Image by: TARO HORIUCHI
デザイナー堀内太郎が手掛けるウィメンズブランド「タロウ ホリウチ(TARO HORIUCHI)」が2年ぶりに帰ってくる。ファッション誌・カルチャー誌の企画編集などで活動する⼤平かりんをアートディレクターに起用して再スタートを切った同ブランドだが、休止前後ではモノづくりに対する考え方が大きく変わっているという。プロダクトを通じて「瞬間を切り取った美しさ」を表現すると話す堀内と大平に、新生タロウ ホリウチについて話を聞いた。
休止前のタロウ ホリウチと新生タロウ ホリウチの違いを理解するためには、まず堀内のウィメンズウェアに対する認識を正しく理解しておく必要がある。堀内は、ウィメンズウェアを「移り変わっていくもの」として捉えており、「普遍的で変わらないもの」への興味が高まったことを理由に2020年にタロウ ホリウチを休止。普遍的なモノづくりを追求する「ティーエイチプロダクツ(th products)」の活動に専念していた。再始動した新生タロウ ホリウチでは、これまでティーエイチプロダクツで展開していた普遍性を持つメンズウェアをベースとして、ウィメンズウェアにアップデート。「移り変わっていくもの」として製作していた休止前とは違った目線で、ウィメンズウェアを提案している。堀内は、「ティーエイチプロダクツを通して、メンズのプロダクト的なモノづくりを突き詰めた上で、メンズと同じ観点からウィメンズウェアを作りたいと思った」と一度休止した同ブランドを再始動するに至った経緯を説明した。
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Image by: TARO HORIUCHI
普遍的なプロダクトをベースにウィメンズウェアを作っていくという考えは、ブランドロゴにも表れている。休止前はブランド名と同じ「TARO HORIUCHI」をブランドロゴに採用していたが、新生タロウ ホリウチではロゴをティーエイチプロダクツと同じ「th」に設定。「頭文字だけを残し他の部分を削ぎ落としたロゴに統一することで、『無駄のないプロダクトを作る』という意志を反映させた」と堀内は語る。
新生タロウ ホリウチではメンズウェアをベースとしてプロダクトを展開するが、作るのはあくまでウィメンズウェア。女性の独自の感覚を色濃く打ち出したいという考えから、大平をアートディレクターとしてブランドに加えた。「集積の美」をテーマに「変わらないものの美しさ」を表現するティーエイチプロダクツに対し、ベースは同じながらあえて動きをつけることで「瞬間を切り取った美しさ」を表現するのが新生タロウ ホリウチになるという。堀内は「僕が持つ男性的な視点のほかに、『女性が何を求めているのか』といった感性を上手くブレンドできたら」とコメント。新たにブランドに加入した大平は「人間は普段表に出している顔だけではなく、色々な面を持ち合わせている。世の中的にネガティブに捉えられる感情や欲望も人間の魅力だと考えているので、そういった『人間の多面的な魅力』を着こなしで表現できる服を作りたい」と話す。
Image by: TARO HORIUCHI
新作コレクションでは、ティーエイチプロダクツのアイテムと同じ生地を使ったジャケットやシャツ、メンズMA-1の裾をカットして製作したブルゾンなど、小物を含め幅広いアイテムを展開。「EXTRAORDINARY MOMENTS(⾮⽇常的な瞬間)」をテーマに、ニューヨークで活動するグラフィックアーティスト ライアン・カール(Ryan Carl)とのコラボレーションアイテムもラインナップしている。
今後は、ティーエイチプロダクツと同様にセレクトショップなどへ卸売をしながら、自社オンラインストアや千駄ヶ谷のティーエイチプロダクツ直営店でも展開を予定。堀内は「2つのブランドで世界観は異なるが、ベースとしている部分は同じなので当然親和性はある。それぞれの感性でミックスして着用してもらえたら」とコメント。大平は「今の体制で自分たちにしか表現できないことを形にしていくことが一番の目標。太郎さん(堀内)が表現する洗練された美しさに、自分が持つカルチャーを背景にしたアイデアを組み合わせたクリエイションを追求していけたら」と語った。
■タロウ ホリウチ:公式サイト
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