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大阪文化服装学院が今アツい、注目デザイナーを多く輩出する「スーパーデザイナー学科」の秘密

 近年、大阪文化服装学院が輩出する若手デザイナーに注目が集まっている。第89回装苑賞ファイナリストにも選ばれ、「Rakuten Fashion Week TOKYO 2022 A/W」でブランド初のランウェイショーを行った「タナカダイスケ(tanakadaisuke)」をはじめ、2022年2月に行われたニューヨークファッションウィークでコレクションを発表した「ドゥッカ  ヴィヴィット(DOKKA vivid)」や「ユウナ イチカワ(YUUNA ICHIKAWA)」など、その勢いは年々強まっている。その背景には2008年に新たに設立されたスーパーデザイナー学科の存在があると大阪文化服装学院経営企画本部本部長の加藤圭太氏は話す。

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 スーパーデザイナー学科が立ち上がる前は、3年制のファッション・クリエイター学科と2年制のファッション・ビジネス学科の2つの学科のみを運営していた大阪文化服装学院。アパレル企業で活躍する人材を多く世に送り出し、企業からも卒業生の確かな技術が評価されてきたが、一方で世界に通用する飛び抜けた才能を持ったデザイナーを輩出できていないことにある種のコンプレックスを持っていたという。同校の改革が本格的に始まったのは、学外での長期運営ショップ出店を軸に起業家を養成する「ファッション・プロフェッショナル学科」が新設された2000年に遡る。総合商社出身の森慈郎氏(現・会長)が1999年に入職。全学科を統括する教務部長の杦山晶氏は「長く商社でビジネスをやってきた森が加入したことで、企業らしい組織づくりや運営体制を教育に落とし込む考えが生まれた」と振り返る。若年ながらもアパレル業界に従事してきた実力者を教員として招き入れ、新しいことに目を向け始めたのもこの時期からだという。

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 2008年に新設されたスーパーデザイナー学科は国内の服飾専門学校でも珍しい4年制を採用。「世界で活躍できるプロフェッショナルの育成」をスローガンに、海外のファッションスクールを参考に作られたカリキュラムが特徴だ。2年次から自身のブランド構想を練り、3年次に「マイ・ブランド」をデビュー。コレクションの発表を重ねながら約2年間掛けてブランドをブラッシュアップしていく。東京や大阪で展示イベントにも参加。実際にセレクトショップや百貨店などのバイヤーからのオーダーを受け付けると共に、業界やマスコミに向けてコレクションアイテムを発表する。その他にも3年次から、服飾デザイン用の型紙データを簡単に作成することができる「キャド(CAD)」ソフトを履修する授業も用意。ブランドを運営する上で必要不可欠な効率化のバックアップにも注力している。同校独自のカリキュラムを考案した杦山氏は「スーパーデザイナー学科では、通常の専門学校で3年間かけて学ぶことを2年半で済ませる。基礎学習を短期間で学ぶため授業の速度も早いが、その分自分自身のことや、自身のブランドを研究する時間を多く持つことができる」と話す。

 スーパーデザイナー学科に所属する在校生は、1年次で2体、2年次で3体、3年次で5体、4年次で7体を製作することが義務付けられており、規定数をクリアできない場合は進級することができない。その厳しさは、入学当時約40人いたクラスメイトが卒業時には10人まで減ってしまうほどだという。経営企画本部長の加藤氏は「やる気や能力があっても規定体数を完成できなければ留年するリスクがあるカリキュラムは、日本の市場を考えるとあまりにも厳し過ぎるルール。入学希望者が集まらず、学校経営的にも厳しいものがあるのではないかと思った」と回想。しかし「あえてハードルを高くしなければ海外で活躍したいと思っている学生の実力を上げることはできない」と明確な進級条件の提示に乗り切った。スーパーデザイナー学科の立ち上げから14年。当初から現在まで、入学希望者の保護者や高校の進学担当者には包み隠さずに厳しい進級条件を伝えているが、定員割れを起こした年度は新設当初の数年のみだったという。杦山氏は「スーパーデザイナー学科への入学を検討してくれる高校生の多くが本校の卒業コレクションを観て『この学校は他の学校とは少し違うな』という匂いを感じてくれている。そういう子たちはエッジが効いている子が多く、かえって高い熱量で進学を希望してくれているのでは」と話した。

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 一方で、国内のアパレル企業で活躍するデザイナーに必要な基礎から応用までをじっくり学ぶことができる3年制のファッション・クリエイター学科にも、クリエイティブデザイナーコースを2016年に新設。トレンドカラーやマーケティングを分析し、幅広い客層が求めるデザインをリアルクローズに落とし込む技術を磨く「アパレルデザイナーコース」とは異なり、国内メジャーコンテストの入賞を目指し、「マイ・コレクション」を発表することが特徴としてあげられる。杦山氏は、スーパーデザイナー学科とファッション・クリエイター学科の差別化について「スーパーデザイナー学科は特進クラスみたいなもの。服飾専門学校に入学する人はトップデザイナーを目指している人ばかりではなく、なんとなくファッションが好きで進学する人も数多くいる」とした上で「コースや学科を細かく分割することで、個人差のあるファッションを学ぶモチベーションにフィットする学び方を見極めてもらえる。学生と学科でのミスマッチが起こりづらく、教員も教えやすい」と分析。実際に、スーパーデザイナー学科から進級する際に、他の学科に転科することもできるという。

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 スーパーデザイナー学科やクリエイティブデザイナーコースの他にも、ファッション・ビジネス学科プレス&インフルエンサーコース、スタイリスト学科などのユニークな学科が揃う。2021年に新設されたファッション・クリエイター学科3Dモデリストコースでは、サンプル工程、コストや資源の削減が望めることからファッション業界でも近年注目されている「3Dモデリスト」の育成にも注力。ファッションテック専門スクール「東京ファッションテクノロジーラボ」と教育提携をし、実物と遜色ないレベルの3DCGを制作できるクリエイターの育成を目指している。

 同校の強みは、現場を早いうちから経験させるカリキュラムと学生の人材的価値を上げるために投資を惜しまないことだろう。杦山氏は「1人でも生きていける"強い個"を育てなければならない時代」とし、それを受けて加藤氏は「そのために学校は投資を惜しんではならない。将来的にファッション業界に従事する人材的価値を上げるために本気なのが当校の強み」とした。新しいことに目を向ける学校として成長を続ける同校の今後の卒業生にも期待が高まる。

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森上ひかり HIKARI MORIGAMI

大阪文化服装学院スーパーデザイナー学科卒の注目若手ブランド
次世代デザイナー連載「私のマインドマップ」: No.3 森上ひかり(HIKARI MORIGAMIデザイナー)

■大阪文化服装学院
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