「パリコレ学」を手掛けた放送作家の堀江利幸さん
Image by: FASHIONSNAP.COM

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人気企画「パリコレ学」はどう生まれた?キーマンたちに聞く裏話<1. 放送作家:堀江利幸>

「パリコレ学」を手掛けた放送作家の堀江利幸さん
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 TBS系列で放送中の「林先生の初耳学」内の1コーナー「アンミカ先生が教えるパリコレ学」。"パリコレ"デビューを目標にタレントでモデルのアンミカさんが先生となり、モデルの卵(=学院生)たちのパリまでの道のりと現地での挑戦を追った人気企画です。企画は反響を受け、第1シーズン放送終了後まもなく第2シーズンがスタート。この半年間、第2期生の切磋琢磨し成長する様子がお茶の間に届けられました。そんな「パリコレ学」のカメラに収まりきらなかった裏話について制作陣、出演者など関係者にインタビューします。第1弾は企画の発案者である放送作家の堀江利幸さん。

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裏番組に対抗して生まれた「パリコレ学」

—放送作家とはそもそもどのようなお仕事なのでしょう?

 基本的にはテレビ番組全体の企画、また番組内の企画を考えることが中心です。他にはスタジオ収録やロケ時の台本を書いたり、編集されたVTRをチェックしてナレーションをつけるなどの作業があります。

—「パリコレ学」の企画ではどういった役割を担当されたのですか?

 企画立案とシリーズ全体の構成、講師陣の選定、ロケ内容などを決めました。この企画への思い入れが強く、毎回ロケに立ち会い、前回はパリにも同行しました。実際に起きたことやインパクトのある発言など、現場に立ち会うことで入ってくるインプットが編集時に役立ちます。

なぜ「パリコレ」をテーマに選んだのでしょう。立案当初の狙いは?

 裏番組に女性に人気の長寿番組があるんですけど、その客層をどうにか引っ張ってきたくてファッションやメイクなどを盛り込んだ企画をふわっと考えていたんです。企画を考える時は大抵イメージから入るのですが、「スタイルが抜群にいい女性モデルたちが何人かいて、辛辣ながら愛のある言葉をかける先生がいて...」といったヴィジュアルを考えていました。そこに「パリコレ」という誰もが知ってる強いワードがハマり、企画の輪郭が徐々に見えてきたという感じです。

 そこから、個性的な9人の学院生を見ながら批評したり、共感したり、視聴者もスタジオの演者さんも肩入れして見てくれるような作りにしたいと思いました。会議で「サバイバル形式で一人ずつ脱落していくのが良いのでは」という声もあったのですが、それだけはやりたくなかった。視聴者はむしろ劣等生に引き込まれるので、優等生もいれば劣等生もいて、テーマによって個々の評価が変わるような連載にした方が毎週楽しく見てもらえるんじゃないかと思い、今の形に至りました。

番組の定例会議で提出した企画書

—番組のメイン企画が「林先生の初耳学」の中、「パリコレ学」の企画が通るのは意外だなと思いました。

 番組自体、博識な林先生の知識を問うものなのですが、5年目を迎えて何か新しさを求めていました。雑学でも教養でもない、林先生とは無縁の全く違った視点から「学び」のコーナーをやるのはどうかと。普通だったら却下されるんですけど、この番組の当時の総合演出の水野雅之氏が日本一柔軟な考え方を持つ方で、即「やりましょう!」と乗ってくれて。アンミカさんが適任なんじゃないか、という具合でトントン拍子で話が進んでいきました。

「たかがパリコレ」ユニークな講師陣の顔ぶれ

—番組の肝となるアンミカさんですが、講師に選んだ理由はなんだったのでしょうか?

 ファッションを語れて説得力のある人、モデルたちと本気で向き合ってくれそうな人、かつバラエティー能力の高い人...そんな人いるのかな、と思っていたらたまたま通販の番組でアンミカさんが映っていたんです。弁が立って、アクが強くてポジティブでファニー。こんな人が真逆の、ストイックで厳しい先生をやったら面白いだろうな、と思いオファーしたところ快諾して頂きました。こちらの想像以上の熱量で番組に向き合ってくれて、林先生も「人を的確に指導する能力に優れている」と絶賛していたほど。と思ったら、同じ週にダウンタウンさんの年末番組で超コミカルなダンスで全力で笑いを取りにいっている姿を見て、なんて振り幅のある人なんだ!と驚かされました(笑)。

—今では「アンミカ先生」というキャラクターが定着しましたが、事前に人物設定のようなものを作り込んだのですか?

 こちらがイメージする最低限の設定や流れは伝えますが、あのキャラクターは僕たちが作り固めた役ではなく、アンミカさんから自然と湧き上がったもの。一発目のオーディションのロケからイメージ通り、というかそれ以上のアンミカ先生像がすでに出来上がっていました。あとは特別講師の方とアンミカさんの世界観で、それぞれの感性がぶつかり合い、ストーリーが進んでいくというのが実際の現場で起きていることなんです。

—特別講師陣も企画の名物ですね。アンミカさんとの掛け合いが良いケミストリーを生んでいます。どういった基準でセレクトされたのでしょう?

 僕含め現場のスタッフもパリコレがどんな世界かなんて全然知らなかったんです。なのでパリコレを始め、世界のファッションの最先端を生き抜いてきた方のリアルなお話を聞きたかった。幸いなことにコシノジュンコさん、山本寛斎さん、桂由美さん、丸山敬太さん、ザック・ポーゼンさん、冨永愛さん、レスリー・キーさんと名だたるビッグネームに出て頂けることになりました。講師陣の方々が学院生にかける言葉も様々な経験をされたからこその重みのある言葉で、そのおかげで企画をメジャーで質の高いものに昇華していただき、視聴者にもそれが伝わったんだと思います。桂由美さんは第1シーズンを見て頂いていたみたいで、オファーに伺ったらご本人が「出たい」とおっしゃってくださって。

特別講師で出演した桂由美 ©MBS

—講師陣に関して印象に残っているエピソードなどはありますか?

 山本寛斎さんはインパクトがありましたね。登場するやいなや「たかがパリコレじゃねえか!」と一喝されて、現場で見ていて痛快でした。それまでのパリコレ学のロケでは「主役は服」という教えでしたが、寛斎さんは「主役は服じゃない、人間なんだ!」と今までの流れを壊してくれて。2期生の学院生はずっと感情が表に出ずおとなしかったんですが、それが良い刺激になって、殻を破るきっかけになりました。

—2シーズンを通して出演された冨永愛さんの存在も非常に大きかったように思います。

 パリコレ学のロケに立ち会って一番強烈な印象は、やはり冨永愛さんが現場に現れた瞬間ですね。気高くて、クールで、現場の空気を一瞬で支配する圧倒的な存在感で、同じ空間に入れたことが幸せでした。冨永さん=パリコレというイメージがやはりありますから、出演して頂けたことで企画が締まったと思っています。

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