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再上陸した「アメリカンイーグル」成功のカギは?責任者に聞く

10月に日本再上陸し、実店舗をオープンしたアメリカンイーグル

「アメリカンイーグル」渋谷店

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10月に日本再上陸し、実店舗をオープンしたアメリカンイーグル

「アメリカンイーグル」渋谷店

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再上陸した「アメリカンイーグル」成功のカギは?責任者に聞く

10月に日本再上陸し、実店舗をオープンしたアメリカンイーグル

「アメリカンイーグル」渋谷店

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 2019年をもって日本から撤退していた「アメリカンイーグル(AMERICAN EAGLE)」が、渋谷・池袋に新店舗を開き、約3年ぶりに日本再上陸した。撤退前には品質の低さや、日本人の体型に合わないといった批判的な声も聞かれた同ブランドだが、今回は「確かな勝算」を胸に再上陸に至ったという。日本でのビジネス成功の道筋はどこにあるのか、アメリカン イーグル アウトフィッターズ社(以後AEO社)のアジア太平洋地域担当バイスプレジデント チン・シェン(Qin Shen)氏に話を聞いた。

アメリカンイーグル、前回上陸時の反省

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 アメリカンイーグルは、2012年4月に日本に初上陸。青山商事の連結子会社であるイーグルリテイリングが日本での事業を手掛け、アメリカンイーグルとインティメイトブランド「エアリー(Aerie(R))」を運営していた。デニムやTシャツ、ジャケットなど、アメリカンカジュアル系のアイテムをリーズナブルな価格帯で展開し、2019年3月末までに33店舗を出店したが赤字決算が続き、同年11月には年内で国内での事業終了を発表。イーグルリテイリングは2020年1月をもって解散した。

10月に日本再上陸し、実店舗をオープンしたアメリカンイーグル

表参道にあった「アメリカンイーグル」の店舗(2019年撮影)

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 日本からは撤退したアメリカンイーグルだが、その後は業績が好調に推移。2022年1月期の決算では、売上高が前年比約33%増の50億1079万ドル(約7384億円)となり、最終損益は4億1963万ドル(約618億円)の黒字(前年は約295億円の赤字)を計上した。日本撤退後のAEO社については「日本のことは重要なマーケットとして位置づけ、動向を注視していた」とチン氏。2020年に日本版のオンラインストアを再オープンして消費者インサイトの収集を続け、情報が十分に集まったと判断し、今年10月に再上陸に至った。

 チン氏に前回上陸時の反省について尋ねると「2019年の撤退はあくまでイーグルリテイリングとの合意に基づくもので、失敗したとは認識していない」と前置きしながらも「本社と消費者との直接的な関係性を構築するべきだった」と振り返る。今回の再上陸では、事業を他社に委託するのではなくAEO社の子会社「アメリカン イーグル アウトフィッターズ ジャパン」を設立し、AEO社の直轄として実店舗とECを運営。自社直轄の体制にすることで、商品を店頭に並べるまでのプロセスを簡略化し、スピード感のあるブランド運営を目指す。

日本に合わせた商品展開が成功のカギ

 運営体制だけではなく、商品ラインナップも見直す。これまでは本国で企画したアイテムをそのまま日本に持ち込んでいたため、アイテムによっては「日本人の好みや体型に合わない」といった意見もあった。今回の再上陸では、オンラインストアの売れ筋などの消費者情報を利用することで「日本市場にマッチするMDで展開する」という。

10月に日本再上陸し、実店舗をオープンしたアメリカンイーグル
10月に日本再上陸し、実店舗をオープンしたアメリカンイーグル
10月に日本再上陸し、実店舗をオープンしたアメリカンイーグル

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 また、日本のマーケットに合わせてローカライズした日本限定デニムコレクション「AE77」の展開を開始する。同ラインではオーガニックコットン、リサイクル素材などのサステナブルかつ上質な原材料を使用し、デニム、デニムシャツ、Tシャツをラインナップ。日本人の美的感覚を分析して製作するプレミアムラインとして位置づけ、価格帯はデニムで税込2万〜2万5000円程度と通常ラインと比べて高価格帯に設定する。サイズも拡充し、全ラインで前回上陸時と比べ小さいサイズを用意。日本人のニーズに最大限応えていくとしている。

 そのほか新たな取り組みとしては、輸入卸業者のLTNと代理店契約を結び、卸売事業を開始する。LTN社を通じて国内セレクトショップや専門店などに卸売りを行う予定だ。卸売事業はAEO社全体で見ても初の取り組みだが、チン氏は「卸事業を展開する上で重要になってくるのは商品のクオリティ。現在、卸売を始めることを念頭に置いて生産ラインの各工程で品質向上に取り組んでいるので、前回上陸時よりも高品質な商品を提供できると思う」と話す。

 9月にはロックポートが東京地裁から特別清算の開始決定を受けるなど、外資ブランドの日本撤退が散見されるが、AEO社には日本でビジネスを成功させるヴィジョンがあるという。チン氏は「日本に合わせた商品展開のほか、ローカルアンバサダーを起用するなど、対象を日本に絞ったプロモーションに力を入れる。日本市場にブランドを浸透させることができれば、確実に利益を上げることができると分析している」とコメント。また、アメリカンイーグル渋谷店の開店にあたり東急コーポレーションが支援をしたことも明らかにし、「黒字化の道筋を伝えた上で先方が援助をしてくれていることは、自分たちのヴィジョンが認められたことの証明になると思う」と自信を覗かせた。

商業施設への出店も

 新生アメリカンイーグルは、競合として他社をベンチマークすることはせずに、自社が計画するローカライズ戦略に注力していく方針。売上目標については現段階での回答は差し控えた。現在は渋谷と池袋に路面店を展開しているが、今後は路面店だけでなく商業施設への出店も積極的に進めていくという。

10月に日本再上陸し、実店舗をオープンしたアメリカンイーグル

AEO社 アジア太平洋地域担当バイスプレジデント チン・シェン氏

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 チン氏は、現在の日本のファッション市場について「他国のマーケット同様、コロナ禍でECが大きな割合を占めていたが、収束の兆しが見え始めたことで実店舗に需要が戻りつつある」と分析。しかし、従来の店舗スタイルでは顧客ニーズに完全に応えることができないという。「顧客は商品を直接見て購入するだけではなく、店舗での新たなサービスや購入体験を求めていると感じる。今後は、実店舗に商品を買う以外の『新たな価値』を付与する方法を模索していく」と話した。

■アメリカンイーグル:公式サイト

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