単なるストリートブランドではない、初上陸「NOAH」に注目すべき3つの理由

 ストリートカルチャーの中心地である裏原宿エリアの一角に、まるで海辺の別荘のような爽やかな趣のホワイトとネイビーの一軒家。元シュプリームのデザインディレクターが手掛けるブランドとして2015年にデビューした「ノア(NOAH)」が、ニューヨークとロンドンに続く世界3店舗目の出店地に選んだのは東京だった。派手なコラボレーションや一時のトレンドとは異なる軸で、他のストリートブランドと一線を画すブランディングを貫いているのは、創業者でクリエーティブディレクターのブレンドン・バベンジン(Brendon Babenzien)。その独自の考えと言葉から、今「ノア」に注目すべき3つの理由が浮かび上がってきた。


noah-harajuku-20170901_033.jpg 新店舗の名称は「ノア クラブハウス(NOAH CLUBHOUSE)」。吹き抜けの広々とした2階建ての店舗にはソファや雑誌が読める長机、バルコニー、軽い飲食ができるキッチンカウンターが設置され、木目調に統一された床や什器が温かみのある空間を演出する。バベンジンいわく「当初はここまでの規模になるとは想定していなかった」という売り場面積はブランド最大の218平方メートルで、ニューヨークの旗艦店の約3〜4倍の広さにあたる。ここでTシャツやフーディ、キャップなどブランドのロゴがあしらわれた定番アイテムやシーズンアイテムを展開する。

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その①:トレンドに左右されないスタイル

 バベンジンは自身のブランドを「僕が慣れ親しんできたクールだと思っているコトやモノの集合体。スケートやサーフィンのアクティビティーや、ニューウェーブやパンクロックの音楽に親しんできて、『NOAH』というブランドの大きな屋根の中に僕の興味が全て詰まっている」と説明する。ブランドの軸に掲げるのはトレンドや決まったスタイル、年齢などに流されることがない「Independent Value(=独立した価値観)」だ。

 日本での展開を手掛けるのはベイクルーズ。「ノアはストリートやアメトラ、アメカジ、クラッシックやプレッピーなどといった一つのスタイルに当てはまらない。かつ、全ての要素を持ちながらも自分たちのスタイルを確立している。数あるブランドの中でも一番可能性を感じ、日本市場で受け入れられると思った」(ベイクルーズ担当者)といった理由から、約1年半前に日本進出を持ちかけたという。

 バベンジン自身も日本には20年くらい前から来ていて、ブランド立ち上げ当初から関心が高い。「日本のお客さんは完成品だけではなく、どんなインスピレーションを元にどんな背景で生まれたのかというところにも興味を示してくれるし、理解したいと思う人が多い」。それらはまさしくブランドが大事にしていることで、進出を決意した理由でもある。

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その②:元シュプリームという経歴

 「元シュプリームのデザインディレクター」というバベンジンの経歴も、ブランドが注目を集める一つの理由だ。初めての仕事はサーフショップの店員で、当時13歳。「ロングアイランドの郊外育ちだったから、カッコいいものへの憧れが強かった」。15歳ですでにバイイングを任せられ、自分で考えて新しいものを客に紹介する役割に楽しみを感じたことが、現在の仕事に足を踏み入れたきっかけになったという。

 

その後、ストリートブランドで経験を積み、20代の頃シュプリームに加入して15年間ほど在籍した。「シュプリームは常に社会現象を起こすブランドで、今なお素晴らしいものを生み出している。ただ、僕の人生においてもう少し小さい規模で原点に戻るということが必要だった。だからブランドを離れることを決めたんだ」と当時を振り返る。「シュプリームで学んだことは計り知れない。外の目や声を気にせず集中してものづくりに取り組む姿勢、それはノアでも貫いているよ」。

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その③:環境問題へ取り組む「美学」

 「OUR PACKAGING SUCKS(私たちの梱包は最悪)」と公式インスタグラムに自ら投稿するなど、消費者へのアプローチも独特だ。ゴミの30%が梱包材という問題に対しポリエステルからリサイクル材への代替について意見を求めたり、ツートーンパーカの製造にかかるコストと生産地をチャートにして公開するなど、環境問題に向き合ったユニークなコミュニケーションを展開している。

 
 「製造コストに気を留めないという消費者も多い。でも安い服を買うということは世界のどこかで安い賃金でその服を作るために誰かが苦しんでいるということ。自分の買う服が実際にいくらかかったのか明確にすることで、そういった意識に目を向けてほしい」。また消費者だけではなく、一般のブランドや企業にも意見を持つ。「サステイナブルを目指す中でどこか矛盾を抱えてしまうのは『欲』があるから。利益を追求しなければ、サステイナブルになることはさほど難しいことではないよ」。

noah-harajuku-20170901_007.jpg その姿勢は日本初上陸のために特別に制作した「マグロ」がプリントされたTシャツ(6,000円)とフーディー(1万7,000円)のアイテムからも垣間見ることができる。「マグロ」をモチーフに選んだ理由を、日本人に親しみのある魚の本来の美しさを表現するとともに、マグロの資源をはじめ、魚が直面している環境問題にもフォーカスするためと説明する。

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 気になるのはブランドの今後の展開だ。「特にビッグな計画はないよ。僕らはとてもゆっくり前に進んでいるからね。とにかくいろんな人が集まる場所になればいいなと願っている。若い人や年配の人、男の子だけでなく女の子も。スケーターでもそうじゃない人も。環境問題に関心がある人も、ただ単に僕らのスタイルが好きな人も。この空間でみんながリラックスしてハングアウトしてくれればいいね」。

 バベンジンが「ノア」を流行りのファッションブランドやストリートブランドではなく「パーソナルスタイルブランド」と位置付ける理由が、この原宿店にも色濃く反映されているようだ。

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■ NOAH CLUBHOUSE
住所:東京都渋谷区神宮前4-26-29
営業時間:11:30~20:00
※ 現在、国内では直営店のみの販売。EC展開は予定しているが、時期については未定。