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【スニーカートップセラーに聞く】今年のベスト&最多着用は?これからのシューズ事情も-mita sneakers 国井栄之-

 とどまる所を知らないスニーカー人気。毎週のように注目アイテムが発売された2018年、日本を代表するスニーカーショップのキーマンが選ぶ今年のベストスニーカーとは?そしてダッドスニーカーの次にくるトレンドは何か。第1弾は、東京の下町、上野から世界へ向けて独自のスニーカースタイルを提案するミタスニーカーズ(mita sneakers)のクリエイティブディレクター国井栄之。

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■mita sneakers
東京の下町、上野から世界へ向けて独自のスニーカースタイルを提案する「mita sneakers」。下駄や草履を売る日本古来の履物屋「三田商店」としてスタート。創立者「三田耕三郎」の英断で40年以上前から本格的にスニーカーを取り扱い始め、アメ横の老舗スニーカーショップ「スニーカーの三田」として再出発する。現クリエイティブディレクター「国井栄之」の加入後、ショップ名を現在の「mita sneakers」に改名し、当時の日本市場では未知だったコラボレーションや別注を手掛けるようになる。現在ではスポーツブランドからラグジュアリーブランドに至るまで、様々なスニーカーのグローバルプロジェクトに参画し、コラボレーションモデルや別注モデルは勿論、インラインモデルのディレクションまで多岐に渡ってスニーカープロジェクトに携わり、世界のスニーカーヘッズに支持されている。

■国井栄之
「mita sneakers」のクリエイティブディレクター。数多くのブランドとのコラボレートモデルや別注モデルのデザインを手掛けるだけでは無く、世界プロジェクトから国内インラインのディレクションまで多岐に渡りスニーカープロジェクトに携わる。

今年のベストスニーカー

FASHIONSNAP.COM(以下、F):早速ですが、国井さんは毎年何足スニーカーを購入しているんですか?

国井栄之(以下、国井):1年で200足ずつぐらいは増えていると思います。

F:月10足以上はすごいですね。その中のベストスニーカーは何ですか?

国井:色々なスニーカーが発売されて、何を基準にベストを選ぼうかと迷ったんですけど、プロジェクトとしてインパクトがあったミタスニーカーズと「ジバンシィ(GIVENCHY)」とのコラボレーションスニーカーを選びました。今年はラグジュアリーとストリートなど、相反するものがクロスオーバーした年だと思いますし、今年のミタスニーカーズを象徴するスニーカーですね。

ミタスニーカーズ×ジバンシィ JAW

F:ラグジュアリーブランドとスニーカーショップのコラボということで話題を集めましたね。

国井:今までストリートブランドを交えたトリプルネームはもちろん「アシックス(asics)」のパフォーマンスモデルをフィーチャーしたコラボなどをしてきました。その中で、ジバンシィのような大手メゾンと協業できたことはとても良い経験になりましたね。

F:コラボの経緯は?

国井:ジバンシィの方からオファーを頂いたんです。僕はミタスニーカーズ以外にも、個人で様々なブランドが今後展開するアイテムを見てフィードバックをするというアドバイザー的な仕事もしていて。それで今年の夏にコラボモデルのベースになっている「JAW」のプロトタイプを持ってきてくれて、意見を聞かせてほしいと言われました。フィードバックが終わったら、すぐその日に連絡がきて「実はクレア(クレア・ワイト・ケラー)が東京に来ているから夕方にもう一度ミーティングがしたい」と言われたんです。

F:すごい急展開ですね。

国井:それでクレアさんに会うと「私はスニーカーカルチャーのことがわからないから色々教えてほしい」と言われたので、自分の主観で色々なことを話しました。そうしたら「本題に入るけど、実はコラボパートナーになってほしくて時間を作ってもらったんです」と言われたんです。今思うとフィードバックをお願いされたのはテストのような意味合いがあったのかもしれません。その2日後に本国のCEOに来て頂いて、正式にコラボが決定しました。

F:製作の過程で、ラグジュアリーブランドだからこその違いはありましたか?

国井:プロセスは同じでしたが、進行スピードが全然違いましたね。「このタイミングで間に合うのか?」と思うこともありましたし(笑)。でも本当に刺激的な仕事でしたし、今後に活かせる良い経験になりました。

F:花札の「松に鶴」から着想を得たデザインなんですよね。

国井:ジバンシィ側からしたら僕らのようなショップにコラボを持ちかけることは博打みたいなものだなと思い、花札を選びました(笑)。「松に鶴」は、柄に日本らしさが凝縮されていますし、クラシカルなデザインソースをモダンに表現することで色々な人たちに履いて頂けると思い採用しました。

F:履いてみての率直な感想は?

