MARNI 2024SS Collection
Image by: MARNI
フランチェスコ・リッソ(Francesco Risso)が「マルニ(MARNI)」を率いるようになり早6年。東京で開催したファッションショーが記憶に新しいが、今回開催場所に選んだのはファッションの中心地パリ。2024年春夏コレクションショーは、故カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)の私邸で行われた。
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幼少期に船の上で過ごしたフランチェスコ・リッソのクリエイションの核
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創業者のコンスエロ・カスティリオーニ(Consuelo Castiglioni)からバトンを受け、リッソが2代目クリエイティブ・ディレクターとなったのは2016年。マルニの近年の自由を謳ったクリエイションの本質を捉える上で、必然とリッソ自身のバイオグラフィは重要不可欠なものとなる。
イタリアのサルデーニャ島で生まれたリッソは、家族と暮らすためにジェノヴァに移り住むまでの数年間、両親とともに船の上で過ごしたという。リッソは、ジェノヴァで有名な仕立て屋であった祖母から初期の技術を学んだ後、16歳でフィレンツェに移り、イタリアの名門ファッションスクール「ポリモーダ(POLIMODA)」に進学。その後、ニューヨーク州立ファッション工科大学(FIT)で学び、ロンドンのセントラル・セント・マーチンズ (Central Saint Martins)の名物教授ルイーズ・ウィルソン(Louise Wilson)の下で修士号を取得した。「プラダ(PRADA)」で経験を積んだ後、マルニに所属するわけだが、生まれ故郷のイタリアが軸にありつつも、世界各国を転々としており、極め付けは船の上で過ごしたというノマドのようなライフスタイルを送っていたこと。マルニらしいサイケデリックさは前任のカスティリオーニから継承しつつ、テイストやディテールなどあらゆるものをミックスさせたリッソのクリエイションは、放浪者のように転々とした自身のこれまでに深く結びついている。自由奔放で、感覚的な彼が手掛けるコレクション、それにクオリティとリアリティを与えるOTBグループが持つ生産背景により(マルニがOTB傘下に入ったのは2015年)、2代目という難しいロールを与えられながらもカスティリオーニと比較されることのない、確かな地位をこの6年で築き上げた。
初恋を経験した場所、パリで初のショー
直近のマルニはニューヨーク、東京と、ショー会場についても放浪しているわけだが、リッソが2024年春夏コレクションの発表の場に選んだのは、初恋を経験した場所だというパリ。「自由な散策にふさわしい街。遠い昔に初恋を経験し、自分を見失ってはふたたび探し方を見出した街。こうしてショー会場までたどり着きました。ファッションというこの上なく儚い幻想を実現し、迎え入れてくれる場所です」と語るように、酸いも甘いも経験した自身のパーソナルな感覚に向き合う。
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今のリッソにとってのパリでの過去がリアルなのか、フィクションなのかは分かりかねるが、風に吹かれて舞い上がったように膨らんだコットン製のスカートや、小さなニットにチュニック、集められた花のようにコラージュしたフラワーモチーフのドレスなど、香りや情景を見たものに想起させるアイテム群。オーニングストライプやオーバーストライプ、オーバーチェックといった、マルニが得意とする柄をふんだんに用い、その中でビッグボリュームからタイト、逆三角形シルエット、Aラインとリッソらしい様々なフォルムを提案した。ルールのないクリエイションにリアリティをもたすクラフトマンシップも健在で、ジャカードに織り込まれ、なめし革にパッチワークされたチェック柄はその最たるものだ。
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マルニの小物は今シーズンも充実。シューズはポインテッドトゥが多くみられ、ロングブーツにヒール、チェック柄と種類も豊富。その中で、つま先に丸みを帯びたバレエシューズは、通常のパンプスのほか、甲の部分がバレエシューズ風デザインになったブーツも発表された。
バッグは人気の「ストライプバッグ」のほか、サイドが三角形フォルムになったレザートートやゴールドのストラップが付いたハンドバッグ、マチがしっかりとあるクラッチバッグなどが披露された。
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