中村聖哉(Seiya Nakamura)
中村聖哉(Seiya Nakamura)
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Fashionインタビュー・対談

“浅はかな新しさはもういらない” 世界が注目する日本人 中村聖哉が語るこれからのファッションに必要なこと

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 ブランドデベロップメント・エージェンシーとして2014年に設立され、現在はパリや東京、香港、上海にオフィスとショールームを構えているSeiya Nakamura 2.24。世界で注目を集めるデザイナーズブランドや企業の「ブランド/ビジネスデベロップメント」を手掛けている同社は、今年「クレージュ(Courrèges)」や「ガニー(GANNI)」、「リック・オウエンス(Rick Owens)」などのブランドと契約し、また世界一のショールーム「247」とも提携。今やグローバルで業界のキーマンとなった中村聖哉(Seiya Nakamura)氏は、未来を見据えファッション消費に対する価値観に変革を起こそうとしている。同氏が考える2022年以降のファッションに必要なものとは何か、進行中のプロジェクトとその意図から紐解いていく。

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トップブランドやニュータレント、業界屈指の伊ショールーム「247」、「Slam Jam」と契約。世界最高峰のショールームに

前回のインタビューはコロナ前に実施したので1年半ぶりですね。

 あれから僕らの会社もガラリと変わりましたが、社会も予想以上の早さで思い描いていたものに近づいたなという印象です。近年急速にデジタル化が波及したことで情報や価値観が一般化され、どこにも色がない状態でした。今は渡航ができなくなったことが追い風となって更にデジタル化が進んでいますよね。デバイスさえあれば、誰でも手軽にコンテンツや体験にアクセスできる様になったわけです。

 それとは別軸で、地域ごとに特殊なカルチャーが勃興しはじめたり世界各地でローカライズが起き始めている。それこそ日本も最近は地方のセレクトショップが元気だったりするわけじゃないですか。地方ではスペースをより確保しやすいわけで、お店とブランドが世界観を最大限引き出せるような、ストーリーテリングかつリッチでエクスクルーシブな空間を演出できたり、そこに行くことでお客さんがモノ以外でブランドとのシナジーを感じられたり。デジタルではまだ到達していないオフラインの価値を提供できるわけです。欧米やアジアのクリエイターたちと話していると、ファッションデザイナーに限らずアーティストやミュージシャンの志向もシフトしてきている様に感じますね。

コロナ禍でも業績は好調だと聞きました。

 売り上げは前年比で倍以上になりましたし、クライアント数も約20社だったのが今は46社まで増えました。新しく「アリーズ(Aries)」や「クレージュ(Courrèges)」、「ゴールドウイン(Goldwin)」、「ガニー(GANNI)」、「リック・オウエンス(Rick Owens)」といったブランドや企業ともコントラクトを結んだところです。現在も、大手ブランドやグループ企業12社との交渉が進行中でして、来年の1月中には50社を超えるクライアント数になる予定です。

それらのブランドとはどういった契約を結んだんですか?

 クライアントによって契約内容は様々ですが、アジア全体や中国、日本におけるクライアントのデベロップメント、マーケティング、中国におけるSNSマーケティング、セールス、PR、コンサルティングなどの幅広い契約を結んでいます。以前と比べて僕ら自身がより地域性を持つことにより、ブランドや企業に対し包括的で多角的なソリューションを提供する事が可能になったことで、多くのオファーを頂けるようになったと考えています。

 以前はグローバルでのブランドデベロップメント、セールスやコンサルティングの契約が殆どでした。でも、コロナ以降は求められることが徐々に変わってきている様に感じます。自分たちも自社の価値や強みをより鮮明に認識できるようになり、僕らが提供できるソリューションを通してクライアントにどうやって貢献できるのか更に明確になったと思います。

 昔は、自分の事を説明しても「何をやってる人か分からない」とかよく言われたもんです(笑)。でも、業界やビジネスのあり方も変わってきて、今は以前より僕らのビジネスや思い描いていたことが理解されやすい世の中になったと感じます。

加えて今年新たに「アーペーセー(A.P.C)」や「3.1 フィリップ リム(3.1 Phillip Lim)」などを扱う伊ショールーム「247(トゥーフォーセブン)」、ステューシー(STÜSSY)」や「カーハート WIP(Carhartt WIP)」「ビズビム(visvim)」などのディストリビューターでセレクトショップも運営している「スラムジャム(Slam Jam)」と提携したそうですね。