国井:スポーツシューズから着想を得たスニーカーというより、革靴から派生したスニーカーだなと感じましたね。クッショニングやアッパーのホールドなど、わかりやすく機能が可視化されているスポーツブランドのスニーカーとは違うベクトルの作りで。正直、これまでラグジュアリーブランドが作る靴に対して斜めに見ていたところがあったんですが、靴の顔となるアッパーの作りもしっかりしていますし、バンプ部分の履きじわが入りにくく、足もソールユニットにしっかりとのってシューズとしての完成度の高さに驚かされました。あと、パイピングはプロトタイプにはなかったんですが、コラボをきっかけにインラインにも反映されるようになったんですよね。

F:自分のデザインが大手メゾンのインラインに反映されるのは嬉しいですね。

国井:10〜20年前のコラボは、他店との差別化だったりグローバル的に日本に目を向けてもらうといった目的があったと思うんですが、今はインラインに目を向けてもらう為にあるものだと考えていて。極論ですが、コラボアイテムは買わないけれどそれをきっかけに知ったインラインを買う、というのでも僕は良いと思っているんですよ。そういう意味でインラインにディテールが少しでも反映されたということは、本当に嬉しかったです。

 

今年最も履いたスニーカー

F:次に今年1番履いたスニーカーを教えてください。

国井:今年はこの「ナイキ ダンク レトロ」をよく履きましたね。シルエットなど少しだけ形状を見直し2016年に復刻したスニーカーなので、今店頭では売っていないんですが(笑)。単純に発売当時に良いと思ったから買って寝かせていたんですけど、履きたいと思ったタイミングが2年経った今年だったという感じです。

ナイキ ダンク レトロ

F:ダンクの魅力は何ですか?

国井:いい意味で普通なところですかね。ソールにエアは入っていないですけど、デザインとして凄く完成されていると思っています。僕は単純にダンクのシルエットだったり、王道のツートーンが好きで、カレッジカラーも逆に今新鮮に感じます。

F:他に今年はどういうスニーカーを買いましたか?

国井:それこそダンクやエア ジョーダン 1だったりと、ここ数年あまり履いていなかったコート系を買う機会が多かったです。今日履いている 「ユニオン(UNION)」と「ジョーダン ブランド(JORDAN BRAND)」がコラボしたエア ジョーダン 1も買いましたし。スニーカー黄金時代と呼ばれる80年代後半〜90年代前半に誕生した名作スニーカーの独創的なデザインが好きなんですよね。

NIKE×UNION エア ジョーダン 1

F:独創的なデザインとは具体的に?

国井:例えば、機能性が重視されるバスケットボールシューズで、アッパーに「AIR」と大きくデザインされているナイキの「エア モア アップテンポ (AIR MORE UPTEMPO)」を作るという発想は、今だと思いつかないんじゃないかと。今の技術で機能的なモノを作ろうと思えば、廃材の出ないアッパーに3Dプリンターでそれぞれの足に合った究極系を作ると思うんですが、みんなが同じ方向を向いて効率化だけを図るとどこのブランドの誰が作っても一緒になる気がして。もちろんスポーツブランドが差別化を図るためアイデンティティとしてイノベーションや機能性を求めるのは大切だと思います。ただ復刻モデルにみんなが惹かれるのは機能やスペックだけを求めているわけではなく、ルールがなくカルチャーも成熟していないあの頃のデザインに高揚感を感じているからではないかと思うんです。

F:昔買った靴を長く履くためには手入れも大事だと思いますが、国井さんはどのような手入れをされていますか?

国井:僕は結構雑で(笑)。スニーカー用の洗剤で洗って、干すとかはしていないですね。それ以上にスニーカーが増え続けているので。汚れたらクリーニングシートで拭くぐらいですかね。でも、新しいスニーカーを履く前に撥水スプレーをかけるのは徹底しています。汚れてからのケアというより、事前のケアに力を入れている感じですね。

F:ケア用品の愛用ブランドはありますか?

国井:「マーキープレイヤー(MARQUEE PLAYER)」です。海外の撥水スプレーとかだと成分が強すぎてスニーカーが白くなってしまうことがあるんですが、マーキープレイヤーは白くならないので安心して使えます。汚れたときに使うクリーニングシートもマーキープレイヤーです。様々なメーカーが出していますが、マーキープレイヤーは大判なので1枚で両足拭けて楽なんですよね。かゆいところに手が届くプロダクトが多くて愛用しています。

 

今年の売り場の傾向

F:今年ミタスニーカーズではどんなスニーカーが人気でしたか?

