ADVERTISING

初心者向け「3Dプリンター」徹底ガイド|個人の活用法と作品例

 1980年代に発明され、2009年頃から一般向けにも販売されはじめた「3Dプリンター」というハイテク機器。ここ数年でよく耳にすることが増えてきたように感じます。しかし、生活に馴染みのある製品とはいえず、実際に触ったり使ったりしたことがある人はまだまだ少ないのが現実でしょう。

ADVERTISING

 あまり私たちの日常生活とは近くないように思えるこの技術ですが、意外と身近なところで活躍の場を広げています。とくにファッション業界では名だたるブランドがコレクションに取り入れ始め、その余波が広がるように、服飾や美術を専攻する学生たちの間でも作品制作に役立てるツールとして活用例が増えています。

 そこで本記事では、3Dプリンターの基礎知識をはじめ、ビジネス・個人それぞれの利用者のインタビューと実際の作品、主要2種類の使い方、都内の体験スポットまで徹底ガイド。誰が読んでもすぐに実践できる内容に仕上げました。

【入門編】超基礎!3Dプリンターの概要

 「名前は知っているけれど、実は何ができるのかよくわかっていない……」という方もご安心を。何を隠そう、筆者自身も全くの素人からのスタートです!まずは初心者が最初に押さえておきたい基本から見ていきましょう。

💫そもそも「3Dプリンター」とは?

  簡単に説明すると、「デジタルデータを、現実の立体物に変換するコピー機」です。3Dモデルデータをスライスデータと呼ばれる一定間隔の断層データに加工し、樹脂や石膏、金属といった素材を薄く何層にも積み上げていくことで形を形成。この「積み上げる」というプロセスが最大の特徴で、専門的には「積層造形」と呼ばれています。

 従来だと、プラスチック製品などの製造には鉄の「金型」を作る必要がありましたが、3Dプリンターはデータさえあれば1個から製作が可能なため、これまでの「コスト」と「時間」の常識を覆しました。これに加え、削ったり、型に流し込むなどして行う製造方法では不可能だった「複雑な網目構造」や「中が空洞の物体」も、積み上げて作る3Dプリンターであれば自由に製作することができます。

🙆‍♀️3Dプリンターを使用するメリット

  • 型がなくてもダイレクトに造形ができるため少量生産を短時間で実現することができる
  • 形状の制限が少なく複雑な形状の造形が可能で、軽量化や高機能化に有利な点

🙅‍♀️3Dプリンターを使用するデメリット

  • 1個当たりの造形には時間がかかるため大量生産に向いていない
  • 縦、横、斜めで強度が異なることがあり、特に造形方向に対する強度が低い傾向があること

3Dプリンター製作した作品の例(港区立産業振興センター)

Image by: FASHIONSNAP

💫4つの造形方法を紹介

 3Dプリンターには、大きく分けて4つの造形方法があるそう。それぞれ何が違うのか?特徴や主な使い道について見ていきましょう。

監修:DMM.make 3Dプリント

1️⃣粉末焼結積層造形方式(SLS(Selective Laser Sintering))

 高出力のレーザー光線を粉末状の材料に照射し、焼き固めて層を重ねていく造形方式です。ナイロンなどの樹脂粉末を材料に使用するのが一般的ですが、この技術を金属に応用し、金属をレーザーで完全に溶かして固める金属溶解積層方式「SLM(Selective Laser Melting)」も存在します。

 この方法では、ナイロンや金属など高強度な材料を使用することから主に産業用アイテムの製作に用いられます。試作品はもちろん、実製品の製造まで幅広く活用することが可能です。特に、金属粉末素材を使用してプリントしたものは、ジェットエンジン用部品や医療用インプラントなど、工業製品の製造にも役立っており「年率50%の成長を達成するいま最も旬な3Dプリント方式である」とするレポート(資料提供:Global Metal 3D Printing Analysis)も発表されているそう。

2️⃣光造形方式

 光硬化(ひかりこうか)タイプの液体樹脂に紫外線を当て、一層ごとに樹脂を硬化させながら立体物を造形する方式。一層分の光硬化が済むと、プラットフォームと呼ばれる造形物が設置されている造形台が垂直方向に移動し次の層を造形します。この動作の繰り返しにより、光硬化樹脂を硬化させながら積層造形を行います。

