Mariko Nishitani

2015東コレ日誌「女子の強気」なお一層。

西谷真理子

ファッションエディター

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10/15(wed)
今週は、天気が毎日劇的に変わる。本日は朝から結構な雨だったが、12時半の「LAMARCK(ラマルク)」を皮切りに、ファッションに浸りに行く。今日書きたいのは、女性デザイナーの活躍について。 2012年から2013年にかけて世田谷もの作り学校から発行される「IID PAPER」に連載させていただいたことがあった。ファッションについてのコラム、という依頼だったが、私は、ファッション周辺の女性クリエイターにスポットを当てる企画を提案した。タイトルは、「女子の強気」。このタイトルを思いついたのは、2000年代に入ってとみに、新しいタイプの女性の出現を感じていたから。私が若い頃には、「女は男の10倍がんばらなければ、同等とみなされない」というテーゼを実践している肩ひじ張った女性が多かったけど、今日本でいい仕事をしている女性たちは、もっと自然体で、女に生まれたことをむしろ楽しみつつ、社会の枠に合わせがちな男性に比べて、おだやかな頑固さで、自分のペースを貫いているように見えた。コラムに登場してくれた女子たちに留まらない強気女子、まだまだ増殖中の模様だ。

2015SS東コレ日誌①「ワンピースで始まった」:https://www.fashionsnap.com/the-posts/2014-10-14/15ss-nishitani-01/
2015SS東コレ日誌②「メンズの展示会をのぞく」:https://www.fashionsnap.com/the-posts/2014-10-15/15ss-nishitani-02/


■REKISAMI

その一人、コラムで取り上げた幾左田千佳さんがデザインする「REKISAMI(レキサミ)」の展示会が初めてJFW期間に合わせて開かれていた。バレリーナを目指しながら挫折し、ファッションの道に入って、バレエというバックボーンを生かしながら服作りをしている幾左田さんは、伊勢丹などでも人気の「REKISAMI」に加えて、今シーズンから新しく「Chika Kisada」という、よりグレードアップしたブランドも始めていた。「REKISAMI」では、チュールや刺繍などバレエの衣装を思わせるディテールを取り入れた繊細な日常着を発表していたのだが、今度の「Chika Kisada」では、レザーを取り入れたハードなアイテムが目立つ。「インドの工場との交流が実を結んで、高度な技術が可能になったこともあり、今まではあきらめていた、より上質で高価格なラインを作ることができるようになりました。内容はちょっと反骨精神を感じるハードなイメージです」。本当に作りたかったのが、こちらだと聞いて驚く。そうか、さすが強気女子だ。

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幾左田千佳 ©西谷真理子

■haori de TiTi

14時からは「haori de TiTi(ハオリ・ドゥ・ティティ)」のショーへ。デザイナーの八巻多鶴子さんは、旧知の人だが、ジュエリーデザイナーとしての仕事が軌道に乗り、服のラインも始めた。と、聞くとジュエリーの顧客向けのコンサバなコレクションを想像しがちだが、これが予想以上によかった。青山のジュエリーショップ、というよりは、図書室かギャラリーのようなコンクリート打ちっぱなしのラフな空間でのショーは、歌曲・野バラをバックに始まった。モデルはすべて日本人だが、いい顔ぶれ。コレクション自体も、特に目新しいコンセプトやテーマを打ち出していないものの、色合い、素材、シルエットなど随所に品の良さや知性が感じられる。東京コレクションでは、こういう服にどうして出会わないのだろうと、改めて自問した。クリエイティブであることが変わったことを意味してしまい、ベーシックなものや心地よさ、なによりも美しさがかすんでいやしないか。八巻さんの、驚きはなかったけれど、丁寧に作られた美しいコレクションを見て、これを堂々と作り続けてほしいと思ったものだ。

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■malamute

今日ご紹介したいもう一人の強気女性は、コレクション2回目の新人デザイナー小高真理さん。ブランド名は「malamute(マラミュート)」。ニットで構成されたラインナップは、品数は少ないが、厳選されたものしか置かない頑固な果物店を思わせる。この人のおもしろさは、自分の家族をインスピレーション源に、とても印象的なニット作品を作り出すところだ。今回は、工学者の父親と子ども時代に製作したトランジスタラジオがテーマ。ラジオがキャッチする見えない電波をモチーフに、青海波を思わせる独特のニットが生まれた。4色で展開する電波柄と、抵抗器から借用したストライプと、メインはこの二つだが、それを写真家の森栄喜さんが、とても抒情的な写真集に収めた。ゆっくりスタートしたブランドは、焦ることなく、マイペースで熟していくことだろう。nisitani20141016-20141016_001.jpg

小高真理 ©西谷真理子


■spoken words project

以上3つの女性デザイナーによる展示会とショーを見たあと、「ATSUSHI NAKASHIMA(アツシ ナカシマ)」と、10時からは、閉店後の渋谷パルコ内の「ぱりゅこ」という山口壮大がディレクションするショップで、架空のガールズバンドのライブを観賞。衣装担当は、「spoken words project(スポークン ワーズ プロジェクト)」の飛田正浩さん。ここでもガールたちの強気に遭遇した。

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©西谷真理子

西谷真理子

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