ロンドンの街並み
IMAGE by: Erina Kubo
住み慣れた日本を離れ、海外で働く。そういった夢を抱きつつ、進む円安や現実的にその土地に住むことの大変さに二の足を踏み、一歩踏み出せない人も多いのではないでしょうか。いわゆるワーキングホリデービザには基本的に18歳以上30歳以下までの年齢制限があり、イギリスのYMSビザもその一つ。ファッションに興味のある人にとって、ロンドンはパリや他のヨーロッパ諸国にも近い魅力的な土地であり、移住を考えたことがある人も多いかもしれません。
本連載では、ファッション業界で日本ブランドの海外セールスとして働いている筆者が、二の足を踏んだ挙句に決意した、苦汁を嘗めるであろうロンドン生活を始めるまでの道のり、そして実際の生活に関して綴って行きます。
本稿は、筆者がロンドンを選んだ理由と、ビザ取得までの道のりについての記録です。
なぜ移住?なぜロンドンにしたのか?
ADVERTISING
筆者の職種は、日本のファッションブランドの海外セールスです。主な業務を具体的に言うと、年2回のパリファッションウィーク中での展示会対応、各国のバイヤーの招待を含むそれに向けての準備、販売店舗との出荷のやり取りなど。今の仕事を始めて2年弱になる中で、新卒からずっと日本で仕事をしてきた自分の視野の狭さを痛感し、前々から頭の片隅にあった海外移住を決意しました。
ロンドンを選んだ第一の理由は、学生の時に短期留学をしたロンドンに対して、良いイメージがあったから。具体的に言うと、比較的安全な街であること、住んでいる人の印象が良いこと、そして洋服・本・飲食などのカルチャーが充実していることの3点が揃っているところに魅力を感じていました。住み慣れた東京に通じる部分があって、ニューヨークやパリなど今まで行った国の中でも、最も自然に自分がそこに住むことを想像できた。また、ファッションの仕事をしている私にとって、ロンドンはファッションウィークの中心であるパリやミラノにも近く、他のヨーロッパ諸国へも動きやすいところも決め手となりました。
最後に行ったロンドン。2年前の夏でした。
YMSビザとは?
イギリスの「ユース・モビリティー・スキーム(YMS)ビザ」は、他国のワーキングホリデービザとは異なり、正規就労ビザです。日本国籍を保有しており、過去28日間の最低2530ポンドの資金を証明できること、ビザ申請時18〜30歳であることなどの条件を満たせば申請が可能。最長で2年間滞在でき、就労・就学が可能なため人気が高く、これまでは抽選式で倍率が6倍と言われるほど人気のビザでした。それが今年から突然先着順に変更となり、定員が1500人から6000人の4倍に変更!私のように、ずっと行こうか迷いながらなんとなく抽選に応募し、数回連続で落ちてがっかりしていた人にとっては絶好のチャンスでした。
YMSビザ申請の手順
①必要書類の準備
まずはオンライン申請時に、有効期限が1年以上の最新のパスポートが必要です。
そしてオンライン申請の後、ビザセンターを訪れる際に必要なものは、資金証明書です。預金通帳・英文残高証明書・取引明細書(バンクステートメント)、のいずれか1つ、若しくは1つ以上を組合せて、自身の口座残高が「£2530を連続28日間以上保持」されていることが証明できることが条件となります。用意に1週間以上時間がかかることもあるので、早めに用意しましょう!