 この方式の特徴は、細部の再現性が高く、表面が滑らかで積層痕が目立ちにくいこと。そのため、フィギュアやジュエリーの原型や精密な試作用途に使用されています。

3️⃣インクジェット方式(マテリアルジェッティング方式)

 インクジェットプリンターのインクの代わりに紫外線硬化性樹脂を使用する造形方式です。プリントヘッドから微細な液滴を噴射し、紫外線を当てて1層ずつ固めながら積層していきます。

 高い造形精度に加えて、多様な表現ができることから注目度が高く、メーカー各社が独自の特徴を持った機種を展開しています。

 例えば、複数の材料を同時に噴射し、フルカラー表現や異素材の組み合わせを実現する高度な機種が登場しています。ほかにも、ワックス製サポート材を加熱溶解して繊細な細部を綺麗に仕上げる機種や、水溶性のサポート材を用いてオフィスでも手軽に運用できる機種など、ニーズに合わせた進化が続いています。

4️⃣熱溶解積層方式(FFF(Fused Filament Fabrication))

 ABS樹脂やPLA(ポリ乳酸)といった熱可塑性樹脂を融解させ、0.1mm~0.8mm程度の細いノズルの先端から溶解した樹脂を吐出し積層する造形方式。この技術をベースにした低価格帯の機種が多く生まれ、コンシューマー向け3Dプリンターの主流となっています。

 工業用途では、エンジニアリングレベルの熱可塑性プラスチック特性を活かし、試作を製作する際に活用。他の造形方式モデルと比較して安価なため、3Dプリンターの初期導入としておすすめです。

ファッションブランド&企業の活用例

 ファッションブランドの活用例もリサーチ。特に印象的なのは、「イリス ヴァン ヘルペン(Iris Van Herpen)」が2010年に発表した「Crystallization」コレクション。

 フランス・オートクチュール・プレタポルテ連合会(通称:サンディカ)」が主催する公式カレンダー(パリ・ファッションウィーク)のランウェイで、歴史上初めて3Dプリンターを活用した衣装を発表し、パリ装飾美術館の永久収蔵品とされています。

1 / 16
シャネル 2015年秋冬オートクチュールコレクション
シャネル 2015年秋冬オートクチュールコレクション
シャネル 2015年秋冬オートクチュールコレクション
シャネル 2015年秋冬オートクチュールコレクション
シャネル 2015年秋冬オートクチュールコレクション
シャネル 2015年秋冬オートクチュールコレクション
シャネル 2015年秋冬オートクチュールコレクション
シャネル 2015年秋冬オートクチュールコレクション
シャネル 2015年秋冬オートクチュールコレクション
シャネル 2015年秋冬オートクチュールコレクション
シャネル 2015年秋冬オートクチュールコレクション
シャネル 2015年秋冬オートクチュールコレクション
シャネル 2015年秋冬オートクチュールコレクション
シャネル 2015年秋冬オートクチュールコレクション
シャネル 2015年秋冬オートクチュールコレクション
シャネル 2015年秋冬オートクチュールコレクション

Image by: ©Launchmetrics Spotlight

 また、「シャネル(CHANEL)」も比較的早い段階で活用。2015年秋冬のオートクチュールコレクションでは、3Dプリンターで作成したパーツで立体的なツイードを作り上げていたり、網目状のパーツをキルティング風に加工するアプローチを披露。メゾンが誇る伝統的な職人技を組み合わせることで、デジタル特有の異物感を感じさせない仕上がりを実現しました。

1 / 12
ユイマナカザト 2017年春夏オートクチュールコレクション
ユイマナカザト 2017年春夏オートクチュールコレクション
ユイマナカザト 2017年春夏オートクチュールコレクション
ユイマナカザト 2017年春夏オートクチュールコレクション
ユイマナカザト 2017年春夏オートクチュールコレクション
ユイマナカザト 2017年春夏オートクチュールコレクション
ユイマナカザト 2017年春夏オートクチュールコレクション
ユイマナカザト 2017年春夏オートクチュールコレクション
ユイマナカザト 2017年春夏オートクチュールコレクション
ユイマナカザト 2017年春夏オートクチュールコレクション
ユイマナカザト 2017年春夏オートクチュールコレクション
ユイマナカザト 2017年春夏オートクチュールコレクション

