

・「ヤマモトヨウジさんて人、知ってるかい」

 2シーズン目となる2002-03年秋冬コレクション「as for the Lucifer」は、展示会形式でオリジナルをメインにしました。古着のディテールを取り入れたデザインで、コンセプトは二面性。振り返ると初期の頃は、当時の自分の精神状態がテーマに現れていたのだと思います。

 初めてのランウェイショーは、3シーズン目の「医療」をテーマにした2003年春夏コレクション。八王子に米軍の要請で建てられたという包帯工場の生き残りのような、マニアックな工場があるんです。そこに残っていた古い機械を動かして包帯やガーゼを織り、かなり細部まで拘って服に仕立てました。

 「さすがにこんなところまで誰も来たことないだろう」と秘境を見つけたような達成感を感じていると、工場の人に「あんた、ヤマモトヨウジさんって人知ってるかい」と不意に聞かれました。ええ、もちろんですと返すと「その人もずっと前にここに来ただよ」と言われて。「ス、スゲえな」と心底震えました。――第5話につづく

文:小湊千恵美
企画・制作:FASHIONSNAP.COM

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