クリエイティブディレクター兼共同創設者のアルノー・ヴァイヤン（Arnaud Vaillant）とセバスチャン・メイヤー（Sébastien Meyer）が2013年に、前身となる「コぺルニ・フェム（COPERNI FEMME）」をスタート。ANDAMファッションアワードやLVMHプライズのファイナリストに選出され、新進気鋭デザイナーデュオとして注目を集める。「クレージュ（Courreges）」のアーティスティック・ディレクター時代の経験も生かされたコレクションは、フューチャリスティックでミニマル、レトロなムードと手に取りやすい価格帯で支持されている。

アルノー・ヴァイヤン & セバスチャン・メイヤー

Arnaud Vaillant & Sébastien Meyer

セバスチャン・メイヤーは、南フランス生まれ。軍学校に通ったことが「初めてファッションに興味を持ったきっかけになった」と、ブランドの公式サイトにて語っている。アルノー・ヴァイヤンは、フランス・プロヴァンス地方の港町サナリシュメールの医師の息子として生まれ、幼い頃から数学とファッションに熱中する。2人は2009年に、パリの服飾学校モダール・インターナショナル（Mod'art Internationa）で出会う。セバスチャンはファッションデザインとパターンメイキングを、アルノーはファッションビジネスとマネジメントを学んだ後に、どちらも「シャネル（CHANEL）」や「バレンシアガ（BALENCIAGA）」で経験を積む。モダール・インターナショナル在学中から、互いの能力や人柄に魅力を感じていたことから、2013年に前身となる「コぺルニ・フェム（COPERNI FEMME）」をスタート。2014年には、ANDAMファッションアワードで新進気鋭のデザイナーに贈られるファーストコレクション賞を受賞。2015年には、LVMHプライズのファイナリストに選出される。2015年に「クレージュ（Courreges）」のアーティスティックディレクターに抜擢され、2016年春夏コレクションでデビュー。クレージュの仕事に専念するために、自身のブランドは一時休止する。2018年に、インディペンデントなデザイナーズブランドのセールスやプロモーションなどを多角的に行うトゥモロー（Tomorrow Ltd）のサポートを受けて、「コペルニ」として再始動。より手に取りやすい価格帯で、"デジタルネイティブ"世代に向けた実験的なコレクションを提案している。

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- FEATURE -

「コペルニ」と「デジタル」の関係性

　ミニマルなラインとコンパクトなシルエット――「コペルニ」のコレクションの強みは、単体で美しい"プロダクト的"なアプローチにある。しかし、これらを組み合わせたショーのルックは、レトロでフューチャリスティックな雰囲気だ。ボディスーツやAラインのワンピースなどもたびたび登場するクリエイションからは、クレージュで培った技術力や制作プロセスを感じることができる。

　また、2020年春夏コレクションは「接続性（connectivity）」をテーマに、パリ・シャンゼリゼ通りのApple Storeで新作を発表。2020年秋冬は、決められた「ファッション コード」の崩し方を知っている“デジタルネイティブ”な女性像を提案するなど、デジタルとの関わりを意識したコレクションを発表している。

- CHARACTERISTIC ITEM -

アイコンは、iPhone画面をモチーフにしたバッグ

アイコンの“スワイプ バッグ”

Image by COPERNI

　コペルニのアイコンアイテムは、iPhoneのオン・オフを切り替えるスワイプボタンからインスパイアされた"スワイプ バッグ"だ。無駄のないフューチャリスティックなフォルムが、コーディネートに洗練されたムードを添えてくれる。約5万～10万円前後という手に取りやすい価格帯も支持される理由のひとつ。2020年春夏コレクションでは、Wi-Fiマークをモチーフにしたバッグも話題となった。

- BRAND NAME -

「コペルニ」の由来は、「地動説」の提唱者

　コペルニのブランド名は、太陽のまわりを地球などの惑星が回るという「地動説」を唱えた天文学者ニコラウス・コペルニクスに由来する。彼は、天動説（地球中心説）が定説とされていた中世ヨーロッパで、現実の太陽系を言い当てた人物。その天文学的で数学的な思考は、ブランドのヴィジョンに大きな影響を与えているという。

- MAIN SHOP -

主な取扱店は、青山の「セイズ・ウットゥ コンプレックス」

　コペルニを豊富なラインナップで取りそろえるのは、東京·青山のセレクトショップ「セイズ・ウットゥ コンプレックス（16AOUT complex）」。日本初上陸となった2020年春夏コレクションも、同店がエクスクルーシブで発売した。

- NEW COLLECTION -

最新コレクション2021年秋冬の特徴

COPERNI 2021年秋冬コレクション

Image by COPERNI

　コペルニの2021年秋冬は、オフショルダーのAラインワンピースや、肩のシルエットが特徴的なジャケットなど、ミニマルで近未来的なムードのコレクションを発表。シルクからポリエステル、レザー風、ラメが混ざったような光沢素材まで、質感の違いで魅せるアイテムとモデルをライトで照らすような演出で際立たせた。ブランドアイコンの"スワイプ バッグ"は、ネオンのバイカラーやマチのないフラットタイプなど、アイキャッチーなデザインやサイズ感で登場した。ショー会場となったのはドライブイン。36台の電気自動車のヘッドライトが、ランウェイを作り出すというユニークな手法が用いられている。

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