Image by: ©Launchmetrics Spotlight

 日本人として、森英恵に続く2人目のオートクチュールの参加メンバーとなった「ユイマ ナカザト(YUIMA NAKAZATO)」は、2016年秋冬のデビュー作「UNKNOWN」で3Dプリンターやホログラムを用いた幻想的な氷河の世界を表現。続く2回目の参加となった2017年春夏コレクションではそのテクノロジーをさらに進化させ、「火・風・水・土」の4大元素をモチーフに、無数の3Dプリンターパーツを職人の手作業で組み合わせることで、針と糸を一切使わない革新的な「未来の衣服」を表現したピースを発表しました。

◾️ その他、ブランドの活用例

【実践編】3Dプリンターを思い通りに操るためのロードマップ

 記事の冒頭で4つの主な造形方法について説明しました。この記事では、中でも「熱溶解積層方式(FFF)」「光造形方式」に関する基本的な使い方と必要なツールやアプリケーション、道具などを説明します。

熱溶解積層方式(FFF)の使い方

 この造形方法は、「フィラメント」と呼ばれる樹脂の糸を熱で溶かしソフトクリームのように積み上げて形を作る方式です。

3Dプリンターの機械画像
3Dプリンターの機械画像

熱溶解積層方式(FDM)の3Dプリンター「Bambu Lab A1 mini」

Image by: FASHIONSNAP

🧰必要なツール

  • フィラメント
    出力する際の材料。PLA、ABS、PETGなど。
素材画像

熱溶解積層方式(FDM)に必要な素材であるフィラメントの一例。さまざまな色がある。

Image by: FASHIONSNAP

  • スクレーパー
    完成した造形物をプラットフォームから剥がすために使用するヘラ。
  • ニッパーやラジオペンチ
    サポート材を取り外す際に必須。
  • スティックのり・定着スプレー・マスキングテープ
    機械の種類によっては、造形中の剥がれを防ぐためプラットフォームに塗布する。

⚙️基本的な使用方法

  1. データ準備
    3D CADソフト等で作成した3Dデータ(STL、OBJなど)をスライサーソフトに読み込み、プリント用のデータ(Gコード)に変換する。
  2. 本体の準備
    プリンターにフィラメントをセットし、ノズルとプラットフォーム(造形ベッド)を適温に加熱する。
  3. プリント開始
    データに従ってノズルが動き、溶けた樹脂を積み上げていく。
  4. 取り外しと仕上げ
    造形完了後、プラットフォームから作品を剥がす。宙に浮いた部分を支える「サポート材」がある場合は、ニッパー等で取り除いて完成。

⚠️注意点

  • 稼働中のノズルは200℃〜300℃、プラットフォームも60℃〜110℃近い高温になるため、接触による火傷に十分注意する
  • ABSなど特定のフィラメントを使用する場合、溶解時に特有の臭気や微粒子(VOC)が発生するため、作業空間の定期的な換気を行う

光造形方式の使い方

 この造形方法は、液体の「UVレジン(紫外線硬化樹脂)」に紫外線を当てて一層ずつ固めながら引き上げていく方式。非常に高精細な造形が可能です。

3Dプリンターの画像
機械画像
機械画像

光造形方式(SLA)の3Dプリンター「ELEGOO Saturn 4 Ultra 16K」

Image by: FASHIONSNAP

🧰必要なツール

  • UVレジン液
    出力する際の材料。水洗いレジンやABSライクレジンなど。
素材画像

光造形方式(SLA)に必要なレジン液。

Image by: FASHIONSNAP

  • ニトリル手袋・保護メガネ・換気マスク
    液体レジンはアレルギー物質であり、直接触れるのは危険なため安全装備として必須。
  • 洗浄液
    IPA(イソプロピルアルコール)やエタノールなど。水洗いレジンの場合は水道水でも可。
  • 洗浄容器
    造形物を洗浄する際に必要。タッパーなどでも可。
  • UVライト
    二次硬化させるためのツール。専用の二次硬化機(キュアステーション)というものもある。
  • ペーパータオル
    拭いたり、敷いたりと様々な用途で使用。
  • シリコンマット
    作業台の汚れ防止に使用。
  • フィルター
    レジンを濾過するのに使用。

⚙️基本的な使用方法

  1. データ準備
    光造形専用のスライサーソフトでデータを変換する。積層方式よりもサポート材の付け方が重要になる。
  2. 本体の準備
    レジンバット(容器)に液体レジンを注ぐ。
  3. プリント開始
    プラットフォームがレジンに浸かり、下からUVディスプレイが紫外線を照射して一層ずつ固めていく。
  4. 洗浄と二次硬化
    造形完了後、作品には未硬化のレジンが多く付着しているため、IPAなどの洗浄液で洗う。水洗い可能なレジンの場合は水を使用。その後、UVライトを当てて中までしっかり固める「二次硬化」を行って完成。

