これからのファッションシーンを担うデザイナーが、自身のルーツを5つのキーワードから紐解いていく新連載「私のマインドマップ」。
第3回は、現在イタリアのファッション専門学校 ポリモーダ(POLIMODA)でデザインを学ぶ森上ひかり。大阪文化服装学院在学中、ロシアで開催された「Pygmalion contest」と、ロンドンで開催された国際コンテスト「International Fashion Digital Portfolio Award」でグランプリを受賞。今後、国内外でのさらなる活躍が期待されるデザイナーだ。
No.3 森上ひかり(HIKARI MORIGAMIデザイナー)
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Image by: HIKARI MORIGAMI
「森上ひかり」のクリエイションを紐解くマインドマップ
1:レトロ
- 服作りを身近に感じていた祖母の存在
幼少期の記憶として強く残っているのが、祖母と過ごした時間です。私の祖母は、むかし洋裁学校に通っていたこともあり、趣味で自分の服を作っていました。編み物や和服のリメイクを日常的に楽しんでいて、その風景をずっと身近で見ていました。レトロな雰囲気のものに惹かれる根源は、祖母と過ごした幼少期の影響が大きいです。
- 高校時代を彩った映画鑑賞と軽音部
高校生になるまで映画をあまり観ていなかったんですが、高校の通学路にTSUTAYAがあったので毎日通うようになり、色んな映画を観漁っていました。徐々に古い映画も観るようになり、レトロな世界観に沢山の刺激を受けました。今では映画の要素を作品に取り入れることもあり、大阪文化服装学院の卒業制作はジャン=リュック・ゴダール監督のフランス映画「気狂いピエロ」をインスピレーション源に制作しました。
音楽への興味が湧いたのも高校時代です。入学時に「仲良くなりたい!」と思っていた子が軽音部に入り、その子を追いかけるように軽音部に入りました(笑)。入部してから音楽の楽しさに沢山触れて一気にハマり、レコードなども聴くようになって。ボブ・ディラン(Bob Dylan)の「風に吹かれて(Blowin' in the Wind)」が大好きで、今でも気持ちを切り替えたい時に聴いています。
2:学校
- 私服の高校で経験した初めてのファッションショー
近所のお姉さんが「ファッションデザイナーになりたい」と話していたことがきっかけで、小学5年生の時からずっとデザイナーになりたい気持ちがあり、高校はファッションについて学べる学校に行きたいと考えていました。ただ、「普通科の高校を卒業して、そこからファッションを勉強しても良いのでは」と周りから意見をもらったので、それならば普通科の高校でも個性を尊重してもらえる学校が良いと思い、私服の高校へ進学を決めました。
高校での経験として大きかったのが、文化祭で行ったファッションショーです。ファッションが好きな子を数人集めて、全校生徒の前でショーをすることを提案し、人生で初めてショーを開催しました。服の作り方やデザインの基礎などを全く知らなかったので、今見ると恥ずかしいんですが、ファッションショーの興奮を覚えた初めての体験でした。
- 夢を叶えるべく飛び込んだ大阪文化服装学院とポリモーダ
高校卒業後は東京の文化服装学院へ行きたかったんですが、1人暮らしや作品の制作費を考えると資金的に厳しく、地元の大阪文化服装学院へ通うことにしました。私が入学した「スーパーデザイナー学科」では1年と2年で基礎を学び、3年から自分のブランドを立ち上げます。デザイン、縫製、コレクション発表に向けた全工程をすべて1人で行うのでとても大変でしたが、先生やクラスメイトに支えられて、学びが多く充実した学生生活となりました。
大阪文化を卒業後、姉妹提携しているポリモーダ(POLIMODA)に交換留学できる制度があり、それを利用して今年の9月からフィレンツェに来ています。1年間という短い期間ですが、念願だった海外生活ができ、大好きなファッションを更に学べる環境があるためとても幸せです。
学生時代の部屋
3:心の支え
- 大阪文化時代の支えとなった恩師と友人
スーパーデザイナー学科は本当に忙しくて、寝れない日々が当たり前でした。入学当時40人程いたクラスメイトも、卒業時には10人まで減ってしまって。そんな怒涛の4年間を最後まで駆け抜けることが出来たのは、一緒に乗り越えてきた友人の存在がとても大きかったです。ずっとひとつの教室で作業をしていたので、みんなでみんなを支え合っていましたね。
そして、大阪文化時代の恩師・杉山先生にも本当に感謝しています。実は、卒業コレクションとして発表した作品は、当初デザインが全然違うものでした。何度考えてもどうしても納得がいかず、半泣きになりながら先生に相談。親身になってアドバイスをくれる先生のお陰で、そこからデザインに向き合う姿勢が変わっていきました。そういった意味でも、卒業コレクションはとても思い出深い作品です。
- 至福の時間を与えてくれる大好きなクラフトビール
クラフトビール好きの人と出会ったことで、クラフトビールにどっぷりハマっていて(笑)。世界各国のいろんなクラフトビールを飲んではアプリで日記を付けているんですが、気づけば550種類以上になっていました(笑)。クラフトビールはパッケージもとても可愛くて、そこも好きなポイントです。ちなみに一番好きなクラフトビールは、華やかな香りとジューシーな味わいが楽しめる「ヘイジーIPA」です!
4:国際
- 訪れることが出来なかった国・イギリス
大阪文化服装学院の推薦で、イギリスで開催される「GRADUATE FASHION WEEK 2020」に出る予定だったんですが、コロナの影響でポートフォリオのみの参加に変更となってしまいました。結果、ポートフォリオ審査で1位を取ることができたのですが、やはり現地へ行けなかった悔しさもあり、いつか必ず訪れたい国のひとつです。
- 海外への憧れが強くなったロシア訪問
初めての海外は、「Pygmalion contest」へ参加するために訪れたロシアでした。現地の学生がボランティアで手伝ってくれるのですが、海外でのコミュニケーションに不慣れだった私にとても優しく接してくれたことがとにかく嬉しくて。ショーに向けた制作にもとても協力的で、コンテストではグランプリをとることができました。今でもその時手伝ってくれた子とは連絡を取り合っていて、かけがえのない友人のひとりです。
- スタートしたイタリア生活
フィレンツェでの生活が始まってまだ3ヶ月程度ですが、誰も何も教えてくれなくて(笑)。自分で調べないと生きていけないので、心身ともにかなり逞しくなったように思います。フィレンツェの街はストリートアートや無料で入れる教会がたくさんあり、歩いているだけでもとても刺激的。早く生活に慣れて、海外生活を思いっきり楽しみたいです!
5:ファッション
- ファッションに感じるロマンと現実
昔から想像を膨らませることがとても好きで、ロマンチックなシチュエーションをイメージし、そこから服のデザインを考えたりすることもあります。ただ、服は日常的に着るものなので、現実とのバランスを考えながら丁度よい落とし所を探ることが重要だなと感じています。
- 無限に自己表現ができる唯一無二の存在
元々コミュニケーションが苦手だった私にとって、ファッションは自己表現ができる唯一の場所だと思っています。まだまだコレクションとして発表している作品は少ないですが、海外での経験を活かしながら、日本と海外で得た視点を融合させた自分らしいもの作りをしていきたいです。常に更新され続ける"ファッション"という存在は、私にとって永遠の憧れです。
HIKARI MORIGAMI
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■次世代デザイナー連載「私のマインドマップ」
>>No.1 : 向祐平(Munited Kingdomai YUHEIデザイナー)
>>No.2 : 児玉耀(flussデザイナー)
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