国井:チャンキーなシルエットのものが年間を通して支持されていましたね。上半期だけだと思っていたんですけど、意外と長く続いた印象です。あと、昔はファッション性の高いライフスタイルで使われるスニーカーと、運動靴というかパフォーマンスのためのモデルが完全に分かれていたと思うんですが、ファッションとスポーツがミックスされ、分けて選ぶ人も少なくなりました。ランニングでも使うし、タウンユースでも使うといった感じで境界線がなくなりましたね。

F:ブランドでいうとどうでしょうか?

国井:今年は圧倒的にナイキでしたね。本当にパワーがあるブランドだと思います。あと今までスニーカーを買うときに「ミズノ(MIZUNO)」を選択肢に入れることってあまりなかったと思うんですけど、 "KAZOKU" プロジェクトをスタートさせてその選択肢にミズノが入ってきたことは今年起こった大きな変化だと思います。

F:"KAZOKU" プロジェクトでは ミタスニーカーズもコラボしていましたね。

国井:今年から日本とヨーロッパでスタートして、ミタスニーカーズの他にもヨーロッパのスニーカーショップやブランドとコラボしていました。来年はアジア圏とアメリカでも本格的にスタートさせて、2020年にはグローバルで展開しようというプロジェクトです。数字だけでいうと他のブランドのほうが良いですが、話題性や新しさという部分では今年はミズノでしたね。

F:女性の顧客も増えていますか?

国井:増えましたね。フェミニンなモデルは置いていないので、基本的にメンズモデルの小さいサイズを求めて来てくださる女性の方が多いですね。

F:海外からの顧客も?

国井:めちゃめちゃ多いですね。アジアが多いですが、ヨーロッパやアメリカからも来て頂いています。上野のセンタービルの2階にある店の立地と、コラボアイテムを世界中で展開しているということがあって、ふらっとというよりは目的を持って来店される方が多いですね。

 

今後のスニーカー市場はどうなるか?

F:今後のスニーカー市場はどうなると思いますか?

国井:今年は色々な相反するものがクロスオーバーして一極集中していましたが、また離れていくんじゃないかなと思うんです。ロゴを外したらどこの靴かわからないような靴も増えてきていますが、これからは個々のアイデンティティをより強く打ち出すためのアイテムが支持されそうだなと。

F:先ほど言っていた90年代の独創的なデザインのようなものが増えていくということですか?

国井:懐古主義はあんまり好きじゃないですが、それこそダンクなんかは一目見てナイキだと分かりますし、「アディダス(adidas)」や「ニューバランス(New Balance)」など各社それぞれアイデンティティを感じるスニーカーがありますよね。僕らからすると再評価という感じですが、若い人たちには新しく見えると思うんですよね。世代によって受け取り方は違いますが、そういったデザインのものが増えるでしょうし、また評価されると思います。例えばダッドスニーカーが売れているからという理由で、見よう見まねで脈略なく作られたものなどは淘汰されていくでしょうね。

F:ではミタスニーカーズとしての2019年の目標は何ですか?

国井:昔から変わっていないんですが、1番の理想は目当ての商品を買いに来店した方が結果別のスニーカーを購入するようなお店でありたいです。知らなかったスニーカーを発見できる、そんな場所でありたいなと思います。今は何でもネットでという方が増えていると思いますが、スニーカーを探すにしても検索ワードが必要でそのためには予備知識が必要ですよね。一方店舗は予備知識がなくても、見て履いて主観で選ぶことができます。ミタスニーカーズはその魅力を体感して帰ってもらえるようなお店をずっと目指しています。変えたくないところは残しながらも進化できるようミタスニーカーズがやるべきことをやるという感じですね。

F:ミタスニーカーズがやるべきこととは具体的に?

国井:商品の機能や素材についての情報、それこそ限定モデルだということを強く打ち出すことは重要ではないと思っていて、それよりもなぜこのタイミングで復刻するのかなど商品のバックボーンをしっかり紹介していきたいです。コラボや限定品を前面に打ち出す売り方はしていないですし、今後もする予定はないですね。

■【スニーカートップセラーに聞く】今年のベスト&最多着用は?これからのシューズ事情も
1-mita sneakers 国井栄之
2-MFC STORE 近藤浩人
3-Styles 齋藤正希
4-BILLY'S ENT 佐藤敬太
5-WORM TOKYO 大草良平
6-UNDEFEATED 松下一英
7-KICKS LAB. 柿沼裕太
8-atmos 小島奉文

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