⚠️注意点

  • 未硬化の液体レジンは皮膚に付着するとレジンアレルギーを引き起こす恐れがある。作業時は必ずニトリル手袋等の保護具を着用し、素手での接触は厳禁とする。
  • 洗浄に多用するIPA(イソプロピルアルコール)は揮発性と引火性が高いため、周囲は火気厳禁とする。また、レジンの気化ガスを吸い込まないよう、換気マスクの着用と徹底した部屋の換気が必須となる。
  • 未硬化のレジンや洗浄液を下水に流すことは環境汚染に直結するため絶対に禁止されている。拭き取ったペーパー類も含め、必ず太陽光やUVライトで「完全にプラスチックとして硬化させてから」各自治体のルールに従って廃棄する。

 両方の造形方法に共通して必要なアプリケーションとして、「フュージョン360(Fusion 360)」や「ブレンダー(Blender)」など立体データを作るための3Dモデリングソフト(CAD/CGソフト)と、「キュラ(Cura)」や「プルーサスライサー(PrusaSlicer)」、「チトゥボックス(CHITUBOX)」といった3Dデータをプリンターが理解できる命令文(Gコードなど)に変換するスライサーソフトがあります。

 また共通の注意点として、プリントには長時間を要することが多いものの、機材トラブルや発火のリスクを防ぐために完全に無人の状態での稼働は極力避ける必要があります。さらに、FDM方式における駆動部のグリスアップや、SLA方式におけるレジンバットのフィルム状態の確認といった定期的なメンテナンスを怠らないことも、安全な運用に欠かせません。

【インタビュー】愛用者に学ぶ3Dプリンター活用法と作品例

 基礎知識を学んだだけでは、実際にどのようなものが作れるのか、その具体的な可能性をイメージするのは難しいかもしれません。そこで、3Dプリンターを表現のツールや商売道具として日常的に活用している3人のクリエイターを取材し、リアルな活用事情に迫ります。

#1 藝大院生 黒澤忠嗣

黒澤忠嗣

Tadatsugu Kurosawa

1998年、茨城県生まれ。2024年3月に多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コースを卒業。在学中はメディアラボに所属し、アルデュイーノ(Arduino)や3Dプリンターを活用したキネティックな作品を中心に制作。現在は東京と茨城の2拠点で活動しながら、東京芸術大学美術研究科先端芸術専攻に在籍している。

使用している機械

  • Elegoo - Neptune max (FFF)
    参考価格:約5〜6万円
  • FLASHFORGE - DREAMER (FFF)
    参考価格:不明
  • Elegoo - OrangeStorm Giga (FFF)
    参考価格:約40万円 ※大学機材
  • ANYCUBIC - Photon mono 4K(光造形方式)
    参考価格:約2〜3万円
icon

黒澤さん

大学の機材「Elegoo - OrangeStorm Giga (FFF)」以外は私物です。茨城のアトリエに置いて作品制作に活用しています。 

1辺が400mm以下の作品は「Elegoo - Neptune max(FFF)」、より細かい造形や透明な素材での造形は「ANYCUBIC - Photon mono 4K(光造形方式)」、1辺が400mmを超える大きな作品は、大学の機材「Elegoo - OrangeStorm Giga (FFF)」、試作品や彫刻的な造形ではないものは「FLASHFORGE - DREAMER (FFF)」など、それぞれ出力する作品によって機械を使い分けています。

製作した作品

3Dプリンターで制作した樹脂素材の蕾

素材:樹脂 黒澤忠嗣《蕾》 2024年 27.5×24.7×20.7cm

Image by: FASHIONSNAP

icon

黒澤さん

この作品は、グーグルトレンド(Google Trends)のデータから見えてくる世の中の流れを、ジェミニ(Gemini)を活用して「現代の寓話」として表現したインスタレーションなんです。デジタルデータを映像や音、そして実際の立体物に置き換えることで、空間全体で「情報の肉体化」を試みました。

