mag by fashionlaw.tokyo

ファッションローのあれこれについて語ろう Vol.1 キーパーソンにインタビュー

mag by fashionlaw.tokyo

ファッションローの最新情報をお届けするリーガルメディア

フォローする:

— ADの後に記事が続きます —

現在はまさに日本におけるファッションローの創成期といっても過言ではありません。そこで、ファッションローを支えるキーパーソンに、ファッションローにまつわるあれこれをインタビュー。トップバッターを飾るのは、日本におけるファッションローの研究機関である「ファッションロー・インスティテュート・ジャパン」を設立した弁理士の金井倫之さんです。設立のきっかけとなった「Fashion Law Bootcamp」への参加やファッションロー教育などについて、小松隼也弁護士、海老澤美幸弁護士と一緒にお話しいただきました。

(左から)金井倫之氏、海老澤美幸弁護士、小松隼也弁護士 撮影:Mao Nakazawa
(左から)金井倫之氏、海老澤美幸弁護士、小松隼也弁護士 撮影:Mao Nakazawa

金井倫之氏
知的財産研究教育財団
Fashion Law Institute Japan事務局長
弁理士、ニューヨーク州弁護士

政府系金融機関勤務などを経て現職。2014年、フォーダムロースクールのファッションローセミナーに参加したことを契機に日本でファッションロー・インスティテュート・ジャパンの立ち上げに取り組む。特許事務所ではアパレル企業等の国際的なブランド・デザインプロテクションに携わる。主な論文に「ファッション・ロー概論~ファッション・ビジネスと 法的保護~」(IPマネジメントレビュー15号)などがある。青山学院大学客員教授、文化服装服装学院非常勤講師、杉野服飾大学非常勤講師、日本工業所有権法学会会員、著作権法学会会員。

海老澤美幸弁護士(以下「海老澤」):
金井さんはニューヨークのFashion Law Instituteの名物イベント「Fashion Law Bootcamp」に参加されたんですよね? そもそもファッションローに興味を持たれたきっかけや、「Fashion Law Bootcamp」に参加してみようと思われたきっかけは何でしょうか?

金井倫之氏(以下「金井」)」:
以前に所属していた事務所がハイブランドやハイジュエリーブランドなどを顧客に持っており、自分もそういったファッションやジュエリーの企業と仕事をする中でファッションローに興味を持ったのがきっかけですね。じゃあもう少し勉強してみようと思い、1週間から2週間程度であれば気軽に参加できるかなと「Fashion Law Bootcamp」を選びました。

「いろいろなバックグラウンドを持つ参加者と交流できたことはとてもよい体験でした」(金井氏)
「いろいろなバックグラウンドを持つ参加者と交流できたことはとてもよい体験でした」(金井氏)

小松隼也弁護士(以下「小松」):
そのくらいの期間であれば気軽にトライできますよね。
自分自身ファッションローを学ぶためにフォーダム大学のロースクールに留学していましたし、キャリアとしてファッションローを勉強したいということであればフォーダム大学のロースクールはおすすめではありますが、願書を出してTOEFLを受けて……と手続が多いですし、授業料や家賃が高いことを考えると、なかなか現実的ではないのかなとも思います。そう考えると、「Fashion Law Bootcamp」はファッションローを気軽に体験できるよいチャンスだなと。

海老澤
「Fashion Law Bootcamp」はどういったプログラムなのでしょうか?

金井
「Fashion Law Bootcamp」は、ニューヨークに本部を置くNPO法人「Fashion Law Institute」が毎年夏に開催するユニークなプログラムです。
私は2014年に開催されたブートキャンプに参加しました。
当時の参加者は40~50人くらいで、出身もアメリカやヨーロッパ、南米などさまざま。アジア人の参加者は私だけでした。
参加者の職業構成は、デザイナー3割、法曹関係者3割、会社が3割くらいを占めていた印象です。年齢層的には、全体的にデザイナーは若い人が多く、法曹関係者は中堅どころが多かったかな。
ブートキャンプの開催期間は2週間(※1)で、毎日3~4時間ほどトレーニングを行います。ファッションビジネスの始まりから終わりまでを一通りカバーする内容となっており、6割程度が、ファッションデザインの保護や模倣品の水際対策、商標などの知的財産権という印象でした。その他にも、労務や契約、M&A、ファイナンス、モデルの人権など幅広いテーマを取り扱います。
全体的に一通りのテーマを広く概観するスタイルなので、そこまで前提知識がなくとも十分ついていけると思います。
いろいろな出身、人種、職業、年齢の人と交流できたことは楽しかったですし、ファッションローの概念の生みの親ともいえるSusan Scafidi教授と知り合えたことはとてもよかったと思っています。
ファッションローに関心のある方は、ぜひ気軽に参加してみるのがいいのではないでしょうか。

小松
その後、日本で「ファッションロー・インスティテュート・ジャパン」を立ち上げられましたね。

金井
面白いので誰かやったらいいんじゃないかなと思っていたのですが誰もやらないので(笑)、自分で一般財団法人知的財産研究教育財団の下部機関として「ファッションロー・インスティテュート・ジャパン」を立ち上げました。
実は、弁理士になる前は政府系金融機関で銀行員として働いており、その後、理系の大学院に通っていたんですよ。そこで知り合った方と立ち上げた組織が現在の一般財団法人知的財産研究教育財団の前身にあたります。「ファッションロー・インスティテュート・ジャパン」をこの財団内に位置付けたのはそのような理由からです。

「『ファッションロー・インスティテュート・ジャパン』は、日本のファッションロー推進に大きな役割を担っていますよね」(海老澤弁護士)
「『ファッションロー・インスティテュート・ジャパン』は、日本のファッションロー推進に大きな役割を担っていますよね」(海老澤弁護士)

海老澤
「ファッションロー・インスティテュート・ジャパン」ではどういった活動をされているのでしょうか?

