カルロ・リヴェッティ
Image by: FASHIONSNAP.COM

Fashion フォーカス

テクノロジーの追求の先にあるもの、「ストーンアイランド」オーナーによるアーカイブ展ガイド

カルロ・リヴェッティ
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 「ストーンアイランド(Stone Island)」が、日本初のアーカイブ展「STONE ISLAND SELECTED WORKS - AN ARCHIVAL EXHIBITION」をスタートした。会場には約2万点のアーカイブからセレクトした約45点のアイテムを展示。ブランド設立からの37年間貫いているブランド哲学を会場全体で表現している。数々の名作が生み出されてきたその背景にあるものとは一体何か?開催日前日に来場したクリエイティブディレクターでオーナーのカルロ・リヴェッティ(Carlo Rivetti)にアーカイブ展を案内してもらい、ストーンアイランドを紐解いていく。

SPRING_SUMMER '982
45402
TELA STELLA

カルロ:これは1982年のファーストコレクションで製作したジャケットです。トラックの荷台のカバーなどに使われているターポリン素材を用いてジャケットを作りました。このジャケットを見てもらえれば、ストーンアイランドがファーストシーズンから服に使われていない素材でアイテムを作っているということがわかってもらえると思います。

 最初にこの生地が送られてきたときに、ジャケットを作ってみようと考えました。でも、実際に仕立ててみると、とても人が着られるようなものではなかった。じゃあストーンウォッシュをかけたらどうだろうかと考えて、1時間ストーンウォッシュしたんです。それでもまだ着られる状態じゃない。では、もう少しやってみようと洗濯機に入れたら、そのまま入れたことを忘れてしまったんです(笑)。4時間たった頃に思い出して、取り出してみると着られる状態になっていた。実はそんな裏話があるんです。

 

AUTUMN_WINTER '999 -'000
31154T43
PURE METAL SHELL — BRONZE

カルロ:こちらはブロンズの薄い線を織ってできた素材を使っているんです。ストーンアイランドのアイコンでもある「ストーンアイランドバッチ」は白色で、これは生地や製作工程で先進的な研究をしたと思う服に付けるようにしています。

 

AUTUMN_WINTER '999 -'000
31154U39
PURE METAL SHELL — SILVER SPRAY

カルロ:先ほどの「PURE METAL SHELL — BRONZE」から金属の繊維を使った服作りを続けていたことで、このジャケットが生まれました。ステンレスをポリエステルの上に重ねた生地を使っていて。半透明になっており、光を当てると細い繊維が見えるんです。

カルロ:実はこの繊維は日本の岐阜の工場で作っているんですが、気に入って使いたいと話したら「生地は全てとある一社に納品しているんです」と断られてしまって。でも諦められず何度も話をして、その結果ストーンアイランドにも納品してもらえることになりこのジャケットを作ることができたんです。

 そして、上手くいったので「5,000mの繊維を送って欲しい」と発注すると「どれだけの数の飛行機を持っているんですか?」と聞かれました。なぜかというと納品していた一社というのがボーイング社で、この繊維が開発された理由がパソコンなどの電子機器を飛行機で運ぶ際に電磁波を抑えるためだったんです。

 技術的にも進んだ素材で、当時は1色しか作れなかった。出来上がったジャケットを送ると、とても気に入ってくれて。1年後には工場の機械に改良を加えて3色提供してくれたんですよ。

 

AUTUMN_WINTER '001—'002
35155L59
SUBLIMATION POLY KNIT

カルロ:これは製作したニットウェアの上に転写プリントで色を付けています。色の付いた紙をニットの上に載せて、高温で熱すると紙の色がニットに写る。ニットを平らにして行うので肩や脇腹などには色が写っていないところもあります。ペイントのようにも思えますが、凄く技術を要するプリント方法なんです。

 

SPRING_SUMMER '987
45470
PIGMENT PRINTED REP

カルロ:これもこだわったプリントアイテムです。他のブランドがこのアイテムを作ろうとすると黒い服に白色のプリントをすると思います。でも、私たちは逆。まず白色の服を作って、黒色のプリントをしているんです。なので、裏地は白色なんですよ。

 

SPRING_SUMMER '998
28154P49
LINO GOMMATO REVERSE
COLOUR PROCESS

カルロ:これは先ほどのものと逆と言えるでしょう。黒地の服から色を抜いています。そうすることで、少し酸化して腐食したような風合いになる。だけど、襟や袖、ポケットなど部分的に色を残しているんです。この技術でブランドロゴをデザインすることもできます。

 

AUTUMN_WINTER '000—'001
33154031
KEVLAR®

カルロ:デュポン社がケブラーという素材を開発しました。分厚くて、防弾チョッキなどに使われる素材です。薄くするとセーリングの帆のようになって、薄手だけど頑丈です。服を作ろうと思ったとき、周りからは「この素材は染められないよ」と言われました。でも私たちは技術を駆使して染めることができた。F1レースなどにも使われる素材で、ジャケットを作り上げたんです。

