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「失敗の正しい捉え方は少女漫画に」ローランドが失敗を経てアパレルに再挑戦する理由とは?

FASHIONインタビュー・対談

 自信に満ちた振る舞いと「俺か、俺以外か」などの名言で人気を博し、ホストとしてだけではなく実業家としても知られるローランド(ROLAND)。今月、新たな挑戦として「ジュンハシモト(junhashimoto)」の橋本淳、クリエイティブディレクターの本間英俊とタッグを組み、「多くを持たない。消費するのではなく、一着を身につけ続ける」をコンセプトにした新ブランド「ミニマス(MINIMUS)」を立ち上げた。以前に自身が手掛けた「クリスチャン ローランド(CHRISTIAN ROLAND)」は「失敗した」と振り返る同氏は、なぜ再びアパレル業界にチャレンジするのか。そして「失敗から得た学び」とは何か。ブランドの在り方やローランドのファッション観、人生観に迫った。

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ローランドさんにとっては今回で2度目のアパレルブランドの立ち上げになりますね。

ローランド:僕は今回の挑戦を「敗者復活戦」だと捉えています。前回は十分な知識もないままブランドをスタートして、上手くいったかどうかでいうと上手くいかなかったんですよ。ただ、失敗の中でこそ得られる学びもありました。

失敗から得た学びとは?

ローランド:失敗した原因は大きく3つあると思っています。1つ目は「自分が欲しいと思ったものは、世の中の人たちからはそんなに求められていない」ということ。メディアに出る機会が増えて自分自身を客観視できなくなり、「自分が作るものは需要があるんだ」というマインドで取り組んでしまったことが上手くいかなかった要因の1つですね。

 2つ目は、僕自身がインフルエンサーとして前面に出過ぎてしまったこと。インフルエンサー色を打ち出しすぎると、仮にプロダクトが良かったとしてもファン向けのグッズになってしまう。インフルエンサーが手掛けるブランドの弊害だなと感じました。

 3つ目は価格ですね。以前展開していた「クリスチャン ローランド」はラグジュアリー並みの価格設定で攻めましたが、同じ価格帯で歴史のあるメゾンブランドのアイテムが一緒に並んでいたら、多くの方は後者を選ぶ。そういったところのイメージが足らなかったですね。

 これらをまとめるとアパレル業界を舐めていた、ということになるのかもしれません。ただ1回や2回の敗戦で諦めるような熱量でアパレルに挑戦した訳ではなかったですし、僕自身も「このままじゃダメだ」という危機感がありました。そんな時に本間さんと出会って「なんとかしてブランドとしてもう一回やり直したい」という話をして。それで本間さんに以前から仕事で繋がりのあった橋本さんを紹介していただいて、今回はチームでブランドを立ち上げることになりました。戦略的にもかなり変えましたし、なんといっても先に断言しておきたいのは、自分の責任でブランドを立ち上げたので、成功・失敗に関わらず「責任は僕にある」ということです。どんなことがあろうが責任は自分が負います。これは成功した後にいうのもカッコ悪いので、先に書いておいてください(笑)。

橋本:アパレル業界にそう断言できる人はなかなかいないよ。

本間:男らしい(笑)。

ローランド:リスクヘッジはしない方向で、車両保険なしでフェラーリに乗るくらいの気持ちでいきます。

ローランドが手掛けるミニマス
Image by FASHIONSNAP

ミニマスでは「ローランドさんのミニマリズムに共感した人が集まった」とのことですが、クリエイティブチームの編成や役割について聞かせてください。

ローランド:前回のブランドではパタンナーに意見しようとしても「ただ有名なだけの素人が口を出さないでくれ」といった感じで、上手く意思疎通ができなかった部分があったんです。でもよく考えてみると、例えば僕がホストをやっている時に元ジャニーズの子が新人ホストとして入ってきたとして、彼が業界に対して愛情はないのに顔や名前だけで売れるような場面を見たとしたら、やっぱりリスペクトできないと思います。そういう意味では、そのパタンナーの方のリアクションは正しかったのかなと。だから今回はブランドを運営するにあたって、餅は餅屋じゃないですけど、関与しすぎることなくある程度現場にお任せすることにしました。ただ、現場の仕事に対してリスペクトをしっかりと持ちたいと思ったので、経験と実績のある方にデザインをお願いしています。

