取り扱い企業は約100社、販売アイテム数は常時1〜3万点、試着点数無制限で撮影もOK──まさに“ファッションのテーマパーク”とも呼べる新ストア「木更津コンセプトストア(KISARAZU CONCEPT STORE)」がオープン。集積するのはすべてデッドストックや規格外品という、木更津の新スポットの気になる内部を徹底解剖します。
目次
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木更津コンセプトストア(KISARAZU CONCEPT STORE)とは?
KISARAZU CONCEPT STOREは三井不動産が企画。「ららぽーと」やアウトレットモールなど様々な業態を展開していますが、「デベロッパーとしての活動にとどまらず社会課題の解決に貢献したい」という考えから、「三井アウトレットパーク 木更津」の駐車場だった敷地を有効活用し、新施設として開発されました。その敷地面積は約7300平方メートル。木更津は郊外ですが、東京駅や横浜駅からもシャトルバスが出ていたりと、アクセスしやすい立地。三井アウトレットパーク 木更津では年間来場者数が1000万人を超えているそうで、ポテンシャルの高さが伺えます。
プロデュースは、スープ専門店「スープストックトーキョー(Soup Stock Tokyo)」などを展開するスマイルズの「パスザバトン(PASS THE BATON)」が担当しています。パスザバトンはセレクトリサイクルショップに始まり、現在は規格外品やデッドストックアイテムを集めた蚤の市「パスザバトンマーケット(PASS THE BATON MARKET)」を継続的に開催。KISARAZU CONCEPT STOREにおいては三井不動産から打診があったといい、コロナ禍の2020年から準備を進めてきたそう。デッドストック品の魅力発信のノウハウをKISARAZU CONCEPT STOREにも落とし込んでいます。
大人は入場料300円が必要
早速エントランスへ。「KISARAZU CONCEPT STORE」の看板が目印です。ストアは北棟と南棟で構成され、エントランスは南棟にあります。
Image by: FASHIONSNAP
ネオンサインで再現されたキャラクターは、洋服が大好きな“案内人”の「プトンズ(PUTONs)」。身に着けるを意味する「put on」に由来しています。
KISARAZU CONCEPT STOREは他のストアとは大きく異なる点があります。それは入場料がかかること。高校生以上は300円(税込)が必要です(※中学生以下は無料)。入場料は「コントリ」というシステムにより、社会課題を解決するための取り組みを行う企業や団体への寄付に充てられるので、社会活動の“応援”につながります。
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券売機は日本語のほかに英語、中国語、韓国語に対応。入場料の寄付先も選べます。オープン時は、不要になった衣服を肥料にアップサイクルするクレサヴァ、裁断くずなどの廃棄繊維を紙の原料に活用する一般社団法人サーキュラー コットン ファクトリー、服を燃料に変える研究開発を行う文化学園大学 服装学部ファッション社会学科の3団体が対象。寄付先は今後増える可能性もあるそうです。
チケットが発行できました。下のチケットをもぎってスタッフに渡すとショッピングゾーンに入ることができます。上のレシートは再入場の際の証明書になるので保管をオススメします。KISARAZU CONCEPT STOREを一度下見した後でアウトレットを巡り、また再入場してショッピングする、という楽しみ方もできますよ。
入場したらカートを持っていこう!
チケットをスタッフに渡したら中に入ることができます。“ファッションのテーマパーク”だけあって、遊園地のゲートのような雰囲気がありますね。
入場したらまずカートを手に取ります。カート1つにつき、2つのカゴをセットすることができます。「試着点数無制限、試着し放題」を謳っているだけあって、気になった洋服は遠慮なくカートに詰め込んでしまってOKです!
