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【髪を切る人、切られる人 #2】「DaB」ディレクター MIYOKOと「コトハヨコザワ」デザイナー 横澤琴葉の場合

「DaB」ディレクター MIYOKOと「コトハヨコザワ」デザイナー 横澤琴葉

左:「DaB」ディレクター MIYOKOさん、右:「コトハヨコザワ」デザイナー 横澤琴葉さん

Image by: FASHIONSNAP

「DaB」ディレクター MIYOKOと「コトハヨコザワ」デザイナー 横澤琴葉

左:「DaB」ディレクター MIYOKOさん、右:「コトハヨコザワ」デザイナー 横澤琴葉さん

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「DaB」ディレクター MIYOKOと「コトハヨコザワ」デザイナー 横澤琴葉

左:「DaB」ディレクター MIYOKOさん、右:「コトハヨコザワ」デザイナー 横澤琴葉さん

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 「センスの良いあの人は、どこで髪を切っているんだろう」。そんな疑問を抱いてスタートした、ファッションに造詣の深い著名人とその著名人の髪を切るヘアスタイリストによる対談連載。第2回のゲストは、「コトハヨコザワ(kotohayokozawa)」デザイナー 横澤琴葉と「DaB」ディレクター MIYOKO。

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 横澤さんとMIYOKOさんの出会いの経緯や、16年の付き合いだからこそ分かる変化、互いの仕事ぶりに共感すること、トレンドとの向き合い方とは…。さらには、10年後に挑戦したいヘアスタイルや“診断ブーム”への憂慮についてまで、慣れ親しんだ鏡越しの雑談を超え、膝を突き合わせて語り合う、髪と服の交点。

「コトハヨコザワ」デザイナー 横澤琴葉と「DaB」ディレクター MIYOKO


MIYOKO
インスタグラム
DaB AOYAMA ディレクター。デザイン性の高いスタイルとカラーテクニックに定評がある。ナチュラルな中にもスパイスの効いた、クライアントの個性を最大限引き出すデザインを得意としている。サロンワークのみならず、雑誌などのメディアでの撮影、全国各地のセミナーやイベントにおいても活躍している。

横澤琴葉
インスタグラム
1991年生まれ。エスモード東京校を卒業後、アパレル企業でデザイナーとして勤務。並行してここのがっこうで学ぶ。退職後、エスモードAMIに通い、2015年3月より「コトハヨコザワ(kotohayokozawa)」をスタート。アイコニックなプリーツシリーズ「トゥードゥー コトハヨコザワ(todo kotohayokozawa) 」、残布やサンプル、古着をリメイクする1点モノの「サムバディ コトハヨコザワ(somebody kotohayokozawa)」など全3ラインを手掛ける。2025年には「TOKYO FASHION AWARD」を受賞した。

クリエイターとして母として、並走した16年

── 2人が出会ったのはいつ頃ですか?

MIYOKO:正確な時期は覚えていないけど、まだ琴葉ちゃんが学生の頃に私がモデルとしてスカウトしたんだよね。

横澤:高校を卒業して上京したばかりの頃で、19歳だったと思います。当時はエスモードの1年生で、慣れない表参道を歩いていたら声をかけてくださって。

MIYOKO:じゃあ16年だね。私もその頃はまだアシスタントで駆け出しだった。そのとき社内のカットコンペに向けてモデルを探していて、偶然見かけて目を引いた琴葉ちゃんにお願いすることに。

横澤:上京したてで気が張っていたこともあって、今とは全然違うファッションでした。毎日すごく高いヒールを履いて、服は全身黒のボディコンみたいなスタイルで。背も高いし当時はショートカットで、いかにもモードな感じが良かったのかも。お店に連れて行かれたら、とんでもなく独創的な内装でびっくりした記憶があります(笑)。

MIYOKO:確かに今とは全然違って、内装がマーブルチョコで出来ているみたいな感じだったね。

「DaB」ディレクター MIYOKO


── そのコンペではどのようなスタイルを?