チームとしてそれぞれができることをやっていく。

ローランド:本間さんと橋本さんそれぞれにしかできないことがあるし、もちろん僕もそれは同じ。経営していく上でメディアに出演してインフルエンス力を高めていくのは僕の仕事だと思っています。僕がデザインするというのは、メッシがキーパーやるのと変わらないですから(笑)。メッシはフィールドにいたら輝きますけど、キーパーでも輝けるかと言ったらそうではないですよね。だからお互いが自分の得意なことをやって支え合えるチームでいたいですし、今後もそういう方針でいきたいです。

メインターゲットは?

本間:ビジネスマンや体を鍛えている人はターゲットに入りますね。ミニマスはハイスペックなスポーツ向けの生地を使っていながら、見た目がエレガントに見えるところが特長の一つです。ビジネスマンが仕事前にジムに行くときに着て行ったり、朝ゴルフをやってそのまま仕事に行くような、オンとオフをシームレスにしたい人をターゲットにしています。

ローランド:ヘルシーなライフスタイルを好む人にも向けたいなと思います。ラグジュアリー路線で売ってもメゾンブランドには敵わないですし、機能性ではアウトドアブランドに勝てない。けれども、そこをミックスしたら僕らの勝機があるんじゃないかなと。

 僕の中でのイメージは「無人島に1着しか持っていけないとしたらどの服を選びますか」という問いで選ばれる服でありたい。僕はヘリコプターで救出されてカメラに抜かれる時にある程度カッコ良く映りたいから(笑)。そういう意味ではラグジュアリーとスポーティーのミックスというのは需要があるかなと。

ローランドが手掛けるミニマス
Image by FASHIONSNAP

ファーストコレクションのこだわりは?

橋本:基本は素材ですね。先に素材を決めて、その後でデザインを考えるというのが僕がよくやる手法なんですが、ミニマスではその手法でミニマムを追求しました。ただ、削ぎ落としすぎると面白くないので、ミニマムをゼロではないところで表現するバランスを意識しました。

ローランド:橋本さんのアイデアで感心したのが、例えばこのジャージー。僕はジャージーは襟が立ってる方がスマートだしエレガントだと思うんですけど、このジャージーは襟をエレガントに立たせるためにファスナーを襟部分につけているんです。

ローランドが手掛けるミニマス
ローランドが手掛けるミニマス

Image by FASHIONSNAP

全 2 点

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MINIMUS ファーストコレクション

LOOKBOOK

橋本:襟部分に何か収納できるわけではないので「襟を立てるためだけのファスナー」ではあるんですが、ファスナーがないとそれはそれで寂しい。アクセントを取り入れるという意味でも採用しています。

ローランド:あとロゴの位置もね。ジャージーでは胸元にロゴを入れるブランドが多いですが、あえて肩口に入れています。

ローランドが手掛けるミニマス
Image by FASHIONSNAP

橋本:見せたいけど見せたくない、みたいな。削るのって結構簡単なんですけど、削らずにどうミニマルに見せるか、そこのバランスですね。

ロゴを前面に押し出した方がブランド認知は上がりそうですが。

ローランド:ハイブランドのロゴが入った服を着ていれば、どんな人でもそれなりに“良く見える“とは思いますが、ブランドの主張が強すぎる物ってミニマル志向の方はあまり好まないんですよ。

本間:ブランドロゴで何を想起させるかがブランドの強さだと思うし、それによって買う人が幸せになるのならいいと思いますけど、そもそも作り手側の人間でそういうものにドキドキする人はいないんじゃないでしょうか。決してそれが悪いとは思わないですが、僕はロゴを乗せただけのモノづくりはあまり好みませんね。

橋本:僕も同業者としてよく思いますね。ハイブランドのロゴが書いてあるだけの10万円のスウェットがあったとして、ロゴやタグをなくしても10万円を払う人はいるのかな?と。もちろんそこまで作り上げたブランド力はすごいですけど、モノそのものの価値としては疑問が残ります。

本間:ブランドの主張が強いものが流行るのはいいんですよ。でもそれが嫌だって人も絶対存在していて。そういう人たちに向けた服でありたいですね。

ローランド:シンプルなものを着るときは、自分の魅力で勝負しなきゃいけないと思っているんですけど、「ミニマスの服を着て自分の魅力で勝負する」という人が広まったら、僕らの商品がライフスタイルやマインドを変えたことになるじゃないですか。そんなブランドにできたらこんなに嬉しいことはないなと思います。そういう意味ではブランドの主張を好む層はターゲットではないかもしれないですね。

シンプルなデザインはシルエットが重要になりますが、心がけたポイントは?