5つのショッピングゾーン
KISARAZU CONCEPT STOREでは約100社と提携し、ハイブランドからデザイナーズ、カジュアル、スポーツまで幅広くブランドを展開。提携先には「メゾン マルジェラ(Maison Margiela)」や「ジル サンダー(JIL SANDER)」を擁するOTB Groupや、ジョルジオアルマーニジャパン、マークジェイコブスジャパン、フェラガモ・ジャパンの名前も。パートナー企業のセレクトショップが仕入れたアイテムも揃うため、ブランド単位では「ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)」「ドレスドアンドレスド(DRESSEDUNDRESSED)」なども並んでいました(※いずれもオープン時の情報)。
■パートナー企業(一部抜粋)
A.P.C. Japan、ビームス、ADOORLINK、ビギ、AMBUSH、グンゼ、ビショップ、CA4LA、ケイ・アール・エス、ヒットユニオン、Charles & Keith Japan、コロネット、ヒューゴボスジャパン、COLE HAAN JAPAN、コロンビアスポーツウェアジャパン、ヒロタ、Deckers Japan、ファーイーストカンパニー、ECOMMIT、サイクルヨーロッパジャパン、フーズクリエーション、FASHION BOX JAPAN、サザビーリーグ、プーマジャパン、ITXジャパン、サムソナイト・ジャパン、フェラガモ・ジャパン、lucifer research、三陽商会、フォルムアイ、MARK STYLER、シグマクシス・ホールディングス、福助、OTB Group、シップス、フランドル、PVHジャパン、ジョイックスコーポレーション、ブルーベル・ジャパン、RSN Japan、昭和西川、フルラジャパン、Style Agent、ジョルジオアルマーニジャパン、TSIホールディングス、スマイルズ、ベイクルーズ、UNITED NUDE JAPAN、船場、ヘルノ・ジャパン、ア・テストーニジャパン、ボードライダーズジャパン、アイジーエー、タキヒヨー、マ・メール、アクリスジャパン、丹青社、マークジェイコブスジャパン、アシックスジャパン、ディティジェイ、マイケル・コースジャパン、アッシュ・ペー・フランス、ティムコ、マッシュホールディングス、アナディス、デンハム・ジャパン、三井化学、アバハウスインターナショナル、トゥミジャパン、ムーンバット、アマン、トゥモローランド、モーダ・クレア、イーストランド、豊田貿易、八木通商、伊藤忠商事、ナルミヤ・インターナショナル、ユナイテッドアローズ、ウールン商会、ニューバランスジャパン、ユニオンゲートグループ、エコビズ、ノーリーズ、ラルフローレン、エドウイン、バーニーズジャパン、リシュモンジャパン、オールスタイル、ハーレージャパン、リチャードジノリ・アジアパシフィック、カリマーインターナショナル、パパス、リバティジャパン、キーン・ジャパン、パラグラフ、レスポートサックジャパン、ギャップジャパン、バロックジャパンリミテッド、レリアン、近畿大学、ビーズインターナショナル、ロジスティード など
ショッピングゾーンはテーマごとに、5つに分かれています。
MDは「ブランドではなく“モノと向き合ってほしい”」という思いから、ブランド・サイズ別ではなく、テーマに合わせて完全ミックスで構成。従来の商業施設ではブランドごとで売り場が構成されているのが基本。ブランドミックスのMD構成はタブーとされていますが、パートナー企業が「社会課題を解決したい」という三井不動産の姿勢に共感しているからこそ実現できたそうです。
早速それぞれのゾーンを見てみましょう!
Aゾーン:DAILY OUTFIT - ストリート&カジュアルウェア
ゲートをくぐってすぐに見えるのはAゾーンの「DAILY OUTFIT」。ここではストリートウェアやカジュアルウェアが揃います。
各ゾーンではプトンズのキャラクターのモニュメントを設置。Aゾーンには「KESARAN」がいました! ちなみに“ドントタッチミー”でお願いします、とのこと。
売り場は数々の小部屋をつなぎ、奥に進みたくなるような好奇心を刺激する空間が特徴。Aゾーンにはモノトーンのアイテムを集めたモードな小部屋も用意されています。
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パートナー企業の生産過程で出た端材を用いたプトンズのぬいぐるみや、トートバッグも販売します。
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Bゾーン:DIGGING - ウェアから小物まで
「掘る(Digging)」をテーマにしたBゾーンは、ウェアから小物まで幅広いカテゴリーのアイテムを集積。まさに“好みのアイテムを掘って探す”ような空間に仕上がっています。
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什器はパスザバトンやその他店舗で使っていた物を再利用。Bゾーンでは、KISARAZU CONCEPT STOREの開発時にスマイルズ社員が住んでいた寮が取り壊しになったタイミングとたまたま重なったそうで、引き扉が仕切りに使われていました。一見しただけでは気付かない仕掛けにもぜひ注目してみてくださいね。
こだわりは什器だけではありません。自然光をなるべく多く取り入れた設計で、環境にもやさしいストアに仕上げているとのこと。
売り場の一部には、主に工場で使われるオレンジのビニールテープを再活用し、カーテンのように仕切った空間を配置。中を除くとハットなどの小物がたくさん並んでいました。ちなみにどの位置からでも中に入ることができます!
