
宇仁繊維が発表した新作テキスタイル
Image by: FASHIONSNAP

宇仁繊維が発表した新作テキスタイル
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中東情勢の緊迫化に伴う原油価格の高騰は、ファッション業界にも影を落としている。中でも深刻な打撃を受けているのは、原料の運輸や染料、染色のために動かすボイラー、包装ビニールなど幅広い工程で原油を使用する川上企業だ。
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東レは、3月31日付で衣料用・産業用の各分野へ販売するナイロンやポリエステル、ポリプロピレン、アクリルの一部糸、綿、不織布の価格改定を4月出荷分以降を対象に実施した。値上げ幅は20円〜110円/kg以上。帝人フロンティアは、4月7日付でポリエステル繊維、不織布およびテキスタイルの価格改定を実施。値上げ幅は、ポリエステル繊維および紡績糸、不織布が20%以上、テキスタイルが15〜20%以上となっている。
生地の染色・洗浄・乾燥に必要なボイラー燃料に原油やガスを使用することから、特に染色や整理加工工程が受ける影響は大きい。大手企業への供給が優先されるため、規模の小さな会社にはそもそも燃料の供給が止まってしまい、機械を動かすことが困難になっている会社も存在するという。6月には燃油サーチャージの大幅値上げが決まっており、さらなる経費圧迫が見込まれる。すでに納期遅れが決定した会社もあり、「半年後にはもっと深刻な状況になる可能性もあるが、まだ先は見えない」とテキスタイル展「Tokyo Textile Scope」を主宰する日本ファッション・ウィーク推進機構の古茂田博事務局長は話す。山陽染工は、これまで原油と天然ガスのハイブリッド形式で染色機器を稼働させ、価格の変動に合わせて燃料を切り替えてきたというが、中東情勢の影響で原油もガスも高騰していることから、値上げは避けられないという。
繊維業界を圧迫する要因は原油価格に限った話ではない。宇仁繊維は、抜染剤の原料になる錫(すず)の供給不足によって、プリント製品を4月から値上げした。協力会社から「5月からボイラーが動かせなくなるかもしれない」という懸念の声も上がっており、こうした影響を踏まえ、今後も継続的な価格の見直しを行っていく予定だという。全体的な値上げに伴い、テキスタイルに関しては高付加価値製品の提案を強化する動きも見られるが、価格が上がりすぎると海外製の安価な製品との競争力の低下も懸念される。宇仁繊維では、定番のスタンダードな布帛に加えて、“海外企業には真似できない”表面加工やジャカード生地など、独自性、価格妥当性のある商品の提案を強化していく方針だという。
服作りのサプライチェーンには多くの関係工場が関わっており、そのうちの一社が欠けるだけでもこれまで通りの生産は成り立たなくなる。状況悪化に伴い既存顧客に向けた供給で精一杯になり、新しい挑戦や発信に予算を割けなくなれば、新しいクリエイションも生まれにくくなる。ファッションは、人々の心にゆとりがあり、平和な時代だからこそ楽しめる文化。世界を覆う不安定な情勢が一刻も早く落ち着くことを祈る。
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