橋本:本気でスポーツに取り組んでいるアスリートのような方々は体がすごく綺麗なのでどんな服でも格好良く見えるんですが、ミニマスはそれ以外の方が着ても“そこそこイケる“というシルエットを意識しました。ある程度タイトな方がバチッとキマりますが、オーバーサイズの要素も取り入れて、かつルーズではないバランス感を大事にしています。本間さんが着ている服も、オーバーなんですけど生地が硬いのでハリが出て、アスリートが着ている雰囲気に近くなる。シンプルだからこそ素材とシルエットにこだわっています。

ローランドが手掛けるミニマス
本間英俊 Image by FASHIONSNAP

カラーはブラック、ホワイト、グレー、ベージュの4色展開です。

本間:スタート時点ではこれでいいと思っています。この4色をベースとして、市場を見ながらその他の色展開について検討していこうと思っています。

ローランドが手掛けるミニマス
Image by FASHIONSNAP

ローランド:これまでのブランドでは市場に媚びないことを意識しすぎて顧客との軋轢を生んでしまった反省もあるので、ニーズにも柔軟に対応したい気持ちはあります。

橋本:奇抜なカラーを取り入れるのも僕はアリだと思っていますよ。

価格帯は?

本間:ジャケット類で3万円台後半くらいですね。シャツとパンツは1万円台後半から2万円台前半、カットソーは1万円前後です。

これまでの反省として「価格を高くしすぎた」という話もありましたが。

ローランド:クリスチャン ローランドはエントリーアイテムがインナーで1万円台後半、タキシードが70万円くらいだったんですが、今振り返るとどんだけ尖ってんだよと(笑)。今まで街で自分の服を着ている人と何回すれ違ったと思いますか?

何回ですか?

ローランド:1回です。

橋本:1回もあったんだ(笑)。

ローランド:本当にびっくりしました。寝る前に毎日その人の顔が浮かびましたよ(笑)。なので前回の反省を踏まえて、手に取りやすい価格帯で展開します。かつ原価を抑えてチープなものになるのは嫌だったので、原価率はかなり高い。具体的な数字は開示できないので想像にお任せしますが、野球に例えるなら全盛期のイチローを超えています。

アパレル業界ではサステナブルな取り組みが求められています。意識していることは?

ローランド:ライフスタイル自体をミニマルなものに変えるというのも、サステナビリティに対する一つのアプローチになり得ると思っています。というのも僕があまり服を買わない人間で、最高級の1着を大事にするスタイルなんです。1着だけを大事にしたら必然的に破棄する服の絶対数が減るじゃないですか。だからミニマスの服のように1着でジムにもオフィスにも行けて、部屋でも過ごせるというものがあれば、服の絶対数が減って、その分破棄される数も減らすことができる。ミニマリズムとして新しいサステナビリティの在り方を提案していきたいと思います。

ローランドが手掛けるミニマス
Image by FASHIONSNAP
ローランドが手掛けるミニマス
Image by MINIMUS

販路はオンラインのみですか?

本間:基本的にはオンラインがメインになると思います。タイミングが合えばポップアップをやったりしたいですね。

今回ブランド立ち上げるにあたって苦労したことは?

ローランド:特にないですね。

本間:ないですね。

橋本:ないね(笑)。

ローランド:大体ビジネスで悩むのって人間関係とか、資金繰りの問題とかじゃないですか。資金面は自己資本なのでクリアになっていましたし、橋本さんと本間さんは見ての通りすごくいい人だったので。強いて言えば、新庄さん(現日本ハムファイターズ 新庄剛志監督)とのやりとりが大変でした。実は新庄さんに特注でオーダーをいただいて、今製作している真っ最中なんですが、襟の高さとか、素材などこだわりが強すぎて(笑)。今後会見とかで着ていただけるかもしれません。

それはすごく気になります(笑)。ブランドとしての長期的な目標は?

