ステラ マッカートニー 2024年春夏コレクション
Image by: STELLA McCARTNEY
2001年の創業以来、動物愛護と環境保全の観点から皮革や毛皮を一切使用せず、サステナビリティを貫いてきた「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」。10月2日(現地時間)に発表された2024年春夏ショーは、ヴィーガンレザーや海藻由来のファブリック「ケルサン(Kelsun)」など、全体の95%が環境に配慮された素材から成る、ブランド史上最もサステナブルなコレクションとなった。
マルシェ「ステラズ サステナブル マーケット」が出現
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会場となったのは、毎週木・土曜日にマルシェ(市場)「サックス・ブルトゥイユ(Marche Saxe Breteuil)」で賑わいを見せるパリ7区のサックス通りだ。ショーが開催されたのは月曜日だったが、「ステラズ サステナブル マーケット(Stella's Sustainable Market)」と名前を変えてマルシェが出現した。
「ケルサン」の開発企業「ケル ラボ(KELL Labs)」をはじめ、100%電動型スクーターの開発企業「ピュア エレクトリック スクーターズ(Pure Electric Scooters)」、100%植物由来のプラントレザー「ミラム(Mirum)」を開発した「NFW」、ブドウ由来のヴィーガンレザーを開発する「ヴェジェア(VEGEA)」、LVMHが開設した余剰生地を販売するリセールプラットフォーム「ノナ ソース(Nona Source)」、パリの人気レコードショップ「レコード ステーション(Record Station)」、「アディダス(adidas)」とのコラボライン「アディダス バイ ステラ マッカートニー(adidas by STELLA McCARTNEY)」、ステラの両親ポール・マッカートニー(Paul McCartney)とリンダ・マッカートニー(Linda McCartney)によるバンド ウィングス(Wings)など、21店舗が出店。ショー後にマルシェは一般開放され、招かれたゲストだけではなく地元住人たちもコレクションに登場した先駆的な素材を直に体験できる場となった。
テーマは「家族、自由、流動性」
今シーズンのテーマは、「家族、自由、流動性」。ステラのルーツである音楽、両親との関係、彼らと共有した服、そして、幼少の頃より重んじてきた動物や地球への思いをコレクションに表現した。
父ポールらしいタキシードシャツとオーバーサイズ気味のコートをはじめ、母リンダが頻繁に着用していたパンツスーツや、ショート丈のバイカージャケットにワイドシルエットのデニムをあわせたスタイルなど、1970〜80年代に両親が楽しんだ当時のファッションをステラ風に再解釈。これらの着想元になったアイテムの多くは、かつてステラが両親から譲り受け、今でも自宅のワードローブを彩り娘たちともシェアしているという。
両親を愛おしみリスペクトする気持ちは、Tシャツにも現れている。ウィングスのツアーグッズに描かれていたグラフィックを、オーガニックコットンのTシャツに乗せて復刻。そして、バンドのツアー生活に着想して誕生したバーシティージャケットは、現代芸術家・空山基とのコラボによるもの。余談だが、ステラはセントラル・セント・マーチンズ (Central Saint Martins)での学生時代に空山氏の大ファンとなり、過去にはコラボを打診するため同氏のアトリエに直接足を運び、共に鰻を食べたことがあるそうだ。
"史上最もサステナブル"でもらしさは健在
日差しが降り注ぐランウエイで一際目を引いたのは、クロシェ編みでポルカドットを表現したニットドレスだ。ドットの一つ一つには円形のミラーがあしらわれ、歩くたびにまばゆい光があらゆる方向へと反射し、文字通り煌びやかなルックに。
ニットは「ステラズ サステナブル マーケット」にも出店していた「ケル ラボ」が開発した海藻由来のファブリック「ケルサン」を使用しており、ラグジュアリーブランドが同素材をフィーチャーするのは世界初の試みとなる。
コレクションが終盤に差し掛かると、シルククレープ素材のドレス、ビスコースサテン素材のイブニングドレスが登場。ウエストや太もも部分をシアー素材でデザインすることで、フェミニンな雰囲気をより際立たせたスタイルに。
バッグ&シューズは素材を変えて提案
やはり「ステラ マッカートニー」では、バッグとシューズにも注目が集まる。アイコンのバッグシリーズ「ファラベラ(Falabella)」は、トライアングルシルエットにクリスタルをちりばめた新作や、プラントレザーの「ミラム」を使用したグレーカラーが登場。また、ブドウ由来のヴィーガンレザー「ヴェジェア」で生まれ変わった「フレイム(Frayme)」もラインナップされた。
一方シューズは、同じく「ヴェジェア」を使用したアッパーがターバンのようにツイストされた新作パンプス「テラ(Terra)」をはじめ、全てのパーツが環境に配慮した素材で作られたスニーカー「S-ウェーブ スポーツ(S-Wave Sport)」、コルセットレースがあしらわれたポインテッドトゥのバレエシューズ、ツイストシェイプ仕様のローファーなどが披露された。
"ブランド史上最もサステナブルなコレクション"と謳ったように、その前後も含め、これまで以上にブランドの根底であるサスティナビリティを強く意識しながらポリティカルに寄せすぎない、ステラらしいポジティブなショーを見せてくれた。
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