【インタビュー】ダークファンタジーで女心掴む 人気画家ヒグチユウコとは?

 ストーリーを盛り込んだダークファンタジーに潜む、リアルなネコ。精緻なタッチで描きあげた原画を求め、20~40代の幅広い層の女性が個展に列を作る。女性たちの心を掴む作者の正体は、画家ヒグチユウコ。近年は出産を経て、「MELANTRICK HEMLIGHET(メラントリック ヘムライト)」や「あちゃちゅむ」「MAJOLICA MAJORCA(マジョリカ マジョルカ)」などブランドとのコラボレーションも精力的に行っている。ヒグチユウコとはどんな人物なのか?ネコがくつろぐアトリエで話を聞いた。

- ファッション業界ではネコが人気。ヒグチさんの作品にも多数のネコが登場しますね。

過去に、自分の中で作品がどんどん身近なテーマになっていった時期があったんです。アートの世界には色々なアプローチ方法があるかと思いますが、例えば普段使っている、ある商品の画を一生懸命になって思い出してもらうのではなく、もっと印象的な画として残せないかなと自分がどうしていきたいかというところを突き詰めていきました。そうするうちに、外に出歩いて題材を見つけるというよりも、身近なものを取り入れる方が自分には向いていて、あまり背伸びしないで良いんだなと思うようになっていったんですね。その結果、重過ぎないテーマで広く興味を持ってもらいたいと考えて、もともと好きだったネコが頻繁に登場するようになりました。大衆的ではないですけれど、難しいことを描いているわけでは全く無いので幅広く親しんでもらいたいです。

- どんなネコがモデルになっているんですか?

自宅で飼っている愛猫ボリスがモデルになることが多いです。噛むんですよ、毛を触ったら。もの凄い勢いでパンチも食らいます(笑)。母ネコが車に轢かれてしまったところを保護されて、そのときはまだ母ネコのお腹の中に居たという生まれる前から波瀾万丈なネコなんです。

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愛猫のボリス

- 初めて発表された「ヒグチユウコ作品集」の帯(おび)に、ダークファンタジーという言葉が記してありました。

私はあまり意識していないのですが、担当の編集者さんが入れた言葉です。私自身もともとの好みでいうと陰鬱なものは好きですし、ダークファンタジーと受け取る人が多いのかなというのは日頃から感じていますね。実は昔は、女性を被写体にもっとアート性の強い肉の固まりみたいな作品を描いていたんです。被写体を頼んだモデルさんによっては、「嫌だな、この人の前で裸になるの」と思われたりしていたみたい。当時は画だけを見たら男性の作家だと間違われることも多くて、アプローチの仕方が今とは全然違います。

- ファン層は?

感性が鋭い人が多いからかファン層としては圧倒的に女性が多くて、男性で「ヒグチさんの作品良いですね」と言ってくれる人は、大抵何かを作っているクリエイターさんやデザイナーさんですね。

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