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Cゾーン:SHOES & ACCESSORY - 靴やアクセサリー
Cゾーンではシューズやアクセサリー、バッグなどを展開。シューズの売り場はサイズ別でアイテムをディスプレイしています。
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アクセサリーやバッグが並ぶ売り場は中央のテーブルと壁面にアイテムがずらり。
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壁面側は子どもも楽しく買い回れるように階段を採用しています。
Cゾーンの見どころはもう一つあります。シューズの売り場につながる小さな小部屋。ここは「オープンストック(OPEN STOCK)」と呼ばれるところで、来場者が返却したアイテムが一時的に保管されます。
「他人が欲しがったものが欲しくなる」という心理を反映して作ったそう。もちろん来場者も入室OKで、他の来場者が気になったアイテムをチェックすることができます。みんなが何を買おうとしたのか気になる人はぜひ中身を覗いてみては。最上段のアイテムは常駐スタッフがいつでもピックアップしてくれますよ。
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また、Cゾーンにはアップサイクルブランドやエシカルなものづくりに取り組む団体を紹介するポップアップスペースを設置。オープン時は、シミや汚れで着られなくなった古着に黒染めを施し再生させる京都紋付によるリウェアブランド「K」が出店します。
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Dゾーン:KIDS ITEMS - キッズアイテム
北棟にはDゾーンとEゾーンが展開されています。ここでもプトンズのキャラクターがお出迎え。
Dゾーンではキッズアイテムを集積。入り口も親子をイメージして異なるサイズに仕上げています。
中に入ると、キッズ用のウェアから小物、シューズまでがズラリ。ウェアはサイズ別にディズプレイされているので買い物がしやすい空間です。子どもたちが楽しくアイテムを選ぶ姿が想像できますね。
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Eゾーン:DESIGNERS - ラグジュアリー&デザイナーズブランド
最後に紹介するEゾーンは、目玉でもあるラグジュアリーやデザイナーズブランドを集積。5つのゾーンの中で一番広い売場面積を有し、このゾーンでも小部屋を多く用意しています。
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奥には「SECRET ITEMS」のコーナーを配置。オープン時は宝飾類をディスプレイします。ちなみに壁面のレンガは海外から仕入れた“ホンモノ”を採用しているのだとか。
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Eゾーン近くにはトイレや休憩スペースを用意しています。ソファもハギレを活用したサステナ作品です!
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奥の倉庫は“本当のストックルーム”。ここにたくさんのデッドストック品が続々と入荷されます。ガラス張りの仕様なので、仕事の風景を見ることができます。
複数人で入れる試着室も
各ゾーンで全身鏡を豊富に用意しているほか、試着室も充実。
一部の試着室は内装の壁紙もキュートで気分が上がります!
Dゾーンの上に設置した「フィッティングスタジオ(FITTING STUDIO)」は、1つの試着室に複数人が入れて特殊なライティングが楽しめるという他にはない環境を整備。混雑時は整理券を発行することができるので、待っている間も自由に洋服選びができます。
階段を登った先にあるのは5つの部屋。それぞれプトンズのキャラクターが扉のアイコンとしてデザインされています。
内部は、3つの異なる色で構成された特殊なライトで照らされた特別な空間。複数人入れるようにゆったりとした広さが確保されています。
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手をかざすと、、、
このように3色のカラフルな影が壁面に投影されて、フォトジェニックな空間に。全部屋に全身鏡が用意されているので、友達やカップル、家族で撮影スタジオのようにセルフィーも楽しめそうです!
