各フロアで混ざり合う作品たち
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外苑前のEUKARYOTEにて、映像作家の倉知朋之介と、彫刻家の米村優人による「NSFS/止め処ないローレライ」を、1月27日(金)から2月19日(日)までの期間で開催する。
倉知朋之介は1997年愛知県生まれ、現在は東京芸術大学映像研究科メディア映像専攻に在籍しており、渋谷パルコで行われたグループ展「P.O.N.D. 2022 〜IN DOUBT/見えていないものを、考える。〜」への参加や、「CAF賞2022」ファイナリストにも選出された経歴を持つ。
彼の作品を特徴付けるのは、画面のこちら側に目を配りながら擬似言語で会話を繰り広げる登場人物たちの異質さに加え、テーマにまつわる様々なイメージとストーリーが秒単位で切り替わってゆく映像のスピード感と言える。その一見エキセントリックな表現手法には、日常で無意識にとる行動や事象からイメージを緻密に分解し、展開したものに編集を加え再構築することで「可笑しさ」を引き出すロジックが用いられている。
米村優人は1996年大阪府生まれ、京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)の美術工芸学科総合造形コースを卒業しており、近年では個展「我(WE)」(COHJU contemporary art, 2022)のほか、「問題のシンボライズ ー彫刻・身体・男性性ー 」(ホテルアンテルーム京都, 2022)をはじめ、数々の展示会に出展している。
主な作品シリーズである「超人像」は、人智を超えた圧倒的な存在に対する憧れや興味から、粘度、 石、FRP、スタイロフォームなどさまざまな素材を用い、変形・合体するかのように彫刻の一つひとつを展示空間に応じて再構成。それらはインスタレーションとして表現されている。彫刻とはマッシブな媒体であり、身体性や男性性を意識せざるを得ない技法であるところ、彼の彫刻は素材やモチーフの選択によって、不完全性や繊細さ、弱さといった要素をも含み込んでいる。
本展全体の空間構成は米村、映像作品は倉知で行っており、各フロアで作品が混ざり合う形で構成されている。1階ではむき出しの構造体とモニターを並列させ、倉知の映像の構造的要素を提示することから始まり、最上階では米村の近年重要な活動の一つであるラブソングと大型の彫刻による新作、あわせて倉知の新たな試みとも言える映像を発表するなど、各フロア、空間全体で実験的なテーマを展開する。
展覧会タイトルに含まれる「ローレライ」とは、ドイツ西部ライン川流域にそびえる奇岩の名前であり、その岩には、岩の上に棲む人魚が美しい歌声で船乗りたちを誘いこみ、次々に遭難させるという伝承がある。外苑前にひっそり佇むギャラリーで繰り広げられる独特な世界観に、誘い込まれてみてはいかが。
■概要
倉知朋之介、米村優人 展覧会「NSFS/止め処ないローレライ」
開催期間:1月27日(金)〜2月19日(日)
営業時間:12:00〜19:00
開催場所:EUKARYOTE
住所:東京都渋谷区神宮前3-41-3
※お出かけの際はマスク着用の上、こまめな手洗い・手指消毒を行い、混雑する時間帯、日程を避けるなどコロナウィルス感染症対策を十分に行いましょう。
>>EDITOR’S VOICE
EUKARYOTEから7分ほどの場所にあるNANZUKA UNDERGROUNDでは、マシュー・パラディーノ(Matthew Palladino)の新作個展と、山路紘子の個展「すみか」が同時開催中。フロアごとに異なる楽しみ方ができる点では、本展示と近しいものを感じるかもしれません。
Text:Arisa Watanabe
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