「ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)」でパタンナーを務めた藤田哲平が2014年に立ち上げたブランド。確固たるテーラリング技術を基盤に、実寸のパターンを手で引きながらデザインを構築し、着る人の動きや個性を引き立てるコレクションを展開している。
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sulvamのコレクション
目次
- BRAND CONCEPT -
人の一部となり、着る人の魅力を引き立てる服

2026年秋冬コレクションより

2026年秋冬コレクションより
「人に寄り添う服」をコンセプトに掲げる「サルバム(sulvam)」。服を自己表現の手段であると同時に、生活に寄り添い、着る人とともに成長していくものと捉えている。そこには、新しいシーズンを迎えるたびに過去の服を手放すのではなく、クローゼットに一着ずつ加え、時間を重ねながら育ててほしいという考えが根底にある。目指すのは、服そのものが注目されることではなく、袖を通した人が魅力的に映ることだ。着る人に寄り添いながらも、ブランドネームを外せば違いが分からなくなるような無難な服ではなく、デザイナーズブランドだからこそ提示できる「服の強さ」を追求している。
- BRAND NAME -
プロフェッショナルが奏でる「即興演奏」
ブランド名は、ラテン語で「即興演奏」を意味する言葉に由来する。一着の服が完成するまでには、デザイナーだけでなく、生地や縫製工場、付属メーカーなど多くのプロフェッショナルが関わる。「サルバム」にとっての服作りは、それぞれが技術を持ち寄り、一つの調べを作り上げるセッションのようなものだ。ただし、ここでいう即興は準備のない偶然ではない。各分野のプロが準備を重ねたうえで、最後のサンプル制作で素材とパターン、技術をぶつけ合う。その工程が「サルバム」の一着を形作っている。
- CHARACTERISTIC ITEM -
異なる骨格や体の厚みに対応するジャケット

2026年秋冬コレクションより
ブランドを代表するアイテムとして藤田が挙げるのは、ジャケットだ。国内外を問わずMサイズのサンプルを基準とし、異なる骨格や体型に対応できるよう設計している。特徴となるのが「体の厚み」を考えたパターン。体に厚みのある人が着れば素直に収まり、厚みの少ない人が着れば余った分量が下へと落ち、美しいドレープを生み出す。藤田にとってジャケットは、ブルゾンと同様に“ただの羽織もの”であり、クラシックなテーラリングを土台にしながら窮屈さを取り除き、日常的に着られる新たなジャケットとしての価値を提示している。
- DETAIL -
動いた瞬間に美しさを生むカッティング
ブランドを象徴するのは、カッティングによって生まれる分量感だ。それは単にルーズな服やオーバーサイズを指すものではなく、着る人が動いたときに最も美しく、かっこよく見えるよう計算された布の余白やシルエットを意味する。「ハンガーに掛かっているだけで綺麗ということには一番興味がない。着て美しいのが魅力的な服である」と藤田は語る。
アシンメトリーやカットオフも、装飾的なシグネチャーとして用いているわけではない。人間は完全なシンメトリーではないからこそ、服も少しずれている方がその人の魅力を引き立てる。カットオフは、ほつれを見せるためではなく、断ち切ることで生まれる布の軽やかな動きを求めた結果だ。いずれも理想の動きと佇まいを実現するための「カッティング」という考え方につながっている。
品と艶を軸に、素材と分量感を楽しむ2026年秋冬コレクション

2026年秋冬コレクションより
2026年秋冬コレクションでは、ブランド設立時からオリジナルで作り続けている黒のウールギャバジンを用いたシリーズを展開。多数のタックを配し、歩くたびに布が大きく揺れるワンショルダーパンツと、同素材をシボ感のあるナイロンと組み合わせたライディングジップジャケットを揃えた。異素材を掛け合わせながらもカジュアルに傾きすぎず、品と艶を残した仕上がりとなっている。

2026年秋冬コレクションより

2026年秋冬コレクションより
求めるドレープ感を出すために生地から制作したレーヨンのバックオープンシャツや、クラッシュベロアのジャージ素材で仕立てたセットアップもラインナップ。バイクで旅をする人物を思い描いたフリンジニットは、一枚をさらりと羽織るだけでスタイルが成立する「服の強さ」を備えている。いずれもハンガーに掛けた状態ではなく、袖を通して動くことで完成するというブランドの思想を体現したアイテムと言えるだろう。
- WHO TO WEAR -
芯のある人にも、着ることで自信を持ちたい人にも
着てほしい人物像について、藤田は「芯のある人。もしくは自分に自信がなくても、着ていたら自信を持てる人」と答える。服はあくまで脇役であり、主役は着用者だ。デザインの強さを押し付けるのではなく、袖を通した人の背中を押し、その人がもともと持つ魅力を引き出す。「サルバム」の服は、日常に寄り添いながら、新しい価値観と自信をもたらすために存在している。
- HISTORY -
毎シーズンが印象的な、現在進行形の歩み

初めてピッティウオモに参加した2017年秋冬コレクションより

初めてパリファッションウィークに参加した2019年春夏コレクションより
何もないゼロの状態から始まったという「サルバム」は、ピッティやミラノから招待を受けてランウェイを開催し、現在ではパリにもアトリエを構えるまでになった。それでも藤田にとってブランドの歴史は、過去を振り返るためのものではない。「毎シーズン新しい経験ができているので、過去のことというよりも常に現在進行形で動いている」と話す。
設立から10年以上を経た今、強く意識するのは時代と価値観の変化だという。人々がなぜその価値観を持つのかを問い、その都度見つけた自身の答えを服で伝え続ける。服を作る理由を自分の言葉で明確にし、着る人に対して「失礼のないもの」を届けることが、ブランド設立当初から変わらない「サルバム」の姿勢である。
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