②オンライン申請
イギリス大使館のページからオンライン申請するのですが、全編英語なため、慣れていない人にはいきなりハードルが高く感じると思います。(このサイトに和訳があります)国籍や名前など、たくさん記入する必要があるのですが、特に準備が必要なのは、過去10年間の渡航履歴を入力する箇所です。なんとトランジットも含めて全ての国を入力する必要があるため、大学時代から海外旅行を複数経験している私にとっては、「10年前なんて覚えてないよ!」と頭を抱えました。それから必死に昔のメールや友達とのラインを遡って確認したのですが、正直最後まで正確かどうか自信はなかったです…。心配な人は事前に法務省の出入国在留管理庁に問い合わせするのが吉。
③ビザ申請料・IHS保険料の支払い
オンライン申請を進めていくと、そのままビザ申請料とIHS保険料の支払いに移ります。
どちらもオンライン上でのクレジットカード支払いのみになり、ビザ申請料は£298、プラスで英国国民健康保険料£1,552(£776/1年 ※2024年2月時点)を払う必要があります。なんと私が入金する約2週間前、突然保険料が612£高くなったのです!日本円にすると約12万円、、、驚きの値上げ。ただでさえ全ての物価が高く、生活が苦しいと言われている今のロンドンで、暮らしていけるかがさらに不安になった瞬間でした。
その時、FASHIONSNAPの社長に言われた、「人生のピークは後ろに置け、早いうちに良い暮らしはしない方が良い」という言葉を思い出し、貧乏生活でも楽しむ決意を密かにしたのでした。
④ビザセンターへ訪問、指紋と顔写真を取る
オンライン申請と申請料・保険料の支払いが終わったら、支払い完了から90日以内に直接ビザセンターへアポイントを取り、訪問します。この予約、前日まではキャンセル・変更が可能ですが、当日になると予約が固定され、それ以降は変更不可となります。私は当日にどうしても行けなくなってしまったため、問い合わせ先の電話番号を探したのですが、現状電話での問い合わせは受けていないとのこと。大慌てで翌日ビザセンターへ突撃すると、優しい受付の警備員さんが、「ウォークイン」なるネット非公開制度を教えてくれました。「ウォークイン」は、予約日を過ぎてしまった人が、突撃申請するための救済措置。(ちなみに6000円くらい手数料がかかる)最近になって出来た制度らしく、それ以前はまた1から申請し直す以外に方法はなかったのだとか。ありがとう、新制度、、と思いながら無事に申請を完了し、指紋と顔写真の撮影を済ませました。
顔写真の撮影では前髪をぴっちりあげ、絶対に笑ってはいけないとのこと。写りが非常に心配だったのですが、ビザを受け取ってみると、案の定仏頂面で顔色の悪い自分がそこに…。知り合いの誰にも見られないことを切に願います。
申請が終わると、ビザの受け取りに必要なレシートが貰えます。無くさないように!
⑤ビザ受け取り
ビザセンターから、「あなたのビザ申請は無事に成功しました」という内容のメールが申請から1週間以内に届きました。そこに「この後ビザが用意できたというメールが来るまでは、受け取り場所に来ないでください」という記載があったため、そのメールを待ってみたものの、一か月経っても来ない。ツイッターで検索すると、みんな1週間程度で届いている。これはどういうこと、、?と不安になり、受け取りに必要なレシートと身分証明書を片手にまたもやビザセンターへ突撃。すると15分ほど待って、あっさりビザを受け取ることが出来ました。受付の警備のお兄さんによると、メールが届かないことはたまにあるらしいので、長い時間が経ってもメールが届かなくて焦った人は、私のように突撃してみても良いかもしれません。
受付のお兄さんにはものすごくお世話になりました。基本的にスタッフの人たちはみんな良い人で、手際が良かったです。(正直少し意外でした。お役所仕事の偏見が払拭されました)
やっと受け取れたビザ!謎のビニール袋に入っている。
こうして申請から約2か月を経て、何とかYMSビザをゲットしたのでした。もっとスムーズにいけば、早くて申請後2~3週間以内に手元に届くのではないかなと思います。
今回参考にしたサイト/気になるロンドンのサービス
ワーホリネット
YMSに関するほとんどの情報が網羅されている。申請手順も全て和訳されており、まずはこのサイトを参考にするのがおすすめ。私は銀行の取引明細証明書の英訳も、こちらのサイトのサービスを利用させてもらいました。
Too Good To Go
売れ残り食品を抱えるレストランや店舗と顧客をモバイルアプリで結び付けるサービス。近所のレストラン、カフェ、スーパーなどで余った食料品や食事を割引価格で購入できる。欧州の主要都市をカバーしているため、ロンドンでも使用可能。物価高騰のすすむロンドンに移住する私を心配した友人が教えてくれました。ありがとう、、、。
次回はロンドン移住の最難関、家探し・職探しについて話します。
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