宮永えいと
宮永えいと
Image by: FASHIONSNAP

Beautyインタビュー・対談

「男性メイクは仕事道具のひとつ」——メンズ美容系YouTuber 宮永えいとが目指す"身だしなみ文化"

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メンズメイクはマイナスをゼロに修正するもの

ー今年は自身のブランド「レタッチ(RETØUCH)」も立ち上げ、1月6日から販売します。ブランドはいつから構想していたのでしょう。

 ブランドデビューに向けて具体的に動き出したのは一年ほど前ですが、実はYouTubeチャンネルを開設してからすぐ計画はしていたので全体の構想期間は約一年半です。僕はYouTubeを始めた時に自分の活動の軸を「現場を作る(知る)」「コンテンツを作る」「プロダクトを作る」の三つに設定しました。美容師として男性の身だしなみについて現場に関わり、YouTuberで身だしなみに関するコンテンツを作る。それからコンテンツを参考にして実際に使えるプロダクトを作ることで男性の身だしなみ文化の形成を促せるのではないかと。

ーブランド名は画像の修正や補正を意味する「レタッチ」からとったものですか?

 僕が発信しているアラサー男性向けのメイクは、女性のメイクのように美しくする・華やかにするというプラスのものではなくマイナスをゼロにするものなので、ノイズがある部分を本来の姿に修正する画像編集という意味で「レタッチ」という名前がぴったりだなと思ったんです。それからロゴの「O」に入っているスラッシュは、「男性はメイクしない」という既成概念やマイナスな状態の自分を塗り替えるという思いを込めています。

ーデビューコレクションはBBクリームとリップクリーム。なぜこの2点にしたのでしょうか。

 BBクリームは塗る時って絶対に鏡を見ますよね。鏡を見るのは見た目PDCAの基本なので、身だしなみ文化形成のためのファーストアイテムに最適だなと。リップクリームは男性でも持っている人が結構いるのでメンズメイクの中でもハードルが低いものですが、どのポケットに入れたかわからなくなったりすぐに無くしてしまうことが多くないですか?だから持っておきたいと思えるリップクリームを作れば、常に身だしなみアイテムを持ち歩く習慣を作れるのではないかと考えました。

ーそれぞれのこだわりについて教えてください。

 BBクリームもリップクリームも男性が気兼ねなく使えるテクスチャーと仕上がりを重視しました。BBクリームはジェルのようにみずみずしく軽いつけ心地で、オレンジ色を少し混ぜることでクマや髭剃り跡の男性特有の青みをナチュラルにカバーできるように改良を重ねました。リップクリームは市販の製品に多いツヤ感を抑え、ソフトマットな質感に仕上げています。

ー本体デザインはマットなブラックのかなりシンプルなデザインです。

 メンズのメイク・スキンケア商材って、ガジェットやビジネスツールなど男性の生活と関わりが深いアイテムを連想させるカラーリングで作られることが多いんです。僕がターゲットにしているアラサーの男性たちにとってもそういうカラーの方が手に取ってもらえるだろうと考えてブラックを採用しました。小ネタですがリップクリームの大きさや重量感はUSBスティックをイメージしています。

パッケージはギフトボックスのようですね。

 これが通常仕様で、一個ずつ箱入りで販売します。原価を抑えるのが本当に大変でした(笑)。YouTubeで発信していく中で男性の身だしなみへの意識は女性からの助言で高まるケースがあると学んだので、贈りたくなるデザインを意識しました。

ーまずはブランド公式サイトでの販売ですが、今後の販路拡大や売上の計画は?

 いくつか店頭やオンラインサイトでの取り扱いについて相談をいただいていて検討中です。店頭販売については、ターゲットとしているアラサー男子にとって買いたいと思える場所と考え、まずは百貨店の紳士向け理美容品売り場を中心に展開していきたいですね。ただ、将来的にも取り扱い店舗を増やすことは特に目指していません。レタッチはあくまでも身だしなみ文化を広めるためのひとつの方法で、極端に言うと売上を伸ばすことが目的ではないので。

ーアイテム第2弾については、もう動き出しているのでしょうか。

 次はスキンケアやメイクを習慣化するために必要な周辺プロダクトとして手鏡とヘアバンドが進行中です。男性が鏡を見ると「ナルシスト」と言われがちですけど、そういう風潮もあわせて変えていきたいですね。

メンズメイクが"盛り上がっている"と評価するのは時期尚早

ーちなみに、これまでにメンズメイク・スキンケアブランドのプロデューサーや共同開発の依頼がきたことは?

 そういう依頼も色々といただいていましたが、身だしなみ文化の形成のために僕が必要だと思ったものを自由に作りたかったのでお断りしてきました。運営元が別の会社になると、どうしても売上重視になる可能性がゼロではないので、レタッチは100%自己資本で今年立ち上げた僕の会社シーク(CiiK)で販売します。

ー男性用化粧品市場はこの2015年〜2019年で109%に伸長し(2020年10月 インテージ社調査より)、今後も拡大すると見られています。宮永さんから見た市場の課題はありますか?

 僕がYouTubeを開設した2019年と比べるだけでも、男性向けのブランドやプロダクトは一気に増え、バラエティストアにメンズコスメの売り場が出来たりと買いやすさもある程度改善されたと思います。しかしながら、発信者としてユーザーの反応を見ていると、男性がスキンケアやメイクをするメリットについて完全に浸透していないですし、男性がメイクをすることへの忌避反応も解消されておらず、興味を持っても周囲の反応が怖いというのが現状です。売上の成長だけを見て盛り上がっていると考えるのは時期尚早。メイクをする・しないの選択肢が平等になってこそ、長期的な市場の成長が見込めるようになるのではないでしょうか。メーカーも小売業も発信者も、地道に魅力を伝えていくしか無いと思っています。

ー最後に、宮永さんの今後の目標を教えてください。

 YouTubeでは女性から男性に勧めやすいコンテンツを強化したいと考えていて、男性がメンズメイクを知るきっかけを増やしたい。レタッチは将来的にスキンケアやヘアケアも含めた男性の身だしなみ関連商品を網羅し、何か始めようと思った時の入り口になるブランドにするのが目標です。チャンネルを始めて一年半で登録者が10万人を超したのでメンズコスメ・スキンケアのニーズについては確信しています。現場・コンテンツ・プロダクトを同時に動かすことで、男性の身だしなみ文化を定着させて「メンズメイクは仕事道具のひとつ」だと捉えてもらえるくらいにしたいですね。

(聞き手:平原麻菜実)

■YouTubeチャンネル:大人男子LABO

■レタッチ:公式サイト

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著: 宮永 えいと
ブランド: KADOKAWA
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