「モンクレール（MONCLER）」が、「ストーンアイランド（Stone Island）」を展開するSPORTSWEAR COMPANY S.p.A.社を買収すると発表した。現金と株式による買収となり、評価額は11億5000万ユーロ（約1450億円、1ユーロ＝126円）。モンクレールはストーンアイランドを傘下に収めることでアメリカ・アジア市場およびD2Cチャネルの強化を図り、売上拡大を狙う。

　買収は2段階に分けて実施し、まずはクリエイティブディレクターでオーナーのカルロ・リヴェッティ（Carlo Rivetti）から50％強の株式、リヴェッティの家族から19.9％の株式を購入。その後、株式の3割を保有しているシンガポールのテマセク（Temasek.）から株式を買い取り全株式を保有する考えで、2021年上半期中に買収完了を目指す。リヴェッティ氏はモンクレールの取締役会に参加する予定だという。モンクレールの会長兼CEOのレモ・ルフィニ（Remo Ruffini）は「イタリアや世界にとって、全てが不確実で予測できない困難な時代に私たちは1つになります」とコメントしている。

　モンクレールの2019年の売上高は前年比14.6％増の16億2770万ユーロ（約1953億円）と好調に推移していたが、2020年上半期の決算では、新型コロナウイルスの感染拡大の影響から売上高は前年同期比29％減の4億333万ユーロに沈んだ。市場別のシェアはイタリアを含むヨーロッパ圏が42.7％で、アメリカは12.3％、アジアなどその他の諸国は45.0％となっている。ストーンアイランドの昨年11月から今年10月までの1年間の売上高は、前年比1%増の2億4000万ユーロ（約300億円）だった。

　なお、モンクレールでは2019年にケリングによる買収案が浮上していたが、モンクレールのルッフィーニ氏は「現在具体的な検討中の事案はないことを明確にしておきたい」と噂を否定している。

こちらもチェック

米ノースフェイス親会社が「シュプリーム」を買収

BUSINESS