ヴィンテージ総合プラットフォーム「VCM(Vintage Collection Mall)」が、初の書籍発売を記念した展覧会「Vintage Collectables Museum」を渋谷パルコでスタートしました。イベントでは、書籍に掲載している希少なヴィンテージアイテム400点以上の中から選りすぐりのヴィンテージ品約70点を展示。ファン垂涎のレアアイテムを直接目にすることができる貴重な機会となっています。今回は、展示品の中から特に注目してほしい珠玉のヴィンテージ7種をピックアップし、VCM代表 十倍直昭氏の解説と合わせて紹介します。
十倍 直昭/Grimoire inc.代表取締役、VCM(Vintage Collection Mall)代表
2008年にセレクトヴィンテージショップ「グリモワール(Grimoire)」をオープンしたのち、2021年にはヴィンテージ総合プラットフォーム VCMを立ち上げ、日本最大級のヴィンテージの祭典「VCM VINTAGE MARKET」を主催している。また、渋谷パルコにて、マーケット型ショップの「VCM MARKET BOOTH」やアポイントメント制ショップ「VCM COLLECTION STORE」、イベントスペース「VCM GALLEY」を運営。2023年10月には初の書籍「Vintage Collectables by VCM」を刊行するなど、"価値あるヴィンテージを後世に残していく"ことをコンセプトに、ヴィンテージを軸とした様々な分野で活動し、ヴィンテージショップとファンを繋げる場の提供や情報発信を行っている。
Instagram:@naoaki_tobe/@vcm_vintagecollectionmall
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目次
1000万円を超える個体も、1940's LEVI'S「506XXE」
Image by: FASHIONSNAP
十倍直昭:「リーバイス(LEVI'S®)」デニムジャケットのファーストモデル「506XX」。中でも46サイズ以上のものは、日本では「Tバック」 の愛称で知られています。バックヨーク(生地の切り替え部分)と接ぎの縫い線が重なってアルファベットの「T」に見えることがその名の由来で、本国アメリカでの呼び名は「Split Back」です。
このモデルの特徴は、1つのポケット、背面のシンチバック、フロントプリーツ、短めの着丈、ボックスシルエットの5つ。 生産年代を見極める際は、赤タブの有無やシンチバックの形状、ボックスステッチの大きさ、リベットの刻印、ポケットのフラップの有無などを参考にします。
「506XXE」とは通常モデル名「506XX」 に、 エクストラ(Extra)サイズであることを示す「E」を加えたものですが、サイズの大きな個体の希少性や、著名人の着用により近年更に価値が高まりました。コンディションによっては1000万円を超える個体も存在し、今後も価値は上がり続けることが予想されます。
三代目 J Soul Brothers 今市隆二のコレクション、LEVI’S 「大戦モデル」
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十倍直昭:長いリーバイスの歴史の中でも需要が高い、1942〜46年に生産された「大戦モデル」と呼ばれるデニム。第二次世界大戦では世界中が慢性的な物資不足に陥り、リーバイス社も金属や糸、布地といった素材を簡素化することを要請されました。それゆえに大戦モデルのレザーパッチには「501XX」「506XX」などのロットナンバーの前にアルファベットの「S」(Simplified・簡素化)が付いているという特徴があります。通常モデルとの主な違いは、ポケットのアーキュエイトステッチ(弓形の補強糸)が、ペンキによるプリントに変更されていることと、フロントポケットのフラップがないこと。そのほか、月桂樹ボタンが用いられていたり、ベルトループが通常より太くなっている場合もあります。限られた期間のみで生産されていたというだけでなく、通常モデルにはない希少なディテールを備えていることもデニムコレクターの心をくすぐる理由だと思います。
今回は、希少な大戦モデルの中でも特に価値が高いジャケットとパンツのセットアップを展示します。お貸し出しくださったのは、「三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE」でボーカルを務める今市隆二さん。戦争によって仕様変更を余儀なくされたリーバイス社のこだわりが随所に詰まった歴史的なアイテムを、ぜひ会場で直接見てほしいですね。
ピーナッツスウェットの元祖、1965年製 “Peanuts” SweatShirt
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十倍直昭:ヴィンテージに精通している人なら誰もが知っていると言っても過言ではなく、世界中に多くのコレクターを抱えるメイヨースプルース(MAYO SPRUCE)社製の「ピーナッツ(PEANUTS)」スウェット。ピーナッツ プリントのアイテムを生産していた企業は数多くありますが、メイヨースプルース社はその元祖と言われています。今回の展覧会では、アメリカのトイメーカーから1965年にリリースされた、最初期のピーナッツスウェット5柄コンプリートセットを展示します。スヌーピーなどの可愛らしいデザインのほか、バックプリントであしらった各キャラクターの名言にも注目していただきたいです。