金井
「ファッションロー・インスティテュート・ジャパン」は、ファッションの保護制度を中心に、ファッションに関する制度を調査研究、教育する機関です。現在、ハイブランドを中心に10社程度のファッション企業が会員となっており、ファッション保護の観点からのクローズドの意見交換や情報共有、勉強会などを実施しています。弁護士も参加しており、小松弁護士、海老澤弁護士、中内弁護士もメンバーですね。

海老澤
金井さんは文化服装学院などの教育機関でも講師をされていますよね。講師をされる中でどう感じていらっしゃいますか?

金井
小松弁護士や海老澤弁護士、中内弁護士にも授業を担当していただいていますね。
実際にビジネスを志している学生の皆さんの問題意識を知ることができて楽しいです。文化服装学院の学生の方々はファッションビジネスという目的が明確なので、意識が高いように感じます。
商標登録や意匠登録、契約などについては、早い段階であればあるほどポジティブに動けますし、費用も労力も安く済む。だからこそ、これからファッション業界で活躍される学生の皆さんがこうした問題を早い段階から知っておくことは非常に大事だと思っています。最初に相談しておいたほうがいいかも? と気付いてもらうだけでいいんですけどね。火事が燃え盛ってから気づくのではなく、ボヤくらいで気づいてくれたら…。
加えて、そんなときに相談する弁護士や弁理士がとっつきにくい怖そうなおじさんたちではなく気軽に話せる人なんだなと知ってもらえるといいなと(笑)。

海老澤
その点への嗅覚があるだけで全然違いますよね。

「若いクリエイターをサポートするためにも、同世代の若い弁護士を育てることが重要だと感じています」(小松弁護士)
「若いクリエイターをサポートするためにも、同世代の若い弁護士を育てることが重要だと感じています」(小松弁護士)

小松
ファッションローでは初動がとても大事で、「もっと早く相談してくれれば安上がりだったしトラブルも起きなかったのに…」と感じることがとても多いんですよね。だからこそ早い段階でファッションローを知ることが重要で、個人的にも、目的意識を持った学生の皆さんとの接点をもっと増やしたいと思っています。たとえばアメリカでは弁護士とパーソンズやFITの教授や学生が一緒に展示企画を行うなど、弁護士とファッション業界との連携が進んでいます。その点で日本は遅れている印象。弁護士とファッション業界とがもっと連携するためには、同世代の弁護士とファッションクリエイターがつながれるといいのではないかと感じています。
ファッションは、他の分野に比べて契約がとても多く、その分トラブルも多い。著作権、意匠、不正競争防止法はもちろん、労働や国際取引も山ほどある。また、業界慣習などでも改善すべきポイントがたくさんあるのではないかと思います。アパレル企業にとって有用な情報を共有することで、産業全体を押し上げることもできるし、法律と付き合っていくことで底上げできることはたくさんあると感じます。

金井
多くのファッション系の学校は、どうしても縫製やパターンなどの技術を習得することに主眼が置かれがちで、ファッションビジネスは別のコースとして設置されていたりします。
そのため、デザイナーやパタンナーの技術系の職種の方々が、ビジネスを十分学べないという実情があるように感じます。トータルで学べる場がさらに必要ですよね。
自分自身「学生の頃は何をやっていただろう?」と思ったりするものの(笑)、それでも、授業などで聞いたことは何となく記憶に残っていたりするじゃないですか。だからこそ、学生のうちに少しでも聞いておくだけで、ずいぶん違うんじゃないかと思います。

小松
ちょっと引っかかって相談してくれれば、結果は全く変わりますからね。
「早いうちに相談したほうがよい」という感覚が業界に浸透すること、また、専門家に相談しやすい環境を作ることが何より重要だと考えています。そのためには、ファッションが好きでファッション業界を一緒に盛り上げる熱意をもった若手の弁護士を育てていくこともとても大事ですよね。

金井
これからのファッション業界を担う若い世代がたくさん育ってくれるといいですよね。そのために、これからもさまざまな活動を続けたいと思っています。

※1 現在は1週間程度となっています。

ナイキのスニーカーを販売するサイト

関連記事
「偽造品対策で協力しようとしたナイキが今なぜ」模倣品販売の告発を受けたStockXが新たな声明発表

ショートビデオ
最新の関連記事
Realtime

現在の人気記事

    次の記事を探す

    Ranking Top 10

    アクセスランキング