3Dプリンターで制作した樹脂素材のGhost Capture System

素材:樹脂 黒澤忠嗣《Ghost Capture System - 20210912 》 2024年 40×30×2.5cm

Image by: FASHIONSNAP

3Dプリンターで制作した樹脂素材のGhost Capture System

素材:樹脂 黒澤忠嗣《Ghost Capture System - 20240811》 2025年 40×30×2.5cm

Image by: FASHIONSNAP

icon

黒澤さん

こちらは、写真という「二次元メディア」を「三次元」で表現するという試みです。写真を構成する赤・緑・青の色のデータを、それぞれ立体の横・縦・奥行きの位置情報として変換することで、平面的な画像を物理的な立体構造へと再構築しました。

写真が発明された19世紀初頭、人々は写真に「写ってしまった何か」を見いだし、心霊写真への想像力をかき立てました。本作は、当時の人々が感じたその不可思議な感覚を、現代のテクノロジーによって呼び覚まそうとする試みです。平面に閉じ込められていたイメージを3Dプリント技術で現実に引きずり出し、可視と不可視の境界線を揺さぶることで、現代における新たな「幽霊(Ghost)」を生み出してみました。

#2 アイウェアショップ「アイコン(eyecon)」経営者 ドギー

ドギー

Doggy

株式会社WCF

1998年、宮城県生まれ。2022年にWCF株式会社を創業し、アイウェアブランド eyecon を運営。3Dプリンターを中心としたデジタルファブリケーション技術を習得し、店舗運営の中で生まれる“物理的な不便”や“現場の課題”を、自ら設計したプロダクトやアプリケーションによって解決することに没頭している。 ものづくりへの探究心から、気づけば事務所には数多くの機材が集まり現在は毎週日曜日に事務所を開放。誰でも自由にものづくりや技術交流ができるコミュニティ企画「TECHNO路地」を主催している。

使用している機械

  • Bambu Lab A1(FFF)
    参考価格:約4〜5万円
  • Bambu Lab A1 mini(FFF)
    参考価格:約4万円
  • ELEGOO Saturn 4 Ultra 16K(光造形方式)
    参考価格:約8万円
icon

ドギーさん

3Dプリンターは意外と10万円以下から購入できるんです。毎週日曜日に事務所を開放しているので、気軽に訪れて3Dプリンターに実際に触れてみてください。

製作した作品

3Dプリンターで作成した水洗いレジンのメガネ模型の試作

素材:水洗いレジン smokyBlack 144mm*150mm*76mm

Image by: FASHIONSNAP

icon

ドギーさん

一見すると普通のメガネの模型ですが、実はAI技術と3Dプリンターを掛け合わせて作成したもの。基礎として用いたのは「text to STL 生成AI」というツールで、入力したテキストの指示をもとに人工知能が立体的な3Dモデルを自動生成し、3Dプリンターで出力可能なデータ(STL形式)に変換してくれます。あとはそのデータを光造形方式で出力するだけで済むため、非常に効率的に模型を完成させることができました。

3Dプリンターで作成したesun PLAの作品

素材:esun PLA 90mm*90mm*120mm

Image by: FASHIONSNAP

3Dプリンターで作成したesun PLAの作品

素材:esun Matte PLA 100mm*100mm*20mm

Image by: FASHIONSNAP

icon

ドギーさん

この2つは「Bambu Lab」が提供しているデータを使用して作成しました。きのこ型のオブジェは照明器具を内部に搭載しているため、電源につなぐとライトとして活用できます。

3Dプリンターで作成したesun PLAの作品

素材:esun PLA 100mm*50mm*20mm

Image by: FASHIONSNAP

3Dプリンターで作成したesun PLAの作品

素材:PETG,PLA 50mm*50mm*5mm

Image by: FASHIONSNAP

icon

ドギーさん

こちらは、アーティストさんから提供されたデータやブランドロゴを立体化したオリジナルキーホルダーです。同じデータでも出力時にカラーを自由に変更できるのが3Dプリンターの大きな魅力ですね。

#3 彫金師 弘川萌絵

弘川 萌絵

Hirokawa Moe

2002年愛媛県生まれ。2025年3月玉川大学芸術学部アート・デザイン学科卒業。在学中はCADソフトを使用したジュエリーを中心に制作。現在は祐天寺にアトリエを構えるハンドメイドジュエリーブランド「ガガン(GAGAN)」に彫金師として所属している。

