Fashion インタビュー・対談

【インタビュー】デザビレ村長 鈴木淳「趣味でモノを作る人にデザイナーが負けてしまう時代が来る」

村長の鈴木淳
Image by: Fashionsnap.com

 ファッション関連で活躍する企業や若手クリエイターたちが入居する施設「台東デザイナーズビレッジ(=以下デザビレ)」が今年で10周年を迎えた。デザビレ設立当初からインキュベーション・マネージャーとして同施設の舵取りを担うのは通称「村長」と呼ばれる鈴木淳氏だ。同施設のブランドをサポートする傍ら、鈴木氏の助言を求めて来る相談者の対応にも追われるなど多忙な時間を過ごした10年。ファッション界を創業支援施設の村長という立場から見てきた鈴木氏が考える「これからファッション業界で求められるもの」とは?

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■デザビレを創設した理由

―千葉大学の工学部出身。どのような学生でしたか?

 バイトばかりしていた学生時代でした(笑)。進路は広告代理店か、商品企画を考えて、最終的にカネボウファッション研究所に入社しました。新卒で入社してからは、ファッショングッズの開発からユニフォーム、地場産業、自動車の内装、リゾート開発など、仕事だったら何でもしていましたね。30歳まで働いて、もっと自由に仕事をしてみたいと思い会社を退職することにしました。

―独立した後、NPO法人ユニバーサルファッション協会を設立しました。

 カネボウファッション研究所を退社してから色々と大変でしたが、NPO法人ユニバーサルファッション協会を設立しました。初めは小さい組織でしたが、その後法人で70社、個人で200人以上の会員を集め当時のファッション業界最大のNPOにまで成長しました。その規模になると会員収入だけで運営できるので、人を雇い私はフリーの立場になって違う仕事を始めることにしました。作ったものが大きくなるとまた新しいものにチャレンジしたくなってしまうんですね(笑)。

―デザビレの村長になったきっかけは?

 当時も創業支援施設はたくさんありましたが、ファッションの創業支援施設はありませんでした。台東区にそういうのができると聞いて、調べてみると産業振興と施設運営についての企画コンペがあり応募したことが始まりです。産業振興の仕事は前職でも手掛けたことがありましたし、施設運営の企業コンサルも担当したことがありましたので、その経験を活かしてみたいと思いました。まだ、そういう事をファッション業界でやっている人がいなかったんですね。他にも応募者がいたのでコンペをやり、私はデザビレに入居する予定の会社をどう成長させるかの戦略プランを作ってプレゼンテーションを行いました。

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―デザビレ創設当初の目標は?

 デザビレは地場産業と協業できるようなデザイナーを集めようというコンセプトでスタートしました。今業界にいるデザイナーは、既に企業に所属していることが多く一緒に仕事をするのが難しいんですね。そのため、デザビレでは地場の工場や職人などに仕事を依頼したり、逆に工場などからデザインを請け負うような人達を集めたいと思っていました。しかし、蓋を開けてみると自分のブランドを作りたいという起業家たちが多く集まってしまいましたね(笑)。

―村長としての仕事とは?

 大きく分けて3つあります。1つはデザビレのソフト面の運営を任されているので、セミナーを開いたりメルマガをしたり施設自体を認知させる広報としての仕事。2つ目は入居者のアドバイスをするといった施設内のマネージャー。3つ目が、地元企業との付き合いがだったり産地との付き合いなど人とのつながりを作る仲介の仕事です。第1期の頃は施設を有名にする活動を重点的に行い、2期以降は地元や産地との付き合いに力を入れました。ただ、入居者とのやりとりは他の創業施設に比べると圧倒的に時間が足りてないと思いますね。他の施設は入居者5組にマネージャー1人なのですが、ここでは19組に対して私1人で、全くマンパワーが足りない。そういった点は今後改善しなければいけないなと考えています。

―入居者へは具体的にどういったアドバイスを?

 最初のうちはマーケティング的な正論で、座学に近いアドバイスが多かったですね。ただクリエイタータイプは、基本的に学校の先生に言われたことは聞かないので本人はその必要性に気がついてないので身につかないことが多かったです(笑)。私自身が起業したことがあるので、組織運営や営業の仕方などある程度実践的なアドバイスをするように変えました。ただ、やはり「やりたいかやりたくないか」で判断してしまう人が多いので、何も考えずにスタートして問題に直面した時にアドバイスを求められたりしますね。

 今は先輩後輩やOB、OGというものがデザビレにもできたので、先輩が教えたり同期同士で助けあうということが増えてきました。自分以外の独立した人の仕事を見れる場所って世の中にあまりないですから、そういう意味でここは特殊な場所ではないかなと思っています。


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