 アジアのストラテジックパートナーとして、ストリート系ショールームで一番と評されるスラムジャム、そして欧米のストラテジックパートナーとして、ショールームに特化したビジネスでは世界で1番大きいシェアを誇る247と組むことで、これまで以上に多角的で高度なソリューションを提供できるようになったと考えています。ホールセールの価格で言えば、うちの取り扱い額は世界トップレベルで、レート次第では下代100億円以上(上代金額約230億~260億円程度)となります。247はそれ以上あるんですが、このパートナー契約によってSeiya Nakamura 2.24と247は世界最大のホールセールネットワークを構築することになります。

Seiya Nakamura 2.24 ブランドラインナップ(計46クライアント)
amachi.、Aries、CFCL、Christopher Kane、Courrèges、DRKSHDW、DION LEE、Edward Cuming、Feng Chen Wang、FUMITO GANRYU、GANNI、Goldwin、HACCI、HELIOT EMIL、HOLZWEILER、KNWLS、KWAIDAN EDITIONS、NAMACHEKO、NAMESAKE、Nanushka、Mame Kurogouchi、Paula Canovas del Vas、PETER DO、Rick Owens、ROA、SONG FOR THE MUTE、Stefan Cooke、Soho House Shanghai、STYLEM Takisada、Taiga Takahashi、th products、TOMO KOIZUMI、WE11DONE etc. 

247 ブランドラインナップ(計41クライアント)

3.1 Phillip Lim、A.P.C.、ami、Andreādamo、ARDUSSE、Arnar Mar Jonsson、BARBISIO、BARENA VENEZIA、C2H4、CHOPOVA LOWENA、CLOT、CLOTTEE、Collina Strada、DION LEE、DRÔLE DE MONSIEUR、HELIOT EMIL、JOHN ELLIOTT、KNWLS、LOW CLASSIC、MACKINTOSH、MAISON ULLENS、Marco Rambaldi、MISSONI、Nanushka 、NODALETO、Panconesi、Proenza Schouler、R13、Renaissance Renaissance、RHUDE、RUS、SEASE、SUNFLOWER、Supriya Lele、VEILANCE etc.

Slam Jam ブランドラインナップ(計17クライアント)
GENTLE MONSTER、Mr. Leight、visvim、ALPHA INDUSTRIES、MEDICOM TOY、Garrett Leight、Guess USA, Carhartt WIP、JASON MARKK、CONVERSE、SUICOKE、STÜSSY、The Salvages、JEAN LUC A. LAVELLE、NORTHWAVE、ROAARIES

247はその他にも「プロエンザ スクーラー(Proenza Schouler)」や「マッキントッシュ(MACKINTOSH)」「ナヌーシュカ(Nanushka)」など約40ブランドを持っていますが、Seiya Nakamura 2.24では全てのブランドのアジア市場に向けたセールスを行っていく?

 247とスラムジャムが抱えるブランドをアジアで広めていくことが本パートナーシップの主なミッションです。ただ、ストラテジックパートナーですので共同で新規クライアントを開拓したり、ゼロからブランドを作ったりする事も今後考えられます。

かなりの規模ですね。

 以前はパリである程度のことが完結していましたが、今はコロナで人を集めてファッションウィーク自体を開催することすら難しい状況です。変化のサイクルに追従する為には、やはりその地域に特化した企業との協力が必須なわけです。それで247とスラムジャムはアジア展開を拡大するために、既にアジアンマーケットで信用を築いてきた僕たちとタッグを組むことを決めたんだと思います。

Seiya Nakamura 2.24では「ピーター ドゥ(PETER DO)」や「マメ クロゴウチ(Mame Kurogouchi)」「ガニー(GANNI)」などのブランドも抱えています。錚々たるブランドからオファーが来る理由をどう分析していますか?