MIYOKO:ブリーチしてからシルバーに染めて、がっつり刈り上げました。写真は残っていないけど今でもみんなよく覚えていて、社長はその時の琴葉ちゃんのスタイルの話を今もたまにしてくれるんだよ。

横澤:本当ですか!綺麗にブリーチしたのに、そこにまた別の色を入れちゃうんだと驚きましたね。ほぼ初めてのブリーチだったし、今でこそハイトーンが流行っていますが、その頃は全然一般的ではなかったので新鮮でした。

MIYOKO:当時はお互い尖っていたよね...。そこからの付き合いで、ルックやショーのヘアを任せてくれたこともあったよね。

横澤:卒業制作兼デビューコレクションとして発表したコトハヨコザワの最初のショーは、MIYOKOさんがヘアを担当してくれたんです。「ここのがっこう」での作品撮りなども含めて、何度か仕事をお願いしましたよね。

※「ここのがっこう」とは、2008年に「リトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)」のデザイナー 山縣良和がファッションを学ぶ学校として開校。「ケイスケヨシダ(KEISUKEYOSHIDA)」の吉田圭佑や、「シュガーヒル(SUGARHILL)」の林陸也、「ワタルトミナガ(WATARU TOMINAGA)」の富永航、「フェティコ(FETICO)」の舟山瑛美、「ソウシオオツキ(SOSHIOTSUKI)」の大月壮士らを輩出している。

MIYOKO:作品撮り、懐かしいね。めちゃくちゃ朝早くに六本木の会議室に集まってね。ブランド初期には色々サポートさせていただいていました。

「コトハヨコザワ」デザイナー 横澤琴葉

── 施術中も仕事の話が多いですか?

横澤:仕事の話も含めて、お互いの近況報告ですよね。うちの展示会にいつも来てくれるので、その話をしたりだとか。ただ、仕事で人前に出たりする忙しいタイミングで来ることが多いので、パーマとか長めの施術だと途中で寝てしまうこともよくあります。

MIYOKO:2、3時間あるからね。これだけキャリアも積むと、琴葉ちゃん含め長年通ってくれているお客さんが多いからか、無理に何か会話を組み立てたりすることがなくなったかも。

横澤:いや、MIYOKOさんは昔から変わらないですよ。無理に褒めたりとか話を盛り上げようとかしなくて、コミュニケーションとか佇まいがすごく自然体。それがすごくちょうど良くて、私にとって居心地がいいんですよね。あと、お互いの子どもの歳が近いので、子どもの話もよくしますよね。2人とも家の外でずっと働いているタイプで、家事も完全に分業制なので、困りごとや悩みを共有できる関係です。

MIYOKO:子どもが1学年違いなんだよね。お互いバリバリ仕事をしつつ子育てもしていて、お迎え事情とかご飯事情とかを共有できるのがありがたい。琴葉ちゃんは子どもを連れて海外の仕事によく行くから、旅行好きとして参考にしたくてそういうエピソードもよく聞くかも。でも、琴葉ちゃんはいつも余裕があってすごいよ。時間に追われたり焦ったりしている感じがない。

横澤:余裕がある時しか切りに来られないからですよ(笑)。長い施術が必要な人だと3、4時間かかるわけだから、ヘアサロンに来られる時間って誰にとっても特別ですよね。そもそも私は性格的に毎月マメに通うタイプじゃないんですけど。3、4ヶ月に1回とか、ロングの期間は半年おきだったりします。MIYOKOさんが産休の間は髪切らなかったですしね。

ハサミ
ロッド

「そのままの自分が心地よくなってきた」

── 長さによって切る頻度はかなり差がありますよね。

MIYOKO:確かに昔ショートだった時期はすごく頻繁だった。その頃は襟足だけ切りに来たりしていて、お客さまにとって襟足ってそんなに気になる部分なんだって勉強になったな。システム上は前髪カットで予約してもらって、来たら襟足を整えてあげる。琴葉ちゃん特別メニューだったね(笑)。

横澤:左の襟足だけ癖があって浮いてきちゃうんですよ。短いと特にそれが目立ってしまうので、頻繁にそこを切ってもらっていました。伸ばすとやはり足が遠のいてしまうのですが、ショーの前日に急遽予約をしたり、展示会のアポイントの合間に寄ったり、気を遣わずに自分のタイミングで通えるのが嬉しいです。

MIYOKO:琴葉ちゃんは、少しボサボサくらいが似合うタイプだからいい。ツヤツヤでウェーブが整った感じよりも、ちょっとムラのある仕上がりの方が映える。ドライだって本当は自然乾燥だっていいくらい。

横澤:そういう自分のスタンスを理解して提案してくれるのがありがたいです。自宅で実践できないようなケアを教えられても困ってしまうので。自分のデザイナーとしての作風や、普段のスタイルをちゃんと知ってくれているので、任せきれちゃうんです。

「コトハヨコザワ」デザイナー 横澤琴葉と「DaB」ディレクター MIYOKO

── 背伸びしない自然体な魅力というのが、作風を含めた2人の核であり共通点なのかなと感じます。

横澤:「正しさ」って、目指すべき唯一の目標になってしまうのがキツいなと感じるんです。自分の髪質とか顔立ち、性格って基本的に変えられないじゃないですか。そうしたものとうまく付き合っていく方が、お手本に合わせて矯正していくよりも健康的だと思います。だから、私のことを分かって肯定的でいてくれる人に任せたいし、自分のことを初めて知る人に切ってもらうなんて不安です。

