
デザイナーの池田友彦が手掛ける「べメルクング(bemerkung)」が、2027年春夏コレクションの展示会を開催した。会場では、映画の中の犯罪現場のような「チョーク・アウトライン」が床に引かれ、その中に服を置いたインスタレーション形式で新作を披露した。
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池田は「コム デ ギャルソン オム プリュス(COMME des GARÇONS HOMME PLUS)」で約8年間パタンナーとして経験を積み、2025年秋冬シーズンに自身のブランドであるべメルクングをスタート。従来の服作りの手法を踏襲せず、「衣服のパターンの構造、機能性を再解釈して作業的にデザインしていく」をテーマに服作りを行っている。デビューコレクションでは大量生産品の「Tシャツ」を、セカンドコレクションでは古着や既製品の「シャツ」を解体・再構築するというアプローチを採用。前シーズンの2026年秋冬にはブランド初のランウェイショーを開催し、「視点の転換」をテーマに、衣服のデザインや構造、素材の実験的な転換や発展を取り入れたクリエイションを発表した。
デビューから4シーズン目となる今回は、「立体として服を見るのをやめ、床に転がっている布に人が入ったらどうなるのか」という発想を出発点にコレクションを製作。床に置かれて平面状になった服を、そのまま切り取るようにしてパターンを引いて布を裁断し、服に仕立てるというシンプルな手法を用いたという。そのため、一見脱ぎっぱなしの服や縫われる前の布が床に重ねて置かれているように見えるデザインが特徴だ。ルックブックでも、展示会のインスタレーションと同様、落ちている服や布に人がそのまま身体を入れたような姿が表現されている。


今季のコレクションは、ウェア25型と小物5型で構成。切りっぱなしのチノ素材の布をフラットに縫い合わせたようなワークジャケットや、長袖のニットプルオーバーの上にテーラードジャケットを重ね置きしたように2着をドッキングしたプルオーバー型のジャケット、有孔ボードの上に裁断されたベストのパーツを並べたようなショール型アウターをはじめ、平置きの状態からは着用時のシルエットやデザインが想像できないアイテムが揃う。



このような製作手法を採用した理由を、池田は「これまでのコレクションではボディに服を着せて構築していくプロセスを続けてきたが、自分がやっていることに対して改めて疑問を投げかける意味で、一度立体で考えるのをやめてみることにした。日常の中で見たことがあるようでないシーンを切り取り、色合いや素材感は見慣れたもので構成するというクロスオーバーを試みた」と語る。
その言葉通り、コレクションはテーラードジャケットやトラウザーズ、襟付きシャツ、フーディー、サーマルトップスといった、日常で見慣れたスタンダードなアイテムをベースに構成。素材には、チノやデニム、ジャージーなどのカジュアルな素材を用い、カラーパレットは黒やベージュ、ライトブルーといったベーシックカラーに鮮やかなピンクやグリーンも加えることで、軽やかで親しみやすい印象をもたらしている。


コンセプトやルックからは一見アヴァンギャルドな服に思えるが、「着てみると意外と普通」と池田。見慣れたアイテムと素材をベースに、長年の経験に裏打ちされたパタンナーとしての高い技術力が合わさることで、ユニークさと違和感がありながらも日常に自然と馴染む、デザインと着心地の良さが強みだ。
また前シーズンに続き、今回も「コウタ オクダ(KOTA OKUDA)」とのコラボレーションジュエリーが登場。前回のハンガーやアクリル定規といった“普段見ているもの”というコンセプトを踏襲し、ぐしゃりと潰した大小のペットボトルにシルバーの塗装を施したネックレス兼キーチェーンをラインナップする。

前回のショー開催を経て卸先は少しずつ増えているといい、現在は12店舗まで拡大。今季からは外部のセールスとPRもサポートに加わり、今後は国内でのさらなる認知と展開拡大を目指す。セールス担当者は、「近年人気のあるシンプルでベーシックなデザインのブランドに少し飽きがきて、より玄人向けでファッション性が高いアイテムを探すバイヤーから注目が集まっているのを感じる。一見着るのが難しそうに見えるが、実際に着てみるとデイリーにも使えるアイテムが多いという点が評価されている。女性が着ても面白いと言っていただくことも多い」と手応えを口にした。
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