ヴァージル・アブローとキム・ジョーンズ
Image by: FASHIONSNAP

Fashion インタビュー・対談

ヴァージル・アブローとキム・ジョーンズが解釈する新しい「フットボール×ファッション」の形

ヴァージル・アブローとキム・ジョーンズ
ヴァージル・アブローとキム・ジョーンズ
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 まもなく開幕するワールドカップロシア大会から遡ること約4ヶ月。今メンズファッションの世界で最も注目を集めるデザイナー、ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)とキム・ジョーンズ(Kim Jones)の姿がロンドン郊外にあった。ヴァージルは「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」、キムは「ディオール オム(Dior Homme)」と、それぞれの新天地でのデビューコレクションを間近に控える旬なデザイナー2人が今回、ワールドカップ開催に合わせ「ナイキ(NIKE)」とのカプセルコレクションを発売する。今シーズン話題を独占するであろうメンズファッション界の"ツートップ"それぞれが解釈する「フットボール×ファッション」とは?

 

■ NIKE X OFF-WHITE "FOOTBALL, MON AMOUR"

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 「THE TEN」をはじめとするナイキとのコラボレーションスニーカーを多数制作し、いずれもプレミア化するほど人気を集めているヴァージル・アブロー。両親の出身国であるガーナでフットボールが盛んだったため、アメリカで過ごした幼少期からフットボールに親しんできた。

 「周りの友達もみんなフットボールが好きだった。1年中練習に打ち込んで、高校生の時にはクラブチームが州のチャンピオンになるくらい真剣だったんだ。スケートボードで遊んでJeepでラップを聴きながら練習に行く。これが当時のルーティーンだったね」

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 当時のスター選手、ロベルト・バッジョに憧れたサッカー少年は今年、38歳を迎える。最近ではあまりフットボールのリーグをフォローしなくなったというが、選手とはファッションを通じた接点がある。 

 「プレミアリーグなどで活躍している若い選手たちはまだ10代後半。自分とは年齢が離れているけど、オフ-ホワイトのファンも多いと聞いたんだ。それがとても嬉しいし、そういった形で若い彼らと繋がりを持てることを誇りに思う」。

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 自身がプレイしてきたフットボールだからこそ、プロジェクトにかける思い入れも特別だ。ナイキとオフ-ホワイトのコラボレーション「FOOTBALL, MON AMOUR」は、ジャケット、上下のトラックスーツからロンT、ソックス、ゴールキーパーのグローブ(国内未展開)、先日発売されたスパイク「マーキュリアル」に呼応したズームフライシューズ、そしてサッカーボールまで、ヴァージル曰く「制限なく好きなものを着られるトレーニングのシーン」を想定したというフルセットで構成される。一貫するコンセプトとして、ドットをデザインに用いた。

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 「シューズに施したドットはボールのヒットポイントを示していて、トレーニングガイドのようなもの。走っている時や買い物をしている時にも、頭の中や目で常にイメージトレーニングできるようにね。単にストリートウェアだとグラフィックはどこにでもデザインできるけど、スポーツシーンでのグラフィックの配置には理由が存在しているということを、ナイキから学んだ。通常のオフ-ホワイトのコラボであればクローゼットに飾っておいてもいいけど、今回のアイテムはピッチで使えるほど機能性に優れているから、実際に着用することで価値が生まれてくるんだ」。

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 ナイキとオフ-ホワイトの協業は、ストリートキッズ達を熱狂させ、常に話題を振りまいてきた。回を重ねるごとに強固なものになっているパートナーシップだが、そのクリエイションの原点は何なのか。 

 「ナイキは自分にとっての頂点。ブランドが誕生してから現在まで、常に『本物』であり続けている。それを自分の手で解体してクラッシュさせることで、そのテクニックと美しさの真髄を改めて目の当たりにすることができる。そしてその全てが機能的であるということが、ナイキの本質だと思う。自分はそれをまた組み合わせていくだけ。まだ8歳でフットボールも上手じゃなかった自分にとって、あらゆるスポーツのトップ選手たちがみんなナイキを履いている姿は憧れ以外の何ものでもなかった。その時の気持ちは、今でも色褪せることはない」。

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■NIKE X KIM JONES "FOOTBALL REIMAGINED"

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 キム・ジョーンズは、シャープでクリーンなデザインでユニフォームを新たなファッションに昇華させた。この洗練されたデザインは、自身の故郷でもある英国カルチャーからインスパイアされているという。

 「できるだけシンプルで、実験的なシルエットやアイデアを活かした。パンクからインスピレーションを得ているんだ。なぜかというと、パンクの時代というのは『プロポーション(Proportions)』が全てで、それが着ている人をパワフルに見せていた。切り貼りしてみたり、それを元に戻してみたり、若者が取り入れたDIYのアイデアだね。だから細かく見ていくと、リブが腕や少し中途半端な胴部分に入っていたり、裏表が逆になっているように見えたり、一度壊して作り直したようなデザインのカットソーとか。そういったディテールに、アヴァンギャルドなパンクの精神を反映した。ナイキのロゴをスマイリーフェイスにしたのも、ちょっとしたアクセントだよ」。

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 コレクションの中でも一番のお気に入りがシューズ。「エアマックス97」「バンダル」「フットスケープ」の3モデルを、アパレルと同じく"キム流のパンク哲学"で組み合わせてデザインした一足だ。「新しいフットボールのスタイルになるのではないか」とデザイナー本人も自信を覗かせる。  

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ヴァージルはプレーヤーとしての経験や視点からコレクションを作り上げた一方で、キムは別の角度から今回のコレクションを構築した。 

 「もちろんイギリス人として育ったわけだから、フットボールは身近なスポーツ。でも僕は競技というよりも、フットボールのカルチャーの方に興味があった。だから自分の好きだったパンクと結びつけたらどんなものが生まれるのか試したかった。僕のクリエイションはいつも、ファッションを異なるカルチャーの視点から切り取るというプロセスで完成していく。今回もフットボールのカルチャーそのものを、ファッションで表現したんだ」。 

 最後に、ワールドカップの楽しみ方は?と問うと、デザイナーならではの答えが返ってきた。

 「僕は試合の行方よりも、スタジアムに来る人たちがどんなスタイルなのか、どんな思いを抱いているのか、それを見て感じるのが楽しみだよ」。


(聞き手:今井 祐衣)


■関連ニュース>>「ナイキ」がヴァージル・アブローとキム・ジョーンズと協業、フットボールコレクションを発売


■ The Nike x Kim Jones "Football Reimagined"
発売日:2018年6月7日
■The Nike x Off-White "Football, Mon Amour"
発売日:2018年6月14日
発売店舗:NIKE.COM/NIKELAB、NIKELAB MA5、DSM GINZA、その他一部の販売店
公式サイト

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