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Culture

書店であなたを待つ「円熟本」を探しに:80年以上続く老舗「小宮山書店」編

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刊行年は江戸時代、154年前の「撮影マニュアル」

【タイトル】写真鏡図説
【著作】柳川春三
【刊行年】1867年

F:見るからに古い本ですね。これはどういった本なんでしょうか?

小宮山:江戸時代の「撮影マニュアル」ですね。写真の仕組みや撮り方などを、挿絵を交えながら説明しています。これを読んでいると本における「挿絵」の重要さが分かるんですよ。

F:江戸時代の書物というのは「古書」の世界では珍しいものなんでしょうか?

小宮山:いいえ。古書マーケットのオークションは毎日のように開かれているんですが、「とにかく古いモノ」を求めているお店にとっては江戸時代は古くないと思います。

F:なぜ江戸時代の「撮影マニュアル」を仕入れたんでしょうか?

小宮山:写真というフックがあったからですね。売る目的というより「こういうモノがあったほうが、お店の抑揚として面白いかな」と思って仕入れました。うちは全6フロアで店を構えているので、ジャンルを横断して本を手に取ることができるのが魅力だと思います。私が「アートやファッションが好きだった」というのも要因として大きいんですが、広くやりすぎるよりも写真集や絵画を強化した方がいいな、と思ったんですよね。

選書を振り返って

F:小宮山書店さんはアートやファッション、写真集などが充実している本屋さんとして知られていますよね。

小宮山:そうですね。僕は大学で金属工芸を学んでいたんです。「デザイナーになろうかな」と本気で思っていたこともあったんですけど、一応跡取り息子だったので引継ぎました。最初は文学書や歴史書を自分なりに勉強したんですが、ふと「自分の友達は買わないだろうな」と単純に思った時があったんです(笑)。そこからですね、「じゃあ、お客さんは何だったら買ってくれるんだろう」と考え始めたのは。それから長い年月をかけて、お店を「自分好みの書店」に改造している最中ですね。今もその改造は続いています。

F:お店には本以外にも写真作品や、アート作品などが置いてあります。

小宮山:あんまり本屋さんとも思っていないし、ギャラリーとも思っていないんですよ。やっぱりミックスカルチャーの方が面白いと個人的には思うんですよね。分かりやすく言えば、服を買いに行ったら靴も買うじゃないですか。一緒に買うかはわからないけど、Tシャツを見に行った先で見つけたスニーカーが気に入ったら、「今度はこれ買うぞ」と決意して家に帰ることありませんか?そんな選び方ができるお店になったら、お客さんの想像が膨らむな、と思うんです。「小宮山書店に来れば新しいモノも、古いモノもある」と思ってもらえたら嬉しいです。

F:時代を越えた「良いモノ」を揃えているということですね。

小宮山:そうですね、時代を超えた「全体像」がここにはあると思っているので、そこを楽しんでもらえるお店を目指しています。なので、古本屋とかギャラリーという既存の名称に捉われない、「KOMIYAMA TOKYO」という唯一無二のジャンルでありたいなと。

F:最後に、小宮山さんが考える「古書」の魅力とは?

小宮山:本や作品というのはアーティストが思いを込めて、必死に作ったモノですよね。古書は、その熱量が冷凍保存されているところが魅力だと思います。きちんと保存されて、何十年も経った後に急に日の目を浴びることもあります。僕の役目として、「アーティストが真剣に作ったものを後世に受け継いでいく」という役割があると思っているし、埋もれてしまっていた作家を世に出してあげるということも重要な職務だと思っています。「古書」というのは、古いけど新しいんですよ、実はね。

(聞き手:城光寺美那/古堅明日香)

■リステアに「小宮山書店」が初出店。
出店日:2021年2月20日(土)19:00〜
KOMIYAMA TOKYO at RESTIR公式オンラインストア

■小宮山書店
住所:東京都千代田区神田神保町1-7
公式オンラインサイト

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