マルタン・マルジェラ本人が直接ペイントした個体も、1990-2000's アーティザナルジーンズ
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十倍直昭:純粋なヴィンテージアイテムとあわせて、ブランドアーカイヴと呼ばれるジャンルのアイテムもセレクトしました。「メゾン マルタン マルジェラ(Maison Martin Margiela)」(現メゾン マルジェラ)の「アーティザナル(Artisanal)」ジーンズです。1991年秋冬シーズンにスタートしたアーティザナルコレクションですが、ブランドの中でもデザイナー マルタン・マルジェラ(Martin Margiela)の服作りへの思想が最も色濃く反映されていると言っても過言ではありません。
今回の展覧会では、1990年代から2000年代までのアーティザナルコレクションのジーンズを集めました。マルタン・マルジェラがイベントで直接ペイントした初期の「ペンキデニム」など、ネクストヴィンテージとも言える希少価値の高いアイテムを展示するので、ぜひチェックしてみてください。
幅広いジャンルをアートのように展示、1980-2000's ヴィンテージTシャツ
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十倍直昭:世界中で価格が高騰し続けているヴィンテージTシャツ。貴重なバンド・ロックTシャツやムービーTシャツ、アートTシャツ、フォトグラファーTシャツ、ラップTシャツ、アニメTシャツといったジャンルの中から1990年代に生産された個体を中心にセレクトしました。
今回は、壁面に各ジャンルを代表するTシャツ達をまとめ、アート作品のように展示させていただきます。注目していただきたいポイントは生地の質感、ブランドタグ、経年によるプリントの雰囲気です。復刻では表現出来ないオリジナルのヴィンテージTシャツの魅力は現物を見ないと感じられないと思うので、ぜひ会場に足を運んでください。
ゴールドの「グレンデシャン」など、エルメス ヴィンテージジュエリー
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十倍直昭:近年注目が高まっている「エルメス(HERMÈS)」のヴィンテージジュエリー。同じアイテムでも年代ごとに細かなディテールや刻印、素材などが異なっており、ファンを魅了し続けています。
展覧会では、そんなエルメスのジュエリーのなかでも滅多に目にすることができない貴重なアーカイヴを展示します。1点目は、エルメスのジュエリーデザイナー ピエール・アルディ(Pierre Hardy)がデザインした、非常に希少なネックレス「Pele Mele」。シェーヌダンクル、ブックルセリエ、クレッシェンド、ホースビットといったエルメスの名作ジュエリーのモチーフを集結させたコレクターズピースです。
2点目は、1980年代後期に「穀物の種子」をテーマにデザインされたブレスレット「グレンデシャン」です。シルバーですらほとんど市場に出回ることがないレアアイテムですが、今回展示するのは更に希少なゴールドボディ。マニアも垂涎のトップアイテム間違いなしの逸品です。
色褪せない不朽の名作!1970's CONVERSE チャックテイラー
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十倍直昭:長年愛され続けるスニーカーブランド「コンバース(CONVERSE)」。1908年の創業以来数えきれないほどのモデルがリリースされていますが、その中でも特に人気が高い1970年代の「チャックテイラー(CHUCK TAYLOR)」全10色を展示します。
特徴的なディテールは主にヒールラベル、アッパーを補強するための当て布とステッチ、インソールの3つ。特に大きな星印が象徴的なヒールラベルは、年代ごとに色や星の数、文字の配置が変わります。例えば、1950〜1970年代最初期にかけては3つ星を使用していましたが、1970年代初期〜中期では、左右にあった星がなくなり1つ星に。1976年からは、ヒールラベル自体が白に変更となりました。
また、「昔のオールスターは黒ラベル」と認識している人も多いですが、実は紺色のヒールラベルも存在しており、 ネイビーとホワイトのチャックテイラーに使用されていました。このように、年代やカラーなどによってディテールに違いが見られる1970年代のチャックテイラー。この年代のものが全色並ぶ機会は本当に貴重なので、ぜひ不朽の名作の雰囲気を生で感じてください。
◾️Vintage Collectables Museum produced by VCM
会期:2023年9月29日(金)〜2023年10月9日(月)
会場:渋谷PARCO 4階 PARCO MUSEUM TOKYO
所在地:東京都渋谷区宇田川町15-1
営業時間:11:00〜21:00(最終日は18時閉場)
入場料:1000円
公式サイト
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