CIBONE スタッフ・松尾さんが選ぶ心がゆれた1冊
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OMOHARAREALでは秋の読書企画を2022年も開催。「本棚を見ればその人となりが分かる」なんてよく言われているけれど、表参道・原宿で働くスタッフたちのお気に入りの1冊、気になりません?今年の【私の1冊】のテーマは、心がゆれた1冊。気持ちが揺さぶられた、感動した、モチベーションが上がったなど、そんな1冊を紹介してもらいました。個性溢れるお店と人の魅力にもフォーカスしています。
今回おすすめしてくれたのはCIBONE・スタッフ 松尾 翼さん
松尾 翼(まつお つばさ):1989年生まれ。上京後、フリーランスでファッションイベント企画・ブランド運営に携わり、2017年にCIBONEへ入社。当初はアパレルを担当していたが、今では家具や書籍も兼任するマルチプレイヤー。”New Antiques, New Classics”というCIBONEのコンセプトに共感したこともあり「これからアンティークに、クラシックになっていくもの」を探求している。「note」ではその成果報告と、手がけるブランドについての執筆活動も行う。最近は00年代あたりのスポーツウェアが気になるとのこと。
松尾さんの心がゆれた1冊:『柿の種』(岩波書店)/寺田寅彦
「夏目漱石の『こころ』を読んでから彼の周辺にいた人物を調べていくうちに寺田寅彦について知りました。物理学者であり、この本の著者である寺田寅彦は夏目漱石が熊本の高校で先生をしていた頃の生徒で、生涯を通して一番弟子だったと呼ばれる方です。
“物理学者の書く随筆”という理系と文系の意外な組み合わせが気になって読んだのがこの『柿の種』。日々の暮らしの中で起こる不思議や自然についての考察が、独特の感性で書かれているエッセイです。この本を読んで“非日常の中ではなく、日常の中にこそ楽しみが潜んでいる”と思えるようになりました。
非日常から楽しみを見つけることは簡単ですが、朝起きてご飯を食べて身支度して仕事に行って帰るという、繰り返す日々の中にも楽しい出来事はたくさんある。気づきの大切さを教えてくれた本です。僕がテーマのひとつとして据えている“見立てる”ということにも繋がっています。
詩のような短文もあってどんどん読み進めることもできますが、冒頭の『なるべく心の忙せわしくない、ゆっくりした余裕のある時に、一節ずつ間をおいて読んでもらいたい』という文章の通り、ゆっくりとページをめくっていきたくなる1冊です。」
■CIBONEの最新情報
エスカレーターを降りた、CIBONE入口で展開されている書籍は、選書をブックディレクター幅允孝(はば よしたか)氏が代表を務めるブックキュレーションカンパニー「BACH(バッハ)」に依頼。デザインやアート、ライフスタイル提案本、哲学や社会科学、自然科学、テクノロジー、文学など、多ジャンルの本を取り揃える。
また、日本の公共図書館などで90年以上使われてきたクラシカルな分類法NDCを再編集し、CDC(CONNECT Decimal Classification)という独自の分類法に基づいて選書されているのも特徴。毎月テーマを変えた選書フェアも企画している。
OMOHARAREALの過去のレポート記事でも詳しく紹介しているのでぜひ読んでみてほしい。
■CIBONE
New Antiques, New Classics をコンセプトに、長い時間軸に寄り添って「物とつきあう」ことを提案するライフスタイルショップ。2020年6月に南青山から表参道GYREのB1Fに移転。ひと続きの空間にはインテリアプロダクトブランド「HAY TOKYO」が同居しており、フロアの端々までデザイン性の高い家具やオブジェ、植物を取り揃える。同時に「CIBONE CONNECT」というプロジェクトを掲げ、さまざまなクリエイター・アーティストとともにプロダクトや企画展を通じて、カルチャーを発信している。
Text:Tomohisa Mochizuki
Photo:Kousuke Okutsu
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