使用している機器

  • Elegoo Mars 4 Ultra(光造形方式)
    参考価格:約3〜4万円
icon

弘川さん

3Dプリンターを本格的に触り始めたのは大学4年生の頃です。ジュエリー制作の過程で3Dプリンターによる造形方法を知り、まずはCADソフトの使い方を独学で勉強することから始めました。学内に3Dプリンターはあったものの、実際にCADを用いてジュエリーを作っている先生がいなかったため、色々な方法を調べて試すことを繰り返していました。卒業してからも自宅に小さな3Dプリンターを置いて制作を続け、今では仕事としてジュエリーを作るに至りました。

製作した作品

3Dプリンターで作成したsilver925のアクセサリー

shell ring/silver925.crystal stone/20×20mm

Image by: moe

3Dプリンターで作成したsilver925のアクセサリー

astorology/silver925/20×20mm

Image by: moe

3Dプリンターで作成したsilver925のアクセサリー

astorology/silver925/20×20mm

Image by: moe

icon

弘川さん

CADソフトでデータを作り、3Dプリンターで出力。サイズやデザインの確認をしたのちに、鋳造や石留め、磨きという過程を経て作ったシルバーリングです。1枚目は、底に模様を施し透明感のあるストーンを被せ柄が透けるデザインにしました。2枚目と3枚目のリングはガガンの星座リングシリーズです。

3Dプリンターで作成したレジンの作品

トゲ/レジン/10×10mm

3Dプリンターで作成したレジンの作品

蛇/レジン/150×100mm

Image by: moe

icon

弘川さん

ジュエリーのヴィジュアル撮影用のアートピースの制作にも3Dプリンターを活用しています。2枚目の蛇は前から見た際に「GAGAN」の「G」に見えるように設計を頑張りました。

3Dプリンターで作成したレジンの作品

ice nail/レジン/40×10mm

Image by: moe

3Dプリンターで作成したレジンの作品

蝶々/レジン/50×30mm

Image by: moe

3Dプリンターで作成したレジンの作品

GAGAN logo nail/レジン/25×25mm

Image by: moe

icon

弘川さん

ジュエリーやアート作成の技術を、ネイルアートに応用しています。1つ目の作品は透明度の高いレジンで氷を表現してみました。どれもチップごとにCADソフトでデータを生成して作っています。

【スポット編】都内で3Dプリンターを使える施設

 個人で購入するハードルが高い場合、3Dプリンターはどこで使えるのか ━━ 。実はここ数年で「メイカースペース」などと呼ばれる共有のものづくり施設が全国に増えているほか、公共の産業施設のなかに設置されるケースも増えてきました。その一つとして、都心からのアクセスが良い「港区立産業振興センター」を訪問。担当の中村さんに案内していただき、施設を見学してきました。

潜入レポ:港区立産業振興センター

Image by: FASHIONSNAP

 同施設は港区が運営する行政施設で、「区の産業振興」を目的に設立。9階の拠点「みなとBASE」内には、最新機器を備えた「ビジネスサポートファクトリー」と「コワーキングスペース」があり、クリエイターの活動を支援する拠点として機能しています。

 特に注力しているのが「3D」と「ファッションテック」の2分野。多様なデータをスキャンできるフルカラーの3Dスキャナーでのデータ入力から、専用ソフトを備えたPCでの編集、3Dプリンターでの出力まで、3D制作の全工程が施設内で完結します。「ファッションテック」についても、サンプル制作に適した機器を導入し、アパレル着用シミュレーションソフトなども揃えています。

icon

中村さん

こちらの施設は、個人のクリエイターや、企業に所属しているデザイナーの方が多く利用されています。導入してからしばらくはビジネス用途での利用者が中心でしたが、生成AIなどの活用で3Dデータの取得が身近になった影響もあり、徐々に個人での利用者も増えてきましたね。

設置機器

 設置されているのは「フルカラー UV インクジェット方式 3Dプリンタ 3DUJ-553」と「デュアルヘッド3Dプリンタ RAISE 3D Pro2 Plus」の2台。

🖨️「フルカラー UV インクジェット方式 3Dプリンタ 3DUJ-553」

 出力方式はUV硬化型のインクジェットプリンター。3Dプリンターの出力方式としてはかなり特殊で、ほかにあまり類似性のないプリンターとのこと。一般的なカラー3Dプリンターは、フィラメントという材料の色を変えて表現することが多いですが、同機はインクジェット方式を採用しカラーインクを複合的に混ぜ合わせて色を表現しているため、1000万色を超えるカラー表現を出力することが可能。

