「T.T」が、ウィメンズコレクション「T.T WOMEN」の展開を主軸とした新拠点「T.T 御所南」を10月28日にオープンする。総合芸術空間「T.T 祇園」に続く2つ目の拠点となるこの場所は、約150年の歴史を持つ京町家を改修して作られたもの。庭を含め約400平方メートルにおよぶゆったりとした空間のなかで、衣服を起点として建築、庭、茶、工芸、アートが交差する。
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情報が消費され、トレンドが瞬時に移り変わる現代のファッションシステムにおいて、T.Tが提示するのは「過去のものを甦らせることで、未来の考古物を発掘する」という応用考古学の考え。単なる服屋の枠組みを超え、歴史と現代の感性を重ね合わせることで、五感を通して“時間の豊かさ”を体感できる空間に仕上げたという。

空間に落とし込まれたドレープの意匠、時を重ねる「デニムの間」
10代の頃から欧米のヴィンテージ服飾資料を蒐集し、その布地や縫製を考古学的に研究してきた創設者の故・髙橋大雅。彼が探求し、自身の彫刻作品「時間の天衣」や平面作品「陰翳礼讃」でも表現してきた「布のドレープ」は、日本の職人たちとの協働により、T.T 御所南の随所に落とし込まれている。元禄元年創業の「HOSOO」による西陣織を用いた畳縁、京都「かみ添」の唐紙を用いた襖、そしてガラス作家・佐藤聡による宙吹きガラスの照明が、光を透過して繊細な陰影を空間に生み出している。







店舗の奥へ進むと現れるのが、茶室の様式に倣った小間「デニムの間」だ。ここでは、かつて労働者のタフな日常着であったデニムが、呉服のようにたとう紙に包まれ、籠に収められている。床の間には、藍染めの和紙に雲母を摺り重ねてデニムの織り目を写し取った掛け軸が配されており、100年以上前の資料から糸や色を読み解き、旧式力織機で織り上げられるT.Tのデニムの精神性を物語っている。


イサム・ノグチの彫刻と「御菓子丸」を主宰する杉山早陽子による茶菓懐石
施設内に併設された立礼茶室「然美 御所南」は、「T.T 祇園」の茶室とは対照的に、大きな開口部から向かいの蔵の白壁に反射した自然光が差し込む、柔らかな陰翳の空間だ。

然美 御所南
入り口で客人を迎えるのは、イサム・ノグチが最晩年の1987年に制作した金属彫刻作品「Circles」。髙橋が敬意を寄せていたイサム・ノグチの同作品には、年月とともに表面に生じた錆と、磨き上げられた金属の鏡面という2つの時間が共存している。時間が残す痕跡と、人が手を加えることによって生まれる変化。その両面から物の本質を見つめる視座は、まさにT.Tの創作姿勢そのものだ。

イサム・ノグチの金属彫刻作品「Circles」
空間の中心に据えられた神代杉の一枚板のテーブルで供されるのは、「御菓子丸」を主宰する杉山早陽子による茶菓懐石。髙橋の彫刻作品「無限塔」から着想を得て、食べ進めるにつれてパッションフルーツから金木犀へと味わいが移ろう琥珀糖「うつろひ」をはじめ、布のドレープを求肥で象った雪平餅「白妙」、粒餡に舞茸のクリームを重ねた最中「すなふ」など、独創的な品々が玉露や抹茶とともに提供される。










アート展示に作家の磁器販売も
T.T 御所南では、順次アート展示も企画する。こけら落としとして11月1日まで開催される展覧会では、原点という概念を「水の循環と変化」を手がかりに考察。茶室空間には、和泉侃による作品「Research on Olfactive Display」が展示され、潤いと乾きという対極的な状態を香りで表現している。茶室を抜けた先では、トモコ・ソヴァージュによるサウンド・インスタレーション「In Curved Water」が日本初公開され、空中に吊るされた氷塊から融け落ちる水滴が室温や水量によって刻々と変化する響きを空間にもたらしている。

トモコ・ソヴァージュによるインスタレーション「In Curved Water」
T.T 祇園と異なる点として、T.T 御所南では気鋭の作家たちの作品を販売。髙橋のドレープ作品から着想を得て制作された佐藤聡の宙吹きガラス作品をはじめ、常滑の歴史や素材を手がかりに制作する高橋孝治の急須、かつて途絶えた「糸切成形」を研究し四季の移ろいを絵付けに映した浜野まゆみの磁器などを取り扱う。
最終更新日:
◾️T.T 御所南
オープン日:2026年10月28日(水)
所在地:京都府京都市中京区富小路通二条下る俵屋町188
営業時間:12:00〜19:00
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