 僕たちはただのセールスでもショールームでもなく、コンサルティングも含めたブランドデベロッパーとして仕事をしていて、正直グローバルで見ても業界でほとんどコンペティターがいないんですよ。ブルーオーシャンであることと、サポートできる業務の「幅」、そして「ネットワーク」が強みだと思います。あとはやはり中国市場に寄与できていることが大きな要因ですかね。今ファッションが実際に動いているのはアジア、特に中国ですが、内情が見えづらく変化が著しいので新規参入のハードルはかなり高い。パートナーを選定する際にも信用が非常に重要な為、僕らみたいに隣国でグローバルに展開しており、現地での実績がある会社は貴重なんだと思います。

 この間香港に子会社を作ったんですが、アジアにおける最先端のラグジュアリーショップ・ディストリビューターとして有名な「ジョイス(JOYCE)」の元ヘッドオブマーチャンダイズ、つまりバイイングのトップであるMichael Mokを弊社のCBOに抜擢するなど、グローバル人材の採用も積極的に行っていて。この業界は信用商売だからこそ、ジョイス出身の彼のようにグローバルで活躍してきた実績と業界内でのコネクションがある人材がいることも支持されている理由の一つだと思います。国内においてはゴールドウインや瀧定といった日本の大手企業からもお話を頂くようになりました。

ゴールドウインとはどんな契約を?

 12月27日にゴールドウインが中国初の店舗を北京にオープンしたのですが、オープンに至るまでのマーケティングや新規プロジェクトのコンサルティングを主に担当しています。

ゴールドウイン 北京

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Seiya Nakamura 2.24にアドバイスを求めている企業やブランドも多そうですね。

 そうですね。とてもありがたいことだと思っています。特にコロナ禍で市場の不透明性が強くなり、動きも早くなったことでブランド単体では追えない環境になっているのが今。ゲームが明らかに変わったというか、今までのままで良かったものが良くなくなっていたりする。僕らは規模が大きい有名なブランドや企業だけではなく、若いブランドやニュータレントにも力を入れていて、それは新しい才能に触れることがある意味ビジネス以上に大事だと考えているからです。大きいビジネスを回す一方で、「アマチ(amachi.)」や「ステファン クック(Stefan Cooke)」、「タイガ タカハシ(Taiga Takahashi)」、「ポーラ・カノヴァス・デル・ヴァス(Paula Canovas del Vas)」といった若いデザイナーの考え方もリファレンスとして持っているというのは、Seiya Nakamura 2.24の強みだと思いますね。

Seiya Nakamura 2.24では何に力を入れていく?

 ブランドデベロップメントに関しても、もちろんこれまで以上にやっていくんですけど、次のステップとしてストーリーテラーからストーリーメーカーとしての側面を強めていく必要があると考えています。

中村さんは「シーエフシーエル(CFCL)」や「フミト ガンリュウ(FUMITO GANRYU)」「ナマチェコ(NAMACHEKO)」では立ち上げからブランド運営に参画していますが、同じように新たにブランドを立ち上げるということですか?

 そうですね。自分が主体となってゼロから何かを作り上げるというか、しっかりと自身が核となって運営していきたいと考えています。もちろんファッションブランドじゃなくてもいいと思っていて、ファッション性を最大限に活かしたビジネスを本格的にスタートさせます。それを通して新たな価値観の醸成や僕自信の表現の幅を更に広げていきたいと考えています。

「意味のないコラボはもういらない」行き過ぎた記号消費を問う

ローカライズされたものが点在していく世界では、誰かがハブにならないとそもそも知り得ないわけで、それをSeiya Nakamura 2.24が担っていくという事ですね。

 そうなっていけばと考えています。もちろんこれまで通りの活動もより加速させますが、ローカライズされた新しい価値観を育てていく必要もあると思っています。前回のインタビューでもお話ししましたが、活動拠点を広げる為、まずコロナの影響で予定よりも着工が遅れているベルリン支部を完成させ、デジタルを駆使したクリエイティブエージェンシーを発足させようと考えています。更に来年から再来年を目処にロサンゼルスや東南アジアなどにも新たに支部を作る予定です。

時代が変わったとのことですが、中村さんは現状をポジティブに捉えている?

