「ザラ(ZARA)」から5月13日、ブランド初のメーキャップコレクションが登場する。ディレクションを担当するのは、「マークジェイコブスビューティー(Marc Jacobs Beauty)」などを手掛ける世界的なメーキャップアーティスト ダイアン・ケンダル(Diane Kendal)。ザラのメーキャップコレクションで目指したのは、「多様な美の可能性」を提案することだという。ニューヨークを拠点に活動するケンダルに、美とは何か、メイクに対する考え、そしてザラビューティの魅力を聞いた。
ダイアン・ケンダル
ニューヨークを拠点にグローバルで活動するメーキャップアーティスト。パリ、ニューヨーク、ミラノなどのコレクションでラグジュアリーブランドのバックステージを担当している。「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」や「マーク・ジェイコブス(MARC JACOBS)」のビューティラインを手掛けた経験を持つ。
ー新型コロナウイルスはコスメ業界にも様々な変化をもたらしました。ケンダルさんはこの状況をどのように見ていましたか?
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コスメ業界に限らず、あらゆる業界が影響を受けましたよね。ただ、パンデミックの最中であっても、人々のメーキャップに対する熱意は大きくは変わらなかったのではないでしょうか。メイクの仕方は変わったかもしれませんが、オンラインのミーティングでも見栄え良くしようと、皆さん試行錯誤していたと感じました。ドレスアップしてズームやスマホ越しにパーティーをする人もいましたよね。
ー確かに、メイクにもニューノーマルが生まれました。そのパンデミック下で、ザラのビューティラインの制作が行われたのでしょうか。
まさに制作の真っ只中でした。2年ほど前にビューティ部門を統括するエヴァ・ロペス・ロペス(Eva Lopez-Lopez)から依頼を受けて、具体的にコレクションを作り始めたのは1年半前。最後にチームと会ったのはロックダウン前の2020年の3月初旬でした。それ以降はオンライン上でコミュニケーションを図るしかなかったんです。
ーザラからディレクターのオファーが来た時の感想は?
オファーをいただいた時は「OK」と即答しましたよ。ザラのターゲット層は幅広く、多くの人に向けたメーキャップラインを作れるのがとても興味深いと感じたんです。サステナブルやクリーンであることなどを追求し、発色や仕上がりについて自由にクリエイトして良いという点も魅力的で。これまでカルバン・クラインやマーク・ジェイコブスのビューティプロダクトを作りましたが、今回のようにラインの立ち上げに一から携わるのは初めてなので刺激的でした。
ーコロナ禍での制作で最も困難だったことは何でしょうか。
サンプルをスペインからニューヨークに送ってもらい製品を試していましたが、ズームで質感や色味について話すのが難しくて。どこをどう改良すべきか、言葉で表現しにくいのですが、エヴァはスムーズにチームに共有してくれました。
ービューティラインのコンセプト「there is no beauty , only beauties」の意味を教えて下さい。
「包括的な美」の隠喩です。私は美とは自己表現で、メイクは人生をセレブレーションするものだと考えています。なので、ザラ ビューティでは美の基準は一つではなく、様々な姿や形があり、多様な美には可能性があるということを体現したいと思いました。そして、このコンセプトに辿り着いたんです。
ーデビューコレクションのインスピレーションになったものは?
街や人、アーティストなど人生で触れるあらゆるものがインスピレーション源です。エネルギッシュでカラフル。そしてインクルーシブなコレクションを目指しました。
ーデビューコレクションは全てのアイテムを合わせると130色以上が揃います。豊富なカラーバリエーションは、ケンダルさんが手掛けてきたビューティプロダクトの特徴のひとつですね。
私にとって、誰しもが自分に似合う色を見つけられるという事がとても重要です。ナチュラルなメイクが好きな人もいれば、プレイフルなカラーメイクを楽しみたい人もいますよね。選択肢が多様で、何か「これだ!」と思う色を見つけてもらいたいので、いつも様々な色で展開するようにしています。
ザラ ビューティに関しても、イエローベースやブルーベースのように肌のトーンに捉われずに色選びを楽しんでもらいたいとも考えています。エヴァはザラの様々な地域のチームとコミュニケーションを取っていて、ジャパンチームからもデビューコレクションについてフィードバックをもらいました。まだ立ち上がったばかりですから、今後はイエローベースにも似合う商品がもっと増えてくるでしょう。ローンチを計画しているファンデーションは50色ほど展開するつもりです。
ーデビューコレクションではリップだけで6種類が登場します。特に好きなものは?
ひとつに絞るのは難しいですね(笑)。いくつか挙げるとすると、ひとつは「スティレットデミマットリップスティック」。するすると伸び広がるクリーミーな塗り心地や、ロングラスティングな仕上がり、リップ芯が細身で塗りやすいところや、スリムでスタイリッシュなパッケージも好きです。もうひとつは「アルティマットリップスティック」。保湿力があって仕上がりが長時間持続するので、ノンストレスで使えるところが気に入っています。
ー2021年春夏のトレンドルックに挑戦するなら、何がおすすめでしょう。
3色入りのフェイスパレットがぴったりです。少しダークな色のブロンザーを軽く頬骨の上にのせてコントゥアリングしたら、中央のピーチカラーを頬にプラス。ハイライターを頬骨の一番高いところや顎にのせれば、微細なラメがベースメイクに立体感をもたらします。それから「ティントバームリップスティック」もおすすめしたいアイテム。ゴールドとシルバーのラメが入っていて、シマーな輝きで唇に艶を与えるんです。2つのアイテムでヘルシーで魅力的なルックが完成しますよ。
ー最後に、今後どんなアイテムが登場するか教えてください。
ファンデーションの他には、アイブロウやティントバーム、マルチに使えるカラースティック、アイメイクで「Stiletto Eyeshadow」という商品を開発中で、次回のヒーローアイテムになると思います。私自身も待ちきれないくらいです!
(聞き手:平原麻菜実)
■ザラ:公式オンラインサイト
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