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熱波の中ピッティ・ウオモが開幕 伊メンズファッションは逆風も「エコシステムを語る場に」

芳之内史也

Image by: Pitti Immagine Uomo

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 熱波が押し寄せるイタリア・フィレンツェで、メンズウェアの見本市「第110回ピッティ・イマージネ・ウオモ(Pitti Immagine Uomo、以下ピッティ)」が開幕した。今回は「POOL」をテーマに、30ヶ国以上から740ブランドが参加し、新作となる2027年春夏コレクションを発表。「ディエチ・コルソ・コモ(10 Corso Como)」や「GR8」「ギャラリー・ ラファイエット(Galeries Lafayette)」「ブラウンズ(Browns)」など有力ショップのバイヤーをはじめ、世界中から約1万1500人の来場が見込まれている。

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 ピッティは、1972年に始まったイタリア・フィレンツェで年2回開催されるメンズウェア見本市。世界最大規模のファッション合同展として知られ、日本の「背広散歩」がイベントを開催して注目を集めた前回は758ブランド(うち海外が47%)が参加し、1万9000人が来場した。主催するピッティ・イマージネは今年4月、アントニオ・デ・マティス(Antonio De Matteis)会長のもとで新理事会を発足し、新CEOにイヴァーノ・カウリ(Ivano Cauli)氏を任命。今回は、その新体制下で迎える初の開催となる。

ピッティ・イマージネの新CEOイヴァーノ・カウリ(Ivano Cauli)氏

Image by: Pitti Immagine Uomo

 気温30度を超え熱気あふれる会場とは裏腹に、イタリアのメンズファッション業界は複雑な経営環境に直面している。イタリア・ファッション連盟「コンフィンドゥストリア・モーダ(Confindustria Moda)」の経済統計研究室がまとめた報告書によれば、2025年のイタリアのメンズウェア部門の売上高は前年比2.2%減の約112億ユーロとなり、2024年に続き2年連続のマイナスを記録。同部門の売上の77.8%を占める輸出も1.7%減の約87億ユーロに落ち込んだ。一方で、輸入は1.8%増の約54億ユーロとなり、全体の貿易黒字としては33億ユーロを確保。商品カテゴリー別に見ると、シャツ(同4.5%減)やニット(同3.0%減)が苦戦するなか、革製衣料のみが4.9%増と唯一のプラス成長となっている。

開幕セレモニーの様子

Image by: Pitti Immagine Uomo

 開幕セレモニーに登壇したコンフィンドゥストリア・モーダのルカ・スブルラーティ(Luca Sburlati)会長は、メンズウェアが国家の資産であると強調する一方、「今日のピッティはメンズウェアだけでなく、エコシステムを語る場になっている。このエコシステムを守ることが全員の使命だ」と訴え、サプライチェーンの維持や中小ブランドの支援などを課題に挙げた。「フィレンツェ・ファッション・センター(Centro di Firenze per la Moda Italiana)」のアントネラ・マンシ(Antonella Mansi)会長は「複雑な状況のなかで最も重要なのは人、才能、アイデア、ヴィジョンだ」と語り、AIによるマッチメイキングシステム「Hyperscout」の導入など新機軸も打ち出している。また、2026年度のピッティ・イマージネ・ウオモ賞は、サステナブルなものづくりと職人技が評価された靴ブランド「ドゥカレス(DOUCAL'S)」に授与。ピッティのイヴァーノ・カウリCEOは「ドゥカレスは『Made with Kindness』というマニフェストを通じて、美の探求、革新的な技術、そして持続可能なサプライチェーンを調和させる現代的な製造モデルを体現しています。ピッティとイタリアへの投資を続けてきたことに、私たちは誇りを持ってこの賞を贈ります」と業界が目指すべき価値観を示した。

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 業界全体が複雑な市況に直面するなかでも、ピッティの会場では独自の付加価値を提示するブランドが国境を越えて注目を集めている。今回スペシャルゲストとして参加した韓国発のブランド「ジヨンキム(JiyongKim)」もその一つだ。2021年デビューのジヨンキムは、日光による退色加工「サンブリーチ」をブランドの核とし、100日間かけて服を退色させる手法を採用している。文化服装学院出身でもあるデザイナーのジヨン・キムは「日焼けして価値がないとされていたものを、ストーリーテリングしながら価値に変えていく」とその哲学を語り、あえてランウェイショーではなく展示会形式を選んだのも、「私たちがやっていることを大勢のグローバルな人々に直接説明する」というビジネスと理念の浸透を両立させるためと強調した。

「ジヨンキム(JiyongKim)」のプレゼンテーション。サンブリーチした日数によりデザインが変わる様をグラデーションで見せている。

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 また、日本からは「土屋鞄製造所」や「Jクオリティー(J∞QUALITY)」などが出展。なかでも今回のピッティが初披露となる日本発の新ブランド「カブキ(KAVKI)」は、独自の美意識を貫いた「傾奇者(かぶきもの)」をコンセプトに据えたシューズを発表し、来場者の注目を集めた。西陣織や和紙、印伝といった日本の伝統素材のアッパーに、前田家の家紋をモチーフにしたアバンギャルドなオリジナルソールを融合。生産背景もすべて国内にこだわった強烈なアイデンティティを武器に、フィレンツェから世界市場へと打って出る構えだ。

ツチヤカバンの商品

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最終更新日:

◾️PITTI UOMO 110
期間:2026年6月16日〜6月19日
会場:Fortezza da Basso
オフィシャルサイト

FASHIONSNAP ディレクター

芳之内史也

Fumiya Yoshinouchi

1986年、愛媛県生まれ。立命館大学経営学部卒業後、レコオーランドに入社。東京を中心に、ミラノ、パリのファッションウィークを担当。国内若手デザイナーの発掘と育成をメディアのスタンスから行っている。2020年にはOTB主催「ITS 2020」でITS Press Choice Award審査員を、2019年から2023年までASIA FASHION COLLECTIONの審査員を務める。

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