ADVERTISING

ジョン スメドレーのジェーン・ミドルトン-スミス

ジェーン・ミドルトン-スミス氏

Image by: FASHIONSNAP

「ジョンスメドレー」アーカイヴ展が開催 天皇御用達の逸話が残るビキューナ製下着など披露

アーキビスト ジェーン・ミドルトン-スミス氏来日

ジョン スメドレーのジェーン・ミドルトン-スミス

ジェーン・ミドルトン-スミス氏

Image by: FASHIONSNAP

 「ジョン スメドレー(JOHN SMEDLEY)」が、ジョン スメドレー 銀座のリニューアルを記念し、同ブランドのアーカイヴを集めた展示「THE ARCHIVES」を4月19日まで開催している。これに先駆け行われたプレビューイベントには、同ブランドでアーキビスト(記録保管人)を務めるジェーン・ミドルトン-スミス(Jane Middleton-Smith)氏が登壇。ブランドの歴史や展示品の背景、アーキビストという仕事の重要性までを語った。

ADVERTISING

 スミス氏は、大学で歴史学の学位を取得後、教職や博物館の学芸員、キュレーターを経験。イギリスの博物館協会が発行する業界誌「ミュージアムズ ジャーナル(Museums Journal)」に寄稿するなどライターとしても活躍したほか、文化遺産のプロジェクトマネージャーや研究者といった多彩なキャリアを積み上げてきた。フリーランスに転校後、研究の一環でジョン スメドレーの本社を訪問。「そこかしこに古くて、いかにも貴重な資料が転がっているのを見て、資料が可哀想だと思いました」と当時を振り返り、その歴史的価値に惹かれたことからアーキビストとしての活動を直談判したことを明かした。自ら自治体に掛け合って助成金を獲得し、プロジェクトが始まったという。

 「ニットウェアとファッションの関係、その歴史を知りたければジョン スメドレーのアーカイブを見よ。そう言えるほど優れた記録が残っています」とスミス氏。会場には、服だけで1万3000点にのぼる膨大な資料の中から、同氏が今回の展示のために選んだ貴重なアーカイヴが揃う。1900年前後の製品だというワンピースタイプの下着は、コルセットに合わせて開発された「コンビネーション」と呼ばれるもの。ボタンを排し生地の重なりだけで股の開閉構造を実現した「Sラップ」など、斬新な工夫とニッティングの高い技術が光る。1930年代のシルク製アンダーパンツは、レース編みと大胆な柄が目を惹くアールデコ調のデザイン。コルセットフリーの直線的なラインや短い着丈が一般的になった時代のもので、前述のコンビネーションと比較することで服飾史の流れを感じることができる。

コンビネーション(1900年代)

 ブランドと日本の縁を感じさせる資料も公開。1916年製のロングジョンは、最高級の天然繊維とされるビキューナを用いており、大正天皇のために製作されたものという逸話も残る貴重な品だという。1920年頃の前開きのトップスは、脇に身八つ口のようなスリットが空いた仕様が特徴的だ。スミス氏は「着物の中に着る肌襦袢として、日本の顧客のために作られたものではないかと考えている。このことに気づいたときから、これを日本に持って行かなくてはと思っていた」と説明した。

ロングジョン(1916年)

 ココ・シャネル(Coco Chanel)の台頭により、従来下着用だったニットが上着の素材として認められた1930年代、ジョン スメドレーはニットの伸縮性を活かしたスポーツウェアを盛んに提案。展示では、定番ポロシャツ「ISIS」の原型となったテニスシャツのほか、バスケット編みのジャージー素材を使ったメリノウール製の水着が並んだ。また、同時期にニットはタウンユースのファッションアイテムとしても発展。その潮流を象徴するアイテムとして、当時のデザインチームを率いたレスリー・バニスター(Leslie Bannister)によるネクタイ付きのプルオーバーが紹介され、スミス氏は「ネクタイのディテールや色みが、現代でも全く古びずに素敵だと思います。こうしたアーカイヴは、新作をデザインする上での着想源にもなっているんです」と語った。

水着(1930年代)

 ブランドがクラシック志向を強めた1980年頃のアーカイヴとして、アーガイル柄の長袖ポロシャツやタートルネックのセーターなど現代に続く定番的なモデルが揃う一方、ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)が手掛けた「ハートセーター」も展示。スミス氏はウエストウッドとのコラボレーションについて「彼女は、ジョン スメドレーの伝統を重んじる性格を理解した上で、高い品質はそのままに境界線を押し広げようとしました。大胆なデザインに職人たちはショックを受けた様子でしたが、彼女がもたらす革新の価値を程なくして皆理解しました。自分たちの技術をハイファッションとして提案するというヴィジョンが生まれたのです」と話し、その後ブランドが取り組んできた数多の協業の基礎となる重要な転換点だったと振り返った。

ヴィヴィアン・ウエストウッドが手掛けたセーター

 スミス氏は、アーキビストという仕事について「ブランドの歴史を守る仕事と捉えています。それらは、プロモーションや顧客とのコミュニケーションに役立つだけでなく、次なる製品や企画の着想源、つまり未来にもなり得るのです。歴史は、ブランドが生きてきた長い年月そのもの。創作できないからこそ絶対的な価値があり、それゆえに守る必要があります」とその重要性を説明。「日本にも「コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)」を始め、1980年前後から続く大きなブランドが幾つかあるはずです。当時広く使われるようになった化学繊維は、天然繊維と比較して劣化しやすい。アーキビストを設けるブランドは世界的に増えていますが、日本においても各ブランドが適切に記録を保管していることを願います」と呼びかけた。

イギリス・ダービーシャー州の工場を訪れたエリザベス女王

イギリス・ダービーシャー州の工場を訪れたエリザベス女王

FASHIONSNAP

佐久友基

神奈川県出身。慶應義塾大学法学部を卒業後、製薬会社に入社し着道楽を謳歌するも、次第に"買うだけ"では満足できなくなりビスポークテーラー「SHEETS」に弟子入り。4年間の修行の末「縫うより書く方が向いている」という話になり、レコオーランドに入社。シズニでワンドアなK-POPファン。伊勢丹新宿店で好きなお菓子はイーズのアマゾンカカオシュー。

最終更新日:

■THE ARCHIVES
会期:2016年4月17日(金)〜4月19日(日)
時間:11:00〜19:00
会場:ジョン スメドレー 銀座
所在地:東京都中央区銀座6-7-1 みゆきガーデンビル3階
公式サイト

ADVERTISING

現在の人気記事

NEWS LETTERニュースレター

人気のお買いモノ記事

公式SNSアカウント