内装工事前の店内に立つ「ロアートヴィンテージ」オーナーの十倍直昭
Image by: FASHIONSNAP
何気なく手に取る“ヴィンテージ”。愛好家のみならず感度の高い洒落人に愛される珠玉のアイテムですが、ふと疑問に思うのは「この服はどこから来たのか?」。そこで今回、グリモワールのヴィンテージセレクトショップ「ロアートヴィンテージ(LOART VINTAGE)」がオープンするまでを密着しました。どうやってショップができ、どうやってアイテムたちは見つけられ、どうやって再び人の手に渡っていくのか。悠久の時を経た服が人と出会うまでの旅を届けます。
2017月12日20日
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乾いた寒風が街を通り過ぎる12月20日。ヴィンテージセレクトショップ「ロアートヴィンテージ(LOART VINTAGE)」がオープンする物件の引き渡しが行われました。「ロアートヴィンテージ(LOART VINTAGE)」は、ヴィンテージドレスなどを扱う株式会社グリモワールにとって初の路面店。鍵を受けとるのは、代表取締役を務める十倍 直昭(とべ なおあき)さんです。
鍵が手渡されます。美食家が集う渋谷二丁目に位置するこの場所は裏通りに位置し、和装系の老舗店が30年以上に渡って店舗を構えていた物件だそう。賃料については基本的に契約書に明記された日から発生しますが、時には例外もあります。今回は問題なく契約日に鍵を受け取れたため、すぐに内装工事の日程調整に入ることができそうです。
十倍さんが予算よりも先に決めたという物件の条件は「周辺にアパレル店が少ない。路面店。これまでの店舗よりも広い」。物件探しは「自分のやろうとしていることに合っているか」を良く考えることが重要です。多くの人が憧れる路面店ですが、実際のところ周辺の坪単価が4万円ほどなのに対し、グッと安かったという嬉しい誤算もあったそう。
ただここは、内見希望が40件、申込みがすでに数件ほどあった人気物件。そのため審査は厳しく、家賃や保証金減額の交渉をせずに即決しました。交渉をする場合は、家賃交渉かフリーレント設定、保証金額を減額、内装設備の刷新などがあります。いかに費用を抑えるか、身の丈を超えないで契約する工夫が必要。ちなみに今回は、賃貸契約のため3期分の決算書を提出したそうです。
まだ手付かずの内観。エアコンは、契約前に管理会社側が新しくしていたため最新機材が備えられています。空調などは店子側でいじることも可能ですが、残置(前の借り主が置いていったもの)なのか管理会社側なのかは要チェック。業務用エアコンの設置は100〜200万と高額で、残置だった場合は修理をしなくてはならない場合もあります。気になるときは、契約前に話し合うことが大切です。
構想を現実の店舗に落とし込むため、チェックは入念に。「やりたいこと」と「できること」に折り合いをつけつつ、イメージを具体的に掴んでいきます。
ポイントは、残せるところは残し、うまく取り入れていくこと。全てを一新するのではなく、現状を折り込みながら柔軟に内装を仕上げていくことで、工期の短縮や工費負担の軽減にもつながります。
面積は16坪と適度な広さで約3メートルの天井高が魅力。「同じ長方形でも縦長だと使いづらい」という理由から、路面に接している部分が大きいのがポイントだそう。隅々まで確認したら、掴んだイメージを空間プロデューサーに伝えていきます。
個店の場合、予算の都合やこだわりによって自分自身で内装を手掛ける人も少なくありません。でもDIYの場合「どうしても手作り感を感じさせてしまう」ため、ホッコリ系のイメージを持たれたくない場合はオススメできないそう。作業に時間がかかってしまうと賃料ロスも。工事中も賃料が発生していることを忘れず、どちらがいいか考えたほうがいいということですね。ちなみに電気配線はさすがに自分では難しいため、こちらはプロに頼む人がほとんどです。
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