MIYOKO:長い付き合いだから分かることだけど、私も琴葉ちゃんもスタイルがどんどん変わってきたよね。昔は、アイラインをがっつり引いてチークも濃かった。一種の変身願望だったんだと思う。でも、だんだんとそのままの自分が心地よくなってきた。琴葉ちゃん今日もほとんど化粧していないでしょ?私もベースメイクせずに眉毛描いてリップ塗っただけ。

横澤:専門学生時代の後半、それまで黒ばかり着ていたのに急にベージュにハマったことがあって。やっぱり、初めはみんな無理するんですよ。特に私みたいな上京組は、「東京にずっと住んでる子たちに負けたくない」みたいな気持ちがあったし、自分を実際よりもよく見せたくて必死だった。そのプレッシャーが少しずつ解けてきたのが、ベージュを着始めた頃でした。そこから徐々に、楽ができるようになってきましたね。

MIYOKO:自分のアシスタント時代を振り返ると、その変化はすごく共感できる。頑張りすぎないというか、自分に多くを求めすぎないようになったかな。やりたいことだけに集中できるようになってきた。

横澤:私も、最初は1人で全部やらなきゃという気持ちがすごく強くて。でも今は人に任せられるようにもなってきたし、自分のやれる範囲のことだけ精一杯頑張ればいいと思えるようになりました。

「コトハヨコザワ」デザイナー 横澤琴葉

──そうした内面の変化は、仕事におけるアウトプットにも影響しましたか?

MIYOKO:自分自身が色々な変化を経験してきたことで、提案の引き出しは確実に広がったと思います。ただ、美容師はお客さまありきの仕事だから、相手が求めるものを提供するという意味ではあまり変わらないかな。

横澤:私の場合は、そうした内面の変化を経てコトハヨコザワが生まれたという感じです。そのままの自分が一番いいというスタンスを、ブランドを通じてずっと表現してきたつもりで。例えばルックを撮るとき、ヘアメイクなどをあまり作り込まないようにしたり、ファンタジーにならないように心がけています。現実に即したものでないと、自分を含めてその服を着る人たちの日常にコミットしない気がするんです。

「DaB」ディレクター MIYOKO

トップス、ネックレス、ベルトは「コトハヨコザワ」のもの

追いかけず抗わない、トレンドとの向き合い方

── お互いの仕事ぶりに共感したり、学んだりすることはありますか?

横澤:MIYOKOさんは、私と同じように子育てと仕事を両立していて、環境の変化もたくさんあって、きっと大変なはずなのにいつも涼しい顔をしているんですよ。いつもすごくニュートラルな状態というか、家事もヘアカットも全部地続きで、同じMIYOKOさんのまま楽しく取り組んでいる感じがして。私もそうありたいなと思います。

MIYOKO:琴葉ちゃんも同じだと思うけど、確かに大変な状況でもこなせちゃうタイプだね。私が琴葉ちゃんの仕事を見聞きして良いなと思うことは、いつも遊び心を持っているところ。タグ一つ取ってもヘアゴムで取り付けられていたり、包装のビニールのデザインが可愛かったり、物作りを心から楽しんでいる感じがする。

横澤:嬉しいです!どうせ捨てちゃうからって、適当な透明のビニールを使うのは嫌なんですよ。袋が楽しいものであれば梱包作業も楽しいものになったり、商品に対する向き合い方が丁寧になってくると思うので。そういえば、同じデザインの仕事として個人的に気になっていたんですけど、ヘアスタイルを提案するときって何から着想を得ているんですか?

MIYOKO:まず一番に考えるのは、お客さまがまだ試していないスタイルを提案すること。どこかで見て気に入った具体的なデザインをそのまま持ってくるのではなくて、カルテで歴代のスタイルを確認しながら頭の中でイメージを膨らませる感じかな。可能性を広く持っていてほしいから、「この人はこういうスタイルが好きそう」と決め打ちせずに、まだやっていなくて似合いそうなスタイルはどんどん提案する。それをその場で選ばなくても、街中で見た誰かの髪とかがスイッチになって、次回以降にチャレンジする気になってくれることが多々あるから。それこそ、絶対このスタイルはやらないよなと思うものもあえて勧めてみたり。

「DaB」ディレクター MIYOKO

横澤:なるほど......!ヘアは服以上にトレンドの影響が大きい気がするんですけど、そういうものも意識しますか?