 

AUTUMN_WINTER '003 -'004
39154N40
COMPACT

カルロ:これはリネンフェルトを使っているんですが、製作過程で私たちは圧縮加工を応用しました。普通は繊維に行う圧縮加工を私たちは製品化された商品にしたんです。

 もともとは天然コットンの加工法なんですが、繊維状態のコットンというのは最初不純物があって、汚いんです。なので、綺麗にするために強めに洗浄しないといけない。もともとは倍くらいの大きさで製作してから半分くらいの大きさに縮ませることで、手作業で作ったような独特の風合いになっていると思います。

 

AUTUMN_WINTER '009—'010
51155MC8
GRAPHITE KNIT

カルロ:実は、これは最初思い描いていたようにはいかなかった。編み上げたニットの表面に鉱物のグラファイトを重ねています。グラファイトパウダーが浮遊したポリウレタン溶液を手作業で塗布しているんですが、定着させるのがとても難しい。あまり上手くいかなかったけど、見た目は凄く綺麗なアイテムです(笑)。

 

SPRING_SUMMER '008
4815M647
PRISMATIC SILK

カルロ:これは素晴らしいですよ。メタリックでキラキラしているので、みなさん何の素材かわからないと言うんですが、実はシルクで作っているんです。裏を触るとシルクだとわかると思います。

カルロ:シルクは本当に昔からある素材ですが、もっと現代風にしようとシルクの上にきめ細かなポリウレタンを重ねています。なめらかで光沢感がありますが、少しザラザラしておりシルクとは違った風合いになっているんです。昔からある素材に特別な処理を行うことで、見た目が変わる。このようなアプローチはなかなか他のブランドでは見ることができないと思いますよ。

 

MOVIE

カルロ:液晶では、実際にアイテムを製作している過程を流しています。様々なアイテムの製作映像が流れていて、製作過程も是非見て欲しいですね。

 染色は1色ずつ手で染めていますし、乾かす作業も全て手作業。技術を応用したアイテムが多いですが、職人にしか出せない味というものも大事にしています。イタリアは近代的な国で伝統を重んじる。その点は日本の人にも共感してもらえると思っています。

 

AUTUMN WINTER '014 - '015
43565
RASO HAND PAINTED TORTOISE SHELL

カルロ:ちょうど今映像で流れていたアイテムがこれです。黒に塗るのも、脱色するのも手作業ですし、筆を振ったペイントもしているので世界に1着しかない1点物です。最後に135度のオーブンに3時間入れています。そうしないと色が落ちてしまうんです。

 

PROTOTYPE RESEARCH_SERIES 01
LASERING ON LIQUID REFLECTIVE BASE
LIMITED EDITION - NUMBERED 01 to 100

カルロ:これも色を塗った後にオーブンに入れて色を定着させています。表面にレーザーで形を作った無数のガラスビーズを1点1点塗布しているので光を当てると反射するんです。

カルロ:レーザープリントでグラフィックを施しているので、背面は光を当てるとロゴが見えるんです。

 

AUTUMN_WINTER '017 - '018
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ICE KNIT CREW NECK

カルロ:最後に驚くものを見せましょう。成功するまでに凄く時間がかかりました。

カルロ:今ドライアイスを吹きかけたのですが、これは温度によって色が変わるニットです。1989年に初めて色が変わるジャケットを作りましたが、ニットは初めてです。織物で作るのは簡単なんですが、編物では難しい。繊維を加工しているんですが、ジャケットと同じ技術でニットを作ると、編物の機械を通した時に加工が全て取れてしまうんです。だから色が変わらず何度も失敗しました。

 そこで、日本の島精機製作所の海外支店が私たちの工場から約20km先の場所にあったので、彼らと一緒に取り組んで、ニットマシンを一緒に開発したんです。その成果で実現したアイテムです。機械作りから始めたアイテムで凄く思い入れがあります。

 

カルロ・リヴェッティの想い

カルロ:アーカイブ展を通して私は、「不可能はない」ということをみんなに知って欲しい。私たちはアイテムを作る上で、「無理だ」と言われることが多々ありました。その度に試行錯誤して諦めずに取り組んできました。ここにあるアイテムたちを見て、そういった想いを感じてもらえたらと思います。

 あと、私はミラノの大学で授業をしているんですが、若い生徒たちに「もっと深く掘り下げろ」と伝えています。例えば好きなブランドがあれば、インターネット上の情報でわかった気になるのではなく、そのブランドの全てを知ろうとしてほしい。追求することの大切さというのを、私たちが歩んできた37年間を見てもらうことで知ってもらえれば嬉しいです。

■STONE ISLAND SELECTED WORKS - AN ARCHIVAL EXHIBITION
会期:2019年9月21日(土)〜10月6日(日)
会場:BA-TSU ART GALLERY
開館時間:11:00〜19:00

■ストーンアイランド
公式サイト

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