アダストリアが、2020年秋冬シーズンにグループ初の60代向け女性ブランド「ウタオ(Utao:)」を立ち上げた。ウタオでは「新60代のナチュラルコンサバな大人服」をコンセプトに掲げ、着回しやすい日常着を提案。9月23日の今日開催した展示会ではデビューコレクションの全46型を披露した。
同社は、60代女性に向けたブランドが他の世代と比べて少ないことに着目。日本人女性の半数が50代以上を占めていることを背景に、新規顧客獲得を目指しウタオを立ち上げたという。現代の60代女性は女性誌「アンアン(anan)」や「ノンノ(non-no)」が創刊した1970年代を過ごしたことから、従来の「シニア」の枠には当てはまらない若々しい感覚を持つ「新60代」と定義。新ブランドでは「華やかな柄」「鮮やかな色」「際立たせのベーシック」の3つのポイントを軸に、加齢による体型の悩みを解決し、若々しく見える服装を提案する。デビューシーズンはグレーやベージュといった落ち着いた色味だけではなく、レッドやブルー、イエローといったヴィヴィットカラーを使用したアイテムを多く展開。大胆な柄と色合いが特徴の幾何プリントパンツや、オリジナルのノイズ柄スカーフといった柄物もラインナップしている。
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同社に60代の従業員がほとんど在籍しないことから、商品開発では宝島社が発刊する60代女性向けファッション誌「素敵なあの人」の編集部にヒアリングを行ったほか、読者を招いた座談会を社内で実施。座談会では「既存のシニアやミセス向けの商品は自分たちが求めるアイテムとマッチしない」といった声が多く挙がったといい、デビューコレクションの商品はリアルな意見を踏まえて丈の長さの調整やカラーバリエーションの拡充などを行った。価格はアウターが9800円〜、シャツ・ブラウスが5600円〜、カットソーが3500円〜、ニットプルオーバーが5900円〜、ワンピースが7900円、パンツが5900円〜、スカートが5900円〜。中心価格帯は6900円で、客単価は6000円台を想定している。
デビューシーズンは素敵なあの人とのコラボアイテムも展開。編集部が読者から普段聞く体形の悩みをもとに、ゆったりとした着心地でも太って見えず、バランス良く着こなせるシャツ(8900円)とシャツワンピース(9800円/いずれも税別)を製作した。ブランドマネージャーの松本千嘉氏は「動きやすさに加え、透けにくい素材や目が細かい生地を採用することで品の良さを追求した。上半身の丸みをカバーしながらもすっきりと見えるようにするなど、こだわりのポイントが多い。素敵なあの人からの協力を得てブランドの認知度を拡大していきたい」と話した。
コラボシャツワンピース(税別9800円)
Image by: FASHIONSNAP.COM
コラボ商品を含むデビューコレクションは9月10日から「スタディオクリップ(studio CLIP)」の一部店舗で、16日から同社の公式オンラインストア「ドットエスティ(.st)」で販売を開始。ドットエスティでの購入者は50〜60代がメインで、セット買いが多く、平均客単価は9000円台と想定を上回っているという。初年度の目標売上高は3億円。今後は単独店の出店を目指す。
アダストリアではこれまで「ローリーズファーム(LOWRYS FARM)」や「ヘザー(Heather)」「ニコアンド(niko and ...)」など若者を中心に訴求するブランドを数多く展開してきたが、近年は国内の少子高齢の進行に伴う将来の市場変化を見据え、ブランドポートフォリオの拡充を進めている。2025年までの成長戦略のひとつに「マルチブランドで顧客の人生に長く寄り添う」ことを掲げ、今年3月には"大人マーケット"を提案する営業第3本部を設立。同部署では、40代がメインターゲットのスタディオクリップや「レプシィム(LEPSIM)」、昨年デビューした40代半ばから50代を指す“アラフィー“女性向けのブランド「エルーラ(Elura)」を擁しており、今シーズンからはウタオが加わる。営業第3本部長の新井隆広氏は「今の販売スタッフが年を重ねた時に自分の年齢にあったブランドに異動できる環境づくりを進め、従業員が長く働くことができる会社にしていきたい」としている。
■ドットエスティ:公式サイト
展示会の様子
Image by: FASHIONSNAP
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