ちなみに明るいライトで試着した姿を確認したい場合は、廊下の全身鏡で見ることができるのでご安心を。
返却したい洋服は、返却台が各部屋の前に設置されているので、引っ掛けるだけでOKです。
会計前にも“最後のチャンス”として試着が可能
ぐるぐると店内を回って購入するアイテムを決めたら会計です。会計のレジは南棟のエントランス近くに設置。会計前の「最後のチャンス」として、レジ前にも試着室を配置しています。返却したいアイテムはハンガーラックや台に戻してOKなので、気になったアイテムはどんどんカートに入れてしまうのがおすすめ。
いよいよ会計です。決済はクレジットカードや「PayPay」などの電子マネーが利用できます。決済時はセルフレジではなくスタッフが対応してくれます。
気になる割引率ですが、アイテムによって異なるものの「およそ7割」とのこと。アイテムの売上の一部は「コントリ」で団体に寄付できます。
希望者にはショッピングバッグを用意。プトンズのキャラクターのシルエットが描かれたデザインです。
サステナ最前線を知る「ファクトリーラボ」と衣服から農園を作る「サーキュラーファーム」
KISARAZU CONCEPT STOREではショッピング以外にも楽しめるコンテンツが充実しています。北棟と南棟をつなぐ空間には、洋服の新しいサイクルを生み出すための活動を紹介したり体験ができる「ファクトリーラボ(FACTORY LAB)」を展開。
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オープン時は、「コントリ」の寄付対象となっている3団体をフィーチャーし、各団体がサステナブルな取り組みを紹介します。
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クレサヴァによる施設内の小さな農園「サーキュラーファーム(CIRCULAR FARM)」では、最新の技術で洋服を土に還す取り組みを行っています。体験型ワークショップも計画しているそう。
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カフェも環境にやさしいメニューが充実
ショッピングや体験型コンテンツの合間の休憩には、北棟のカフェ「THE OPEN CAFE」へ。ここでは、キズや規格外などを理由に販売できなくなった“もったいない食材”を活用したメニューを提供します。
フードはハンバーガーやアイスクリーム、ドリンクは製品または原料が持続可能性の3つの柱(社会・経済・環境)の強化につながる手法を用いて生産されたことを証明する「レインフォレスト・アライアンスの認証」を受けたコーヒーをはじめ、カフェラテやココア、スムージーをラインナップ。スムージーは、豊作で余ってしまった愛媛県八幡浜市の柑橘「まどんな」を廃棄することなく冷凍保存によりスムージーとして活用しています。甘みと酸味のバランスが絶妙でした! まどんなのスムージーは数量限定なのでお早めに。
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■メニュー(一例) ※いずれも税込
・スムージー(680円〜)
・レインフォレスト・アライアンス認証コーヒー(450円〜)
・ソフトドリンク(350円〜)
・アルコール(550円〜)
・ジェラート(S 450円、W 680円)
・ハンバーガー(1150円〜)
カフェのほかに、賞味期限間近のものやエシカルな食料品が集まる食物販のコーナーも。カフェと食物販コーナーはいずれもソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」を運営するクラダシがフーズクリエーションとの協業で展開します。
天気の良い日は中庭「ガーデン(GARDEN)」で飲食を楽しむのもおすすめ。週末にはキッチンカーによる提供も予定しており、地元住民の憩いの場にもなりそうです。
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三井不動産によると、KISARAZU CONCEPT STOREで採用している業態は都心などへの出店は検討しておらず、まさにここでしか楽しめない空間。プロデュースを手掛けたスマイルズの野崎亙取締役社長は「まさに“袖を通してなんぼ”。身に着けることをたくさん楽しんで欲しい」と呼びかけています。たまたま「いいな」と手に取った服をきっかけに、ファッションの新しい楽しみが見つかるかも? 社会貢献にもつながるファッションのテーマパークにぜひ足を運んでみてください。
■KISARAZU CONCEPT STORE
オープン日:2023年6月8日(木)
営業時間:10:00~20:00(最終入場19:30、※営業時間変更の可能性あり)
入場料:300円(中学生以下 無料)
所在地:千葉県木更津市金田東2丁目9番1 (三井アウトレットパーク 木更津 隣地)
交通:東京湾アクアライン「木更津金田IC」から1km、JR内房線「袖ヶ浦」駅からバス約10分
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