資生堂の公式サイトより
資生堂が2021年12月期第2四半期の連結決算を発表した。時短営業やインバウンド需要減少の影響で国内事業の低迷が続いたものの、中国や欧米でECが好調に推移し、「SHISEIDO」や「クレ・ド・ポー ボーテ(Clé de Peau Beauté)」が売上を牽引したことで、売上高は前年同期比21.5%増の5076億8700万円となった。営業利益は230億1200万円の黒字(前年同期は34億3600万円の赤字)、経常利益は280億5200万円の黒字(同63億5300万円の赤字)を計上。既存ビジネスベースでの純利益は246億円だったが、「ドルチェ&ガッバーナ ビューティー(Dolce&Gabbana Beauty)」のライセンス契約解消に伴う特別損失や構造改革のコストにより、全体では純損失が172億7800万円(同213億7600万円)だった。
国内事業はコロナ禍でのニーズに対応するべくスキンビューティ領域に積極投資し、スキンケアおよびベースメイクのシェアが拡大。ライブコマースやウェブカウンセリングの強化面では、取引先との協働デジタルサービス「Omise+」をスタートし店頭とオンラインの融合に取り組み、顧客との接点創出を図ったことでECの売上が前年を上回った。一方で時短営業や外出自粛にともなう消費マインドの低下、来客数減少の影響をカバーできず、売上高は前年同期比1.1%減で依然として低迷している。
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そのほか中国、欧米は前年比40%以上の成長を見せた。中国はダブルイレブンに次ぐECセールイベント「618商戦」で主要ブランドのランキングが上昇するなど好調で売上高は2019年比でも成長したものの、営業利益は一部、原価悪化などが影響したため大幅に減少。米国はワクチン接種の普及でメーキャップカテゴリーが徐々に回復。SHISEIDOやバーチャル店舗をオープンした「ナーズ(NARS)」、フレグランスが好調に推移した。また、固定費削減を含むコストコントロールで営業損失が前年から縮小した。欧州はクレ・ド・ポー ボーテや「ドランク エレファント(DRUNK ELEPHANT)」の展開拡大に加えて、オンラインカウンセリングやデジタルプロモーションの強化により回復基調にある。
空港や市中免税店などを含むトラベルリテール事業は、グローバルでの旅行者減少の影響を受けたが、中国海南島で国内旅行者が増加したことなどからアジア地域では前年比12%増に成長した。
2021年通期は売上高が前年同期比15.9%増の1兆670億円、営業利益が同80.4%増の270億円、経常利益が同180.1%増の270億円、純利益が355億円となる見通しだ。
なお、資生堂は中国投資会社の博裕資本と資生堂(中国)投資有限公司(以下、資生堂中国)を通じて投資ファンド「資悦ファンド(英語名:Shiseido Beauty Innovations Fund)」の設立について基本合意したことを発表。中国現地で化粧品や健康に関する新興ブランド、ECサービス、新たな顧客体験を提供する企業およびブランドへの投資を目的としている。同社は2019年に既存事業のイノベーションと新規事業開発の推進拠点として「中国事業創新投資室(China Business Innovation&Investment Office)」(以下、CBI)を上海で設立。資生堂中国は今後、CBIを中心に博裕資本社とともに投資ターゲットの評価と選定を進めていくという。
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