 先ほどもお伝えしましたが、コロナ前の世界は良い意味でも悪い意味でも表層的で一般化された側面がありました。しかし、ローカライズの活性化によって本当にそこに行かないとわからないことや現地での経験を重視したエクスクルーシブな活動が増えてきています。個人的に過度に分かり易く一般化された世界は単純すぎて面白くないと思っていたので、ユニークな方向に向かうんじゃないかと。それこそ意味のないラベルの張り替えだけのコラボレーションなんてもういらないと思うんですよね。

コラボばかりですよね、ファッションの世界は。

 何をもってのコラボなのかと問いたくなりますよね。表層的になんとなく新しいものを作るというのは、ある意味「ファッション性」の極地ではあると思うんですが、今はそれが毒となって、新しさを生む分、古さもすぐ生んでしまう。念の為お伝えすると、僕は新しさの追求もファッションの良いところだと考えています。ですが、上辺だけのファッション性が世の中をダメにしている原因の一つでもある。古さを感じさせるから人は新しいものを欲しがるわけで、古さを与えず普遍的な価値を保ちながらそれをアップデートしていく方法はないか、ということも僕は考えていきたい。それこそ若いデザイナーたちからはそういう意識をすごく感じます。新しさを煽るようなモノづくりだったり、新しくないとファッションじゃないという感覚は浅はかで、それはいわゆるサステナブルともリンクしてくる部分だと思います。

デザインが変わらない同じ服を作り続けて売るということですか?

 同じ服を作り続けるでも良いとは思いますが、僕が言いたかったのは新しさが完全になくなるなんてことはもちろんなくて、浅はかな新しさ、例えばロゴをコピペして新しく見せるような安易な発想はもう必要ないんじゃないかということです。一方で芯のある蓄積されたクリエイションから出る新しさというのは、古くなりづらいと思います。1970年代の欧米諸国では毛皮を着て肉を食べていた人たちがラグジュアリーとされた時代ですが、今リアルファーを着て歩いていたら時代遅れと思う人もいるわけで、この50年で価値観は大きく変わった。ファッションにおいて古さというものは絶対に排除される対象で、それでもアーカイヴとして著名なデザイナーたちの服が残るのはリファレンスとしての価値があるからでしょう。古着ではなくてアーカイヴと呼ばれるようになったのは近年だと思うんですが、僕はその言い回しにすごく共感できる。アーカイヴとして残るかどうかは結果論ではありますが、それでも未来に価値観を残していくことを念頭に置いたクリエイションは大切だと考えています。

そのために実践していることは?

 「CFCL」でやっていることもまさにその一つですね。表層的で無責任なクリエイションを避け、現代社会における普遍的な価値のアップデートをブランドコンセプトとして提示しています。シーズンを重ねてきて、周りから「もっと新しいデザイン出さないの?」とか「もっとデザインを変化させていかないの?」と言われることもあるんですが、もちろん必要に応じて柔軟にアップデートしていく事はあるけれど、安易に新しさを追っていくかと言ったら絶対しない。それは高橋(CFCLのクリエイティブディレクターの高橋悠介)と僕の共通認識としてあるので。

「シーエフシーエル(CFCL)」Vol.3コレクション

ファッション消費に対する価値観を変えようとしている。究極ですね。

 多分それをしないとこの業界は続かないと思うんです。燃料に限りがあるのはわかっているのに、誰かが救ってくれるだろうと他力本願になるのも違うと思いますし。新しさってファッションにとっては麻薬みたいなもので、でもそれがないからって生きていけないのか、高揚感を持てないのかというとそんな事はない。ビジネスのために麻薬を打ち続けてきたのが今のファッション業界ですが、そろそろシラフに戻ってそれこそ持続可能なことをやっていく必要があるんじゃないかと。

 今回のコロナで世界的に貨幣の供給量を増やしたのでお金の価値が激変しているわけじゃないですか。そういうのを見ていると、お金の価値ってなんなんだろうなと思うわけですよ。実際お金がなくても楽しめる世の中になってきていると思いますし、特に若い世代はお金よりも経験にプライオリティを置いている。未来を作っていく次世代を見ることが未来だと思うので僕は注目しているんですが、彼らはもっと感覚や体験を重要視しており、スペーシーな方向性に向かっているんですよ。

スペーシーというのは?