MIYOKO:勝手に情報が入ってきてしまうから、トレンドに全く影響を受けないことは難しいかな。でも、何か視覚的に具体性のあるソースを得たいときは、写真集みたいなきちんと編集されたものを見るようにしている。カラーに関しては人以外のもの、例えばビー玉を見て色合いの参考にすることもあったり。でも、カットはリアリティを大事にしたいから、人以外のものから着想を得ることは少ない。ファッションの方もトレンドの影響は多少はある?

横澤:流行に常に上手く合わせるというよりは、寄せては返す波の良いポイントにだけ乗りたくて。その波に飲まれてしまうと、自分の軸を見失って戻れなくなる気がするんです。トレンドは常に把握しつつも、自分のスタイルとフィットしないものには乗らないし、親和性が高いと思えば乗るという感じで向き合っています。これは自分に言い聞かせていることなんですが、素直な感覚で社会と向き合っていれば、同じ時代・同じ星に生きる人たちにとって意味不明な物作りにはならないと思うんです。なので、流行を無理に追いかけることも、それに抗うこともありません。

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── 話が少し変わるのですが似合うもの」と「好きなもの」どちらが大切ですか?

横澤:好きという気持ちに勝るものはないと思いたいです。もちろん、体型の特徴などの物理的な条件や、経済的な事情などで好きなものを選べない場合もあるとは思います。でも、似合うか否かを唯一の判断基準にするような風潮には疑問がある。似合うかどうかって実はすごく曖昧で根拠に乏しいことだと感じるんです。

MIYOKO:骨格診断とかカラー診断とかね。本当か?って思うよね(笑)。

横澤:自信がなくて他者に委ねたくなる気持ちも分かるんですけど、自分で選べる“好き”こそが何より確かじゃないですか。好きなものばかりを集めてチグハグな状態の方が、むしろ人間味があって好きです。人はそんなにつるんと綺麗なはずがなくて、歪だからこそ愛おしいと私は思う。そういう人がチャーミングだよねと発信し続けることで、自分で選ぶことに前向きな人が少しでも増えたら嬉しいです。

MIYOKO:私も好きなものは全肯定したい。ただ、それを似合うものにしてあげるのが美容師の仕事でもあるからね。例えば、希望の髪型の写真を持ち込んでくれたとして、その髪型のどこが好きなのかって実は曖昧だったりする。くびれ方なのか、前髪の残り方なのか、色なのか、本人の中でもはっきりしていないことって多いと思うんだ。それをカウンセリングして丁寧に汲み取った上で、お客さまの顔立ちとのバランスを取りながら形にしていく。私は、黄金比みたいな絶対的なバランスが自分の中にあると信じているから、それを提供するようにしているかな。

横澤:髪を切る仕事と服を着せつける仕事には、同じ「スタイリスト」と呼ばれるだけの共通点がある気がして。この服を着せたいというブランドの要望を、モデルやシチュエーションとのバランスの中で、一番素敵に映るようにチューニングしていく作業は、MIYOKOさんの考え方とまさに同じだと思うんですよ。

MIYOKO:着ることと切ること、素材を調理するという意味では同じなのかも。

「DaB」ディレクター MIYOKO
ハサミ

── 最後の質問になりますが、「髪を切る人/切られる人」としてこの先どんな関係でいたいですか?

横澤:私、将来MIYOKOさんに絶対お願いしたいことがあって。10年後、子どもが中学生くらいになって、ちょっと白髪とか生えるようになってきたら、思い切って明るい髪色にしちゃいたいんですよ。若い子たちがやっているようなハイトーンを今やるのは少し今更感もあるけど、それくらいの年齢だったらむしろイケているかもと思うんです。オレンジとかにしたいです!

MIYOKO:いいね、任せて!私は琴葉ちゃんのカラフルな服がお世辞抜きに好きだから、これからもたくさん着たいな。

横澤:この間も、ショーのラストルックに急遽選んだカーディガンを偶然着てくれていたんですよ。いつも当たり前みたいに私の服を着てくれているのが嬉しいです。おばあちゃんになっても、髪切ってくださいね。

MIYOKO:お互いカラフルなおばあちゃんになろうね(笑)!

「DaB」ディレクター MIYOKO
「コトハヨコザワ」デザイナー 横澤琴葉

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佐久友基

神奈川県出身。慶應義塾大学法学部を卒業後、製薬会社に入社し着道楽を謳歌するも、次第に"買うだけ"では満足できなくなりビスポークテーラー「SHEETS」に弟子入り。4年間の修行の末「縫うより書く方が向いている」という話になり、レコオーランドに入社。シズニでワンドアなK-POPファン。伊勢丹新宿店で好きなお菓子はイーズのアマゾンカカオシュー。

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