ローランド:忖度なく言うと「服が売れなくなること」がゴールだなと思ってます。というのも、ミニマルなライフスタイルが浸透していくと「この1着さえあればいい」という考えになっていくと思うんですよね。もちろん短期的には前回のブランドを超える売上を達成したいとか、利益を伸ばしたいといった目標はありますが、根本的なところが儲けたいとかよりも、この服を通じてライフスタイルを変えたいということなので。ロマンチストな側面もあるかもしれませんが、ミニマスの服をみんなが身にまとって、服が売れなくなる時代が来ることが長期的な野望です。

ローランドが手掛けるミニマス
Image by FASHIONSNAP

ブランドを運営する以上、売上は無視できないのでは?

ローランド:難しいですね。利益が出ないとブランドがストップしてしまうので、ある程度の利益はもちろん求めますが、営利的なことをプライオリティに設定するのは今後もないと思います。昔、音楽家だった父に「オリコン1位を狙って書いた曲と作りたいと思って作った曲、どっちが売れると思う?」と訊かれたことがあるんです。父が言うには、オリコン1位を狙って肩肘張った曲はあまり売れないと。自分が本当に作りたいものを表現した方が結果的に売れることが多いと言っていて、僕らのブランドもそうでありたいなと思っています。だから売上目標を掲げてそこに向かっていくというよりも「いけるところまでいく」というのが正確なアンサーになるかもしれないですね。

橋本:売上目標を作ってしまうと、そのためにポロシャツが必要とか、型数を増やすとかで本当に欲しくないものを作ることになるんですよ。本当に必要なものだけを作って、最低限食べていければいいじゃないですか。

ローランドが手掛けるミニマス
橋本淳 Image by FASHIONSNAP

ちなみにローランドさんが普段のファッションでこだわっていることはありますか?

ローランド:実はあまりなくて。ブランドや価格よりも自分の心が動くかどうかで決めています。それがハイエンドだろうがファストファッションだろうが心が動いたら買うっていうのが正しいところですね。

ローランドさんにとってファッションとは?

ローランド:定義するとしたら「必要最小限」ですね。ファッションを「虎の威を借る」みたいな感じで、自分の価値を高めるツールとして捉える人っているじゃないですか。僕はそれは違うかなって思っていて。素の自分で勝負したいし、ファッションをスパイスとか調味料のような考え方にはしたくないなって思いますね。だからミニマスにはあんまり調味料的な要素はないんですよ。素材の味で勝負して、付加価値は自分でつけていく。それが僕のファッション観です。

ローランドさんが今後個人で新しく挑戦したいことはなにかありますか?

ローランド:今やりたいことは全部チャレンジしてますし、明日やりたいことができたらチャレンジすると思います。だから短期的なことで言うとあまりないですね。長期的には、自分の言葉で世界を変えたいという目標があります。僕の言葉でたくさんの人が前向きになったり価値観が変わったらいいなって思っているので、人の価値観を変えるような言葉やサービス、モノを発信していきたいですね。

橋本:......なんか心に響いちゃったな(笑)。

未経験ジャンルにも積極的に挑戦していますが、そのエネルギーの源は?

ローランド:この質問に対しては、「挑戦すること」の捉え方をアンサーした方が正しい答えになると思います。新しいチャレンジをすると、前回のアパレルもそうですけど失敗することが多いじゃないですか。でも失敗の捉え方を少し変えるだけでチャレンジは楽しくなると思っていて。例えば、少女漫画のモテ男は女の子に振られたときに落ち込むんじゃなくて絶対「コイツ、おもしれー女」って言うじゃないですか(笑)。あの感覚って実はすごく大事で、できなかったことに対して落ち込むんじゃなくて「おもしれー女」って思ってワクワクする。このメンタルでいくと、チャレンジがあまり怖くないんです。正しい失敗の捉え方は全部少女漫画に詰まっていると思っています。

(聞き手:村田太一、伊藤真帆)

ローランドが手掛けるミニマス
Image by FASHIONSNAP

■MINIMUS
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