 より広いところを求めているという意味です。ファッションというカテゴリーに執着していなかったり、広い敷地で何かやりたいと考えていたりと、若い世代は色んな意味でスペーシーな感覚を求めているというか。実際「タイガ タカハシ」は京都に総合芸術空間を作り、物理的にも感覚的にもファッションの枠を超えた表現をしています。

タイガ タカハシ「T.T」

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日本で言えば、基本的にブランドを立ち上げるとなったら東京を拠点にするというのが一般的ですが、それもこれから変わっていくかもしれませんね。

 そう思います。東京がダメというわけではもちろんないですが、最先端のトレンドや価値観を生み出すのに必ずしも大都市を拠点にしなくてはならないという時代では無くなってきていると思います。クリエイションにしっかり意味やコンセプトを持たせるとなれば、東京以外の選択肢でも良いというのは往々にしてあると思います。

「日本の水はブランディングされていない」ファッションクリエイションの可能性

今後挑戦したいことは?

 ものではなく、感覚の部分に価値を付けていきたいですね。先程お話ししたように、ファッションにおける既存のビジネスモデルは世界全体で見たらこれから間違いなくシュリンクしていくでしょうし、ただ服を作って売るみたいな事が難しくなる時代が来始めていると思います。それが先ほどお伝えした所謂既存のファッションビジネスとは異なるビジネスに着手することです。

既存のファッションビジネスとは異なるビジネスというのは具体的には?

 日本の文化に携わるブランディングビジネスを進めたいと考えています。今のビジネスに携わることになってからこんなに長い期間日本にいたのは初めてで、そこで様々な気づきがありました。例えば、日本ってこれだけ文化として食やファッションがあるわけで、ブランディングといえばパリというイメージがありますが、日本にはパリをも超えるストーリーや文化、そしてキャラクター性があり、僕はそこに凄く可能性を感じている。ただ一方で、日本では水という最もエッセンシャルな部分が、世界的に見たら全くブランディングされていないんですよね。既に食に関しては、日本食の価値はトップであり、ミシュランガイドを見ても都市別の星の獲得数は東京が1位、京都が3位です。なのに海外の高級日本食レストランに行ったら、フィジーウォーターが出てきたりするわけで。なんで日本料理を提供しているのに水だけフィジー共和国なんだと疑問に思うんですよ。それは欧米のディナーテーブルに合うようなファッション性のあるパッケージやボトルがまだブランディングされておらず、日本の水が海外において認知されてないっていう事ですよね。僕はそういうエッセンシャルなものや文化、ファッション性を生み出す可能性のあるものに価値を付けていきたい。ファッションはもちろん、ファッション以外のものにも新しい価値観を作っていきたいというのは会社としての大きな目標の一つです。

まもなく2022年になりますが、来年は何に取り組んでいきますか?

 今まで取り組んできた事は引き続き加速させます。新しい事でいえば、ファッションECサイト「エッセンス(SSENSE)」が投資するプロジェクトに今までも関わらせて頂いていましたが、来年新たにブランドをローンチする予定です。CFCLも来年からパリコレクションを皮切りに本格的に海外進出を進めます。また、いま上海のザ・バンドに約400平方メートルのスペースを確保してショールームを作っていて、中国での僕らの立ち位置をより強固にしたいと思っています。あと、僕個人としては地方に大きな土地を所有して、面白いことをしたいなと考えています。これまで僕らの仕事は感覚の部分で共有していたところがあったので、それを可視化するスペースを作りたいなと。

ディズニーランドのようなものですか(笑)

 僕の中では(笑)。いずれにしても徹底したコンセプトを持った、体感できるスペースにする予定です。やっぱり言葉で表現するには限界があるので。浅はかではない新しさを体感できる場所ができれば、お世話になった人にたちへの恩返しにもなりますし、人々を刺激できるスペースにもなり得るんじゃないかなと考えています。あと情報の代謝を絶えず高めておきたいので、新しいジェネレーションと一緒に作りたいという気持ちが強いですね。うちの会社にも若くて、様々なバックグラウンドを持つ社員が多く、常に新しく多様な価値観を持つ会社であり続けられるよう心がけています。

 加えて、人はより物質的な価値ではなく自分の経験に時間やお金を使っていく世の中になると思います。特にニュージェネレーションや先進国ではそれが顕著で、そこの中心に日本がなっていくこと、そしてSeiya Nakamura 2.24がその中核になっていかなければならないと考えています。

(聞き手:芳之内史也)

Seiya Nakamura 2.24 オフィシャルサイト

世界ファッション・デザイナー名鑑
著: リンダ・ワトソン
翻訳: 河村 めぐみ
メーカー: トゥーヴァージンズ
発売日: 2021/03/26
価格: ¥4,180(2021/12/29現在)

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