「mintdesigns」2022年春夏コレクション
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Mariko Nishitani

受け継がれるマルタン・マルジェラ vol.4 「ミントデザインズ」と黒塗りのモデル

西谷真理子

ファッションエディター

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 今シーズンのRAKUTEN ファッションウィークトーキョー(FWT)のトリは、ミントデザインズだった。ミントデザインズのコレクションは、設立が2001年、初めてのコレクションが2003年春夏で、私自身もう20年近く彼らの活動を見てきているわけだが、軽快な色合いのモダンなテキスタイルのユニークさに毎回惹きつけられてきた。会場のセレクトも含めたショーの作り方も、音楽の乗せ方もとてもうまくて、東コレの優等生と呼びたい存在だった。彼らとマルタン・マルジェラとの共通点を無理やり探すとなると、古い建物や空間への関心と、モデルが女っぽくないことくらい。

 ところが、今回のショーを見て驚いた。

 ショーの後半、モデルたちは顔の半分を黒く塗って現れた。

 マルタン・マルジェラは、「1988年の第1回目のショー(1989年春夏)のテーマは、シュールレアリスムの視点の導入だった」と映画の中で明かしている。その後、マルジェラの代名詞のようになる、顔をヴェールで覆うというアイディアは、シュールレアリスムから来ているのだと私たちは初めて知った。結果、顔を覆うことで、観客はモデルの顔にとらわれずに、服に目が向かうようになるという効果をマルタン自身発見したのだろう。顔を布で覆うだけでなく、目の部分を黒く塗ったりもした。

 ミントデザインズの過去のショーを見てみると、顔を覆うこと自体はなかったわけでない。白や黒のレースのアイマスクをしたり、木のヘッドピースで顔を覆ったり、明るくポップに見られがちなイメージを時々、アートやロックの方向に降ってきた。でも、「HAPPY MISTAKE」と最後に笑うところが、ミントデザインズの明るさであり、生活力だと思う。

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 2022年春夏も、アップテンポで歯切れのいい、いかにもミントデザインズらしいショーに仕上がっている。窓を覆うツタの緑もまぶしい空間を早足で颯爽と歩く少女たち。でも、後半、突如服が黒くなり、少女の目の周りは黒い半透明の布で覆われる。そして明るかった空間は、暗雲が立ち込めたように、少しずつ暗くなっていく。これはヴェール(アイマスク?)のおかげでモデルたちの目には周りが暗く見えるのかわからない。音楽も不穏さが混じり、カメラのアングルも揺れる。そして最後に「世界はハッピーミステイクであふれてる」とテロップが。

 顔を覆うということは、マルタンが考えたように、モデルの顔を見せないことで、服に集中させる事ばかりではない。毎日マスクで半分顔を覆う日常を経て、「顔を覆う」ことの効果や意味を、多分私たちは、30年前のマルタン・マルジェラよりは考えているかもしれない。

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