兎丸愛美
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Culture インタビュー・対談

【インタビュー】ヌードモデル 兎丸愛美に聞く、服を脱ぐことと幸せの関係性

 兎丸愛美、職業ヌードモデル。自身のインスタグラムに並ぶ自然のままの姿は従来のヌードとは一線を画し、多くの女性ファンをはじめ幅広い支持を集めている。小さい頃は寂しがりやで、かつては死を考えながら生きていた。しかし「何もない自分を認めてあげられる」と思えるようになったきっかけが、遺影として撮ったヌード写真だったという。3月1日公開の映画「シスターフッド」に出演し役者としても活動を広げる兎丸愛美にインタビュー。

【兎丸愛美】1992年生まれ。19歳の時に裸の遺影を撮られたことをきっかけに写真の魅力にとりつかれ、2014年にヌードモデルとしてデビュー。2017年4月に初の写真集「きっとぜんぶ大丈夫になる」を玄光社より発売。同年発売のサニーデイ・サービスのシングル「クリスマス」のジャケット写真でカメラマンデビューも果たした。 2016年の舞台「幽霊」以降、女優としても活動しており、「三つの朝」で第4回富士・湖畔の映画祭2018短編コンペ部門で主演俳優賞を受賞。3月1日公開の映画「シスターフッド」に出演している。
インスタグラム:@usamaru_manami

ー まず兎丸さんの過去についてお聞きします。どんな子ども時代を過ごしましたか?

 6人兄弟の末っ子で、すごく寂しがりやでした。小さい頃は家族で川の字のような状態で寝ていたんですけど、兄弟が大人になっていくと徐々に一人暮らしを始めて。それで小学校低学年の頃に一人部屋になったんです。それが本当に寂しくて、夜中に起きては両親の布団に潜り込んだり。中学校1年生くらいまでは、ずっとそんな感じでしたね。

ー 裸の遺影を撮ったことをきっかけにヌードモデルになったとのことですが、そもそも撮ろうと思ったのはなぜでしょうか?

 小さい頃から、よく「死」について考えていました。それは自分の死というよりも、周りの人間が死ぬことが怖くて。私以外の家族で出かけた時に交通事故にあってみんな死んじゃったらどうしようとか、そういうことを想像しては布団の中で泣いたり。誰かがいなくなることが、ものすごく恐怖だったんですね。それが徐々に、誰かがいなくなるのが嫌なら、自分がいなくなっちゃった方が楽というか、苦しまないで済むだろうなと考えるようになって。だんだんと、自分が死ぬことを考えるようになりました。

 それからは死ぬことを目的に生きているようになってしまったんです。例えば、誰にも言えないような悪いことをして「別に私なんか死んでもしょうがないや」と思うようになったり。「20歳までに死にたい」と考えていたので、19歳の時に遺影を撮ろうと思ったんです。

ー でも普通とは違う、ヌードで遺影を撮った理由は?

 自分の生き方がすごく嫌だったから。それまでずっと繕っていた自分を全て捨てて、まっさらな状態にしたいと思って。

ー カメラマンはネットで探したそうですね。

 知り合いに写真家や美術系はいなかったので。当時ちょくちょくmixiを見ていて、モノクロの裸の写真を撮る男性カメラマンの方を見つけたんです。「この人だ」と思って連絡して、駒込のラブホテルで撮影しました。

ー でも死は選ばなかった。

 撮った当初は死ぬつもりで、裸を撮り続けるなんて考えてもいなかったんです。でも出来上がった写真を見て、ちょっとずつ生きるモチベーションが上がったというか。少しだけ、何もない自分として生きてみようと思えてきて。

ー 写真が心境を変えたんですね。

 ずっと空っぽな自分が嫌だったんですが、裸の写真を見て、自分を認めることができたというか。「空っぽだけどこれが私」と思えるようになったんだと思います。

ー それでヌードモデルの道に。

 その後も同じカメラマンさんと撮ったりしていたら、SNSを通じてだったり、色々な人に撮影の声をかけていただくようになって。なので自分から撮ってくださいって言ったことはほとんどなくて、唯一お声がけしたのは写真家のインベカヲリさんですね。

ー カメラの前ではどんなことを考えているんですか?

 「何かを表現したい」とかは一切考えていないんです。写真を撮ってる人と分かり合いたいとか、そういう気持ちの方が強いですね。

ー 兎丸さんのヌード作品には女性ファンが多いようですが、支持されている理由は何だと思いますか?

 私みたいな生き方をしている人が多いのかな。「死にたい」と思うことや、嫌な気持ち、負の気持ちとか、あまり人におおっぴらに言えないことを自分の中に押し込めていたり。

ー ヌードモデルをやっていてよかったと思うのはどんな時でしょうか。

 醜いものも全部美しく見えるとき。裸ってやっぱりすごい力を持っていて、醜い裸って絶対にないと思うんです。みんなそれぞれ美しさを持っている。人とは違うこともコンプレックスも、裸の強さによって美しいものに変わったり。そういう自然の美しさに気づけたことは、すごく嬉しいです。そのままの姿で生きていられることに、喜びを感じます。

ー 出演映画の「シスターフッド」では、「幸せとは?」という質問に対するBOMIさんのコメントが印象的でした。兎丸さんに同じ質問を投げかけたら、答えは何になるのでしょう。

 ヌードモデルをはじめてから5年くらいですが、どんどん幸せを感じることが増えています。それはやっぱり、自分を認めてあげられるようになったからだと思うんですね。子どもの頃から自分がつまらない人間だと思っていたから、誰といても「私といてもつまらないだろうな」と考えてしまっていた。でも今は、何もない自分を認めてあげられる。自分のだめなところも良いところも、全部認めてあげられるようになったら、幸せに近づけるんじゃないかなと思います。

ー 完成した映画を見て、どう感じましたか?

 正直、脚本を読んだときはこの映画がどういう方向に行くのか全くわからなかったんですが、完成した作品を見終わった時には、なんだか穏やかな気持ちになりました。安心したというか。これを見た人が自分の幸せについて考えるきっかけになったら、すごく嬉しいなと思いましたね。だから、幅広い人に見てもらいたいと思っています。

ー 最後にファッションについて。お気に入りの服はありますか?

 タートルネックのニットかな。ユニクロのもので、冬はこればかり。でもブランドを挙げるなら、唯一好きなのは「イッセイミヤケ」。撮影で出会ったスタイリストさんが着せてくれて、それから毎年何かしら買うようにしています。おばあちゃんになっても着たいなと思える服に出会えると嬉しいですよね。

ー 兎丸さんにとって、服を着る行為、また脱ぐ行為は、気持ちに変化をもたらしますか?

 うーん......気持ちが良くなると脱いじゃうのかもしれないです。プライベートで友達と撮影している時とか、最初は服を着ているんですけど、いつのまにか脱いでいることが多くて。もちろんそれは本当に仲の良い人としかしないんですが。お酒を飲んだ時のような高揚感がありますね。裸でいることは、とても気持ち良いです。

(聞き手:谷 桃子)

■映画「シスターフッド」
出演:兎丸愛美 BOMI 遠藤新菜 秋月三佳 戸塚純貴 栗林藍希 SUMIRE 岩瀬亮
監督・脚本・編集:西原孝至
製作・配給:sky-key factory
公式サイト
3月1日(金)アップリンク渋谷にて公開ほか全国順次公開

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