イメージ画像
イメージ画像

フルカラー UV インクジェット方式 3Dプリンタ 3DUJ-553」

Image by: FASHIONSNAP

 実際に印刷しているところをキャッチ。 生成されているのはバナナのモチーフ。UVライトに照らされて硬化している過程が分かります。こちらは1時間1500円別途材料費が発生します。

出力の様子

Video by FASHIONSNAP

🖨️「デュアルヘッド3Dプリンタ RAISE 3D Pro2 Plus」

 RAISE 3D Pro2 Plusは、フィラメントを加えて溶かし、それを積層して形を作るFFF方式の出力を行うプリンター。一般的に3Dプリンターときいて想像することができるタイプに近いです。フルカラー3Dプリンターと比べて出力にかかるコストを抑えられるため、3Dのアウトプットを行う際の選択肢として取り入れています。

イメージ画像

「デュアルヘッド3Dプリンタ RAISE 3D Pro2 Plus」

Image by: FASHIONSNAP

 どんな動きで実際に印刷をしていくのか、稼働している様子をムービーに収めてきました。意外とゆっくり動いているなという印象で、たしかに大量生産という点に関しては適していないようです。料金は1時間100円でこちらも別途材料費がかかります。

稼働の様子

Video by FASHIONSNAP

icon

中村さん

フルカラーのUVインクジェット3Dプリンターなど、最新の機器はどうしても導入や運用にコストがかかります。それでも港区立産業振興センターでは、こうした先端設備を限られた人だけのものにするのではなく、できるだけ多くの方に実際に触れていただきものづくりの可能性を広げてもらいたいと考えています。なので、企業やクリエイターはもちろんこれから新しいことに挑戦したいと思っているい一般の方にも、最新の3Dプリンターを活用してもらえるような環境を整えています。

◾️ 港区立産業振興センター

所在地:東京都港区芝5-36-4 札の辻スクエア 9〜11階
《みなとBASE》
利用可能時間:9:00〜21:30 ※日曜日は9:00〜17:00
機器利用可能時間:10:00〜20:30 ※日曜日は10:00〜16:30
━ 料金 ━
1時間:450円
1日:1800円
1ヶ月:1万8000円

公式サイト

その他の共有施設・メイカースペース一覧

 今回は、FASHIONSNAP編集部が気になった「港区立産業振興センター」を紹介しましたが、このほかにも3Dプリンターを利用できる施設はまだまだあります。

◾️ファブラボ神田錦町
所在地:東京都千代田区神田錦町3-20 アイゼンビル1階
公式サイト

◾️おおたfab
所在地:東京都大田区西蒲田7-4-4 小山第二ビル 6階
営業時間:平日 9:00~19:00 土日祝 10:00~17:00
公式サイト

◾️六郷BASE
所在地:東京都世田谷区奥沢3-31-11 ラシュレ奥沢1階
営業時間:10:00〜19:00
公式サイト

◾️浅草橋工房
所在地:東京都台東区浅草橋1-34-3 宏和浅草橋ビル1階
営業時間:平日 13:00~21:00、土日祝日 10:00〜19:00、毎週木曜日定休
公式サイト

◾️サンステラ3Dステーション池袋店
所在地:東京都豊島区東池袋5-7-5 1階
営業時間:11:00〜18:00、毎週火曜水曜と祝日定休
公式サイト

 いかがでしたか?今回お話を伺ったクリエイターの方々は、自ら高度なモデリングを行い複雑な作品を生み出していましたが、3Dプリンターの世界は決してハードルの高いものではありません。あらかじめ用意されたデータを利用したり、文章から立体データを生成できる「text to STL 生成AI」を活用したりと、今では誰もが手軽にものづくりを始められる環境が整っています。

 この記事を通して、3Dプリンターというテクノロジーを身近なツールとして捉え直し、皆さんの「自分も何かを作ってみたい」というクリエイティビティを刺激するきっかけになれば嬉しいです。

監修:DMM.make 3Dプリント(「💫4つの造形方法を紹介」のみ)
取材協力:黒澤忠嗣氏、ドギー 氏、弘川萌絵氏(「【インタビュー】愛用者に学ぶ3Dプリンター活用法と作品例」)
施設協力:港区立産業振興センター(「【スポット編】都内で3Dプリンターを使える施設」

最終更新日:

ADVERTISING

現在の人気記事

NEWS LETTERニュースレター

人気のお